- 更新日 : 2025年11月18日
「有給を公休にされた」は違法?変更ルールや対応方法を解説
「せっかくの有給休暇が公休にされてしまった……」。そんな経験はありませんか?有給休暇は労働基準法で定められた労働者の権利ですが、企業によって「公休」として扱われてしまうことがあります。このような場合、法律上問題はないのでしょうか?また、どのように対応すればよいのでしょうか?
この記事では有給を公休に変更できるのか、違法ではないのか、どのように対応すればよいのかについて解説します。
目次
「有給を公休にされた」とは?
「有給を公休にされた」とは、労働者が取得を希望した年次有給休暇が、会社側の判断で公休日に置き換えられるケースを指します。例えば、シフト制の職場で労働者が「水曜日に有給を取りたい」と申請したところ、会社側が公休日と振り替えてしまうようなケースです。
そもそも公休とは、会社が定めた休日であり、労働契約や就業規則によって定められています 。法定休日(労働基準法で定められた最低限の休日)と、それ以外の法定外休日が含まれます 。土日休みの企業では、土日が公休に該当します。
原則として、労働義務のない日なので、賃金は支払われません(ノーワーク・ノーペイの原則)労働者が自由に取得できるものではなく、会社の都合で設定されます。
一方、有給休暇とは、一定期間勤続した労働者に与えられる、賃金が支払われる休暇です 。労働者の心身のリフレッシュを目的としており、原則として、希望する時期に取得できます。会社が一方的に有給を公休扱いにすることは、労働者の権利を侵害することにつながります。
「有給の公休への変更」は違法
会社が従業員の指定した有給休暇日を一方的に公休日に変更することは、労働基準法上認められません 。労働義務のない日に有給休暇を充てるという考え方自体が、有給休暇制度の趣旨に反すると考えられます 。
違法性が問われるケースとして、次のようなものがあります。
- 労働者が希望した日程の有給を認めず、公休に振り替えてしまう
- 有給休暇を取得したはずが「シフト上の公休」として処理される
- 企業側が「公休を先に消化しないと有給は取得できない」と主張する
このような場合、労働基準監督署に相談することで、適切な指導を受けられる可能性があります。
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有給と公休に関するよくある質問と対応例
公休日に有給を使える?
年末年始など会社が定める休日は公休ですので、これらの公休日を有給休暇に充てることはできません。有給休暇は、本来労働日である日を休むための制度だからです。もし、会社が年末年始に休業する場合、それは公休として扱われるべきであり、従業員の有給休暇残日数を減らすべきではありません。
公休日数を消化しないと有給が取れないと言われた
「公休日数を消化しないと有給休暇を与えない」という会社のルールは違法となる可能性があります。有給休暇の取得は、公休の取得状況とは関係なく、労働基準法で定められた要件を満たせば労働者に与えられるべき権利です 。このようなルールは、労働者の有給休暇の権利を不当に制限するものと考えられます。
有給を公休日に取得することを強要された
従業員から「公休日に有給休暇を使いたい」という申し出があった場合、原則として会社はこれを拒否できます。なぜなら、有給休暇は労働義務のある日に取得するものであり、公休日は労働義務がないからです 。
「有給を公休にされた」と感じたらどう対応すべき?
もし、会社から一方的に有給休暇を公休日に変更されたと感じた場合、どのように対応すれば良いのでしょうか。
1. 就業規則を確認する
まず、会社の就業規則を確認し、有給休暇と公休日の扱いがどのように記載されているかをチェックしましょう。企業によっては、規定の中に「有給休暇の取得ルール」が明記されていることがあります。その内容と実際の運用が一致しているかを確認してください。
2. 会社に確認し、話し合いをする
人事担当者や上司に、なぜ有給休暇が公休扱いに変更されたのか理由を確認しましょう。その上で、有給休暇と公休の違いや、一方的な変更は問題ではないかと丁寧に説明し、変更の撤回を求めることが大切です 。
3. 記録を残しておく
有給休暇の申請日、会社側からの変更通知、上司との会話の内容など、経緯を記録しておくことも重要です。メールや書面でのやり取りがあれば、保存しておきましょう。これらの記録は、後のトラブル防止や法的対応を行う際の証拠として役立ちます。
4. 労働基準監督署に相談する
会社との話し合いで解決しない場合は、管轄の労働基準監督署に相談することを検討しましょう。労働基準監督署は、労働基準法違反の疑いがある場合に、会社に対して指導や是正勧告を行ってくれます。相談は無料で行え、匿名での相談も可能です。
5. 弁護士に相談する
より専門的なアドバイスや法的な対応が必要な場合は、労働問題に詳しい弁護士に相談することも有効です。弁護士は、個別の状況に合わせて適切なアドバイスを提供し、必要に応じて会社との交渉や法的措置を支援してくれます。無料相談を実施している法律事務所もあるため、一度相談してみるのも良いでしょう。
企業側が公休日を増やす際の注意点
企業が従業員の福利厚生などを目的として公休日を増やすこと自体は問題ありません。しかし、公休日を増やす際は、従業員の有給休暇の取得に悪影響を与えないように注意が必要です。
就業規則への明記
公休日の種類や日数、取得に関するルールなどは、就業規則に明記し、従業員に周知しましょう 。これにより、従業員は自身の休日について正確に理解することができます。
また、公休日の増加が有給休暇の取得に影響しないよう、就業規則内で有給休暇と公休の関係を明確に記載することも大切です。
公休が有給取得を妨げないようにする
公休日を増加させると、有給休暇の取得を妨げるような運用にならないかを慎重に検討する必要があります。例えば、「公休日が多いため、有給を取得する必要がない」といった風潮が生まれると、従業員が有給を取得しづらくなる可能性があります。
企業は、公休と有給のバランスを考慮し、従業員が有給休暇を適切に消化できるよう配慮するべきです。
シフト制の有給取得を適切に管理する
シフト制の労働者は、公休と有給の区別が曖昧になりやすく、「公休を優先して消化するため、有給休暇を取得できない」といったケースが発生しがちです。そのため、シフト制の企業では、有給休暇の取得ルールを明確に定め、公休との混同を防ぐ対策を講じる必要があります。
企業は、シフトの作成段階で有給休暇の取得を考慮し、従業員が適切なタイミングで有給を取得できるように調整することが求められます。
労働基準法を遵守した運用をする
企業が公休日のルールを独自に設ける場合、労働基準法を遵守することが不可欠です。有給休暇の取得は労働者の権利であり、企業が有給を公休に振り替えたり、有給休暇の取得を妨げるような規則を設けたりすることは、法律違反になる可能性があります。
企業は、法律の専門家や労務管理の担当者と協力しながら、適切な就業規則を作成し、法令遵守のもとで運用することが重要です。
有給を公休にされないように正しい知識を持とう
有給を公休にされる問題は、労働者の権利に関わる重要な課題です。法律上、有給休暇は労働者の自由な意思で取得できるものであり、会社が勝手に公休扱いにすることは許されません。
もし「有給を公休にされた」と感じた場合は、適切な対応を取りましょう。まずは会社に確認し、問題がある場合は労働基準監督署への相談を検討してください。さらに、証拠となる記録をしっかりと残し、必要に応じて弁護士に相談することも選択肢の一つです。
正しい知識を持ち、適切に対応することで、自身の労働環境を守ることにつながります。
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※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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