酔どれ列車、モスクワ発ペトゥシキ行 (文学の冒険シリーズ) 作者:ヴェネディクト エロフェーエフ 国書刊行会 Amazon 本書は1970年に執筆された。1970年のソ連。とてもじゃないがこれを共産党が許すとは思えない。だからこその地下出版。地下出版のベストセラー。そして、世界に広まった酒クズ小説の傑作。 冒頭からこんな具合だ。 クレムリン、クレムリン、と誰もが言う。クレムリンのことはあらゆる人から話には聞くが、自分で実際に見たためしは一度もない。もう何度となく、一千回も酔払って、それとも二日酔で、モスクワを北から南へ、西から東へ、端から端まで突っ切ってみたり、ただ無茶苦茶に歩き回ったりしたのに、クレムリンはただの一度も見たことはない。 昨日もついに見られなかった。ひと晩じゅうあの辺りをほっつき歩いて、それほど酔っていたわけでもないのだが、サヴョロヴォ駅を降りるとすぐに、手初めにズブロフカ

