- 更新日 : 2025年11月21日
ワクハラとは?ワクチン強制は違法?職場での注意点
ワクハラとは、ワクチンの接種を強要したり、ワクチン未接種であることを責めるような言動をしたりすることをいいます。ワクチン・ハラスメントの略称であり、新型コロナウイルスの影響下において、職場で「ワクハラ」という言葉が聞かれるようになりました。ここでは、ワクハラに該当する行為や、ワクハラの違法性について解説します。
目次
ワクハラとは
ワクハラとは「ワクチンハラスメント」の略称です。新型コロナウイルスのワクチン未接種の人に対して接種を迫ったり、接種しないことを責めるような言動を取ったりすることをいいます。
2020年以降、新型コロナウイルスの世界的な流行をきっかけに、人々は未知のウイルスに対して恐怖心を募らせました。コロナウイルスのワクチンが開発され、接種が開始された際、感染を広げないためにワクチン接種が広く推奨されていたのを覚えている人もいるでしょう。しかし、ワクチンを接種することによるリスクを懸念して、ワクチン接種をしないことを選ぶ人もいます。
持病を持っている人や妊娠中の人のようにワクチン接種による副反応に不安を感じている人、体質的にワクチンが合わない人もいます。また、持病や体質により、ワクチンを接種したくてもできない人が一定数存在するのも事実です。
事情があってワクチン接種をしない人がいるのもかかわらず、「職域接種」のように職場全体でワクチン接種の機会が設けられたこともあり、ワクチン接種を選択しないことで職場の同僚・上司から嫌がらせを受けるケースが発生しました。
コロハラとの違い
コロハラとは、「コロナハラスメント」の略称です。新型コロナウイルスに感染した人に対して、不当な扱いをしたり嫌がらせをしたりすることを指します。「コロナをうつされるかもしれない」といった恐怖心が差別につながることもあります。ワクハラもコロハラも、従業員に対する不当な取り扱いや威圧的な言動など、不法なハラスメント行為に発展することもあり、職場では見過ごせない問題です。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
人事・労務の年間業務カレンダー
毎年大人気!人事労務の年間業務を月別にまとめ、提出や納付が必要な手続きを一覧化しました。
法改正やシーズン業務の対応ポイントについて解説するコラムも掲載していますので、毎月の業務にお役立てください。
パワハラの判断基準と実務対応
従業員からパワハラの相談を受けた際、適切な調査方法や判断基準がわからず、対応に苦慮している企業は少なくありません。
本資料では実際の裁判例も交えながら、パワハラの判断方法と対応手順を弁護士が解説します。
ハラスメント調査報告書(ワード)
本資料は、「ハラスメント調査報告書」のテンプレートです。 Microsoft Word(ワード)形式ですので、ダウンロード後すぐに編集してご利用いただけます。
ぜひ貴社のハラスメント調査における報告書作成の実務にご活用ください。
パワハラのNGワード&言い換えまとめ
職場におけるパワーハラスメント防止対策は進んでいますでしょうか?本資料は、「パワハラのNGワード」と、その「言い換え」についてまとめた資料です。
ぜひダウンロードいただき、貴社のハラスメント対策やコミュニケーションの参考としてご活用ください。
ワクハラの具体例
どのようなケースがワクハラに該当するでしょうか。ここでは、ワクハラに該当すると思われるケースを紹介します。
ワクチンの接種を強要する
職場での飲み会が開催された際、一人だけワクチンを打っていない従業員に対して、「なぜワクチンを打たないの?」と誰かが質問を投げかけたところ、チームメンバー全員が当該従業員に詰問するような形になりました。しまいには、上司が「ワクチンを打つことは、職業人として重要なことだ」と強い口調でいい、険悪な雰囲気になってしまったのです。
ワクチン接種しないことにより、業務上不利益を被る
職場で、ワクチンを接種しないと公言している従業員が複数名いました。会社としては、職域接種の機会を設けつつも、ワクチン接種は本人の自由意志によるものというメッセージを発しています。にもかかわらず、ワクチン未接種の従業員が属する部署で、新規プロジェクトメンバーが発表されたところ、ワクチン未接種の従業員だけが、いずれもメンバーから外されていたのです。日頃の業績から考えても、全員がプロジェクトメンバーから外されるのは不自然でした。その出来事をきっかけに、ワクチン未接種の従業員が重要な任務から外されるようなことが続いています。
ワクハラは違法?
ワクチン接種は、本人の自由意志によって決定されるものです。厚生労働省からも、新型コロナウイルスのワクチン接種について、本人の意思が尊重されるべきものとのコメントが出ています。
ワクチン接種の強要や、ワクチン未接種であることを責めるような言動は、ハラスメントになる可能性があります。当人の意思を尊重しない行為、自由な意思形成を妨げるような行為、退職させることを目的とするようないじめや嫌がらせは、不法行為となることもあるのです。とはいえ、ワクハラがどの程度であれば不法行為となるのかは、誰も明確にいうことはできません。
ワクハラが職場で発生した場合、ワクチン接種そのものがそれぞれの意思によって決定されるべきものであることを職場で共有し、ワクハラを行っている人物に対して個別に指導するなど、慎重な対応が求められます。
ワクハラをきっかけにパワハラ(パワーハラスメント)に発展する恐れもあります。人格を否定するような精神的な攻撃、人間関係からの切り離し、個の侵害などは、パワハラの典型的な行為です。パワハラは、職場での優位性をもとに、業務上必要もない度を超えた、就業環境を害するような言動です。企業は、職場でのパワハラを防止するため、相談窓口の設置や研修の実施、相談があったときの適切な対応など、さまざまな措置を講じることが求められています。
もし職場でワクハラが発生した場合には、企業としては、さらなるハラスメントに発展しないよう、慎重に対応する必要があるでしょう。
ワクハラが生じてしまう原因
なぜ、ワクハラが発生してしまうのでしょうか。ワクハラを行う人の心理には、「わからないもの」への不安があります。
病気への不安感
第一にあるのは、新型コロナウイルスという未知の病気への恐怖心です。致死率や、重症化率について分からない部分も多く、他人との接触が制限されるといった前代未聞の事態に、大きなストレスを感じた人も少なくありません。こうした病気への恐怖・不安感が、ワクチンを打たない人に対する攻撃に隠れています。
自分以外の人から感染する可能性を消したい
新型コロナウイルスは、他者からの感染力が強い病気であることも大きな特徴です。職場の誰かが感染した場合、「自分にもうつるかもしれない。そうした可能性を低くするには、職場の全員がワクチンを接種するべき」。このような短絡的な考え方が、他者の意思を尊重しないワクハラへとつながっています。
もしワクハラにあってしまったら
もし職場でワクハラが発生したら、もし自分がワクハラにあってしまったら、どのように対応するのがよいでしょうか。
職場でワクハラの現場を見かけた場合
職場でワクチン未接種の人を非難するような言動を見かけた場合は、ワクチン接種が本人の自由意志によるものであること、国や会社が強制することはできないことを伝えましょう。周りがいっても、ワクハラをしている人の態度が改まらない場合には、人事や上司に相談してみるのがよいでしょう。
ワクハラの被害にあってしまった場合
ワクハラをされている場合、まずは人事部や上司に相談しましょう。その際、ハラスメントの内容について記録を残しておくとよいでしょう。とくにワクハラの程度が酷い場合や、業務妨害や不利益な待遇を受けている場合、パワハラとして会社に取り扱ってもらえるよう、証拠や記録を残しておくことが重要です。
ワクハラについて人事として相談された場合
まず、当人に話を聞き客観的な状況把握に努めましょう。その際、関わる人物のプライバシーにも配慮しなければなりません。その後、ワクハラが行われたのが事実であるかを、当該職場で働く人や関係者から聴取します。相談した人に対して不利益な取扱いをすることができないことはもちろんのこと、事情聴取や事実確認に協力した人に対しても、不利益な取扱いをすることは厳禁です。事実確認は速やかに行いましょう。
ワクハラの事実が確認されたのち、ハラスメント行為を行っている人物に対して、注意・指導など適切な処分を決定します。また、企業としては、当該相談を解決するだけではなく、再発防止の措置を取ることも大切です。ワクハラが発生しないために、会社として新型コロナウイルスやワクチンの正しい知識を啓蒙するような情報発信・研修を行うのがよいでしょう。
ハラスメントヒアリングシートのテンプレート(無料)
以下より無料のテンプレートをダウンロードしていただけますので、ご活用ください。
ワクチンの接種は本人の意思によるもの
ワクチン接種は、本人の意思によって「打つ・打たない」が決定されるものです。人によって事情は異なり、なかにはワクチン接種を希望しない人もいます。そのため、会社が強要することはできません。
ワクチン接種を迫ったり、執拗に未接種の理由を聞いたりすることは、ワクハラに該当する可能性があります。職場でのワクハラを防ぐには、新型コロナウイルスやワクチンに対する正しい知識を啓蒙することが重要です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
定年延長とは?いつから?65歳、70歳の定年延長の違いや企業の対応を解説
高年齢者雇用安定法により、一部の経過措置を除き、希望者全員の65歳までの雇用が義務化されています。また2020年の法改正では、70歳までの就業確保が努力義務となりました。本記事では、定年の延長や廃止、再雇用等の概要と給与体系、定年延長のメリ…
詳しくみるHRM(人的資源管理)とは?5つの機能をもとに具体的な事例を紹介
HRM(Human Resource Management)とは「人的資源管理」を意味します。具体的には、従業員を人的資源と捉えて有効活用するための採用、教育、人事評価、人材配置などの仕組みを指します。 この記事ではHRMとは何かについて述…
詳しくみる退職証明書の発行ルールやもらい方、離職票との違い【テンプレ付】
退職証明書は、その会社を退職したことを証明するための書類で、法律にもとづいて請求できる書類です。転職先への提出や、国民健康保険への切り替え手続きなどで必要になります。しかし、「離職票と何が違うのか」「どのような場面で必要なのか」「どうやって…
詳しくみる高年齢雇用継続基本給付金は65歳以上になるとどうなる?代わりの給付金はある?
少子高齢化が進む中、企業にとって高齢者の活用は重要な課題となっています。高年齢雇用継続基本給付金は、60歳以降も引き続き働く意欲のある60歳から65歳未満の雇用保険被保険者を対象です。60歳以降に賃金が下がった場合に、一定の給付金を支給する…
詳しくみる同一労働同一賃金の労使協定方式とは?派遣社員の賃金計算から注意点まで解説
同一労働同一賃金という言葉を耳にする機会が増えましたが、特に派遣社員の働き方に大きく関わるのが、労使協定方式です。派遣元の会社と労働者の代表が協定を結び、賃金などの待遇を決定するこの方式は、多くの派遣会社で採用されています。 しかし、「仕組…
詳しくみる【テンプレ&例文あり】工事のお知らせの書き方|近隣挨拶の範囲やマナーも解説
マンションの大規模修繕など、工事を行う際、近隣住民への配慮は欠かせません。騒音や振動、粉じんなどによる影響を最小限に抑えるためにも、事前の工事のお知らせは重要です。 しかし、具体的にどのような内容を記載し、どの範囲まで配布すべきか悩む方も多…
詳しくみる


-e1762259162141.png)
