長野県と岐阜県の県境に位置する乗鞍岳の山小屋「冷泉小屋」(れいせんごや)。その名前はすぐ脇を流れる“温泉”ならぬ硫黄冷泉に由来している。昭和6年(1931年)に創業後、16年間のクローズ期間を経て、2022年7月にリニューアルオープンした、そのリニューアルのストーリー。山登りしない。キャンプしない。アウトドアに興味がない。山が嫌い。海が好き。そんな村田実樹さんがある日突然、山小屋の女将になったお話。 文・写真=村田実樹 明るい光が差し込むダイニング。夜はお客様に心からくつろいでもらえる場所になる 冷泉小屋をリニューアルオープンしたとき、夫は「山小屋あるある」を撤廃することに決めた。たとえば、一般的な山小屋には消灯時間があるそうだが冷泉小屋は消灯時間を設けない、とか、夕食は定食スタイルではなくアラカルトにする、とか。発電機を使用しない、とか。 消灯時間を設けないのは、山小屋の夜の時間を楽しん

