- 更新日 : 2025年11月14日
祝日の出勤は割増賃金になる?代休や振り替え休日のルール、給与計算を解説
祝日に従業員を出勤させることは、業種によっては避けられない場面もあるでしょう。しかし、その扱いを誤ると割増賃金の未払いといった労務トラブルにつながりかねません。
祝日は法律で休みにすべき日と誤解されることもありますが、実際には「法定休日」ではない場合も多く、その違いを正しく理解することが重要です。
この記事では、祝日出勤に関する割増賃金の要否、代休・振替休日との関係、会社側の命令権限や労働者の拒否権などをわかりやすく解説します。
目次
祝日の出勤は割増賃金になる?
祝日に出勤した場合、割増賃金が支払われるかどうかは、その祝日が「法定休日」か「所定休日」かによって異なります。
- 法定休日の場合:労働基準法で定められた休日であり、祝日がこの法定休日に重なる場合、通常の賃金の35%以上の割増賃金を支払う必要があります。
- 所定休日の場合:所定休日は会社が独自に定めた休日であり、この日に労働させた場合は、必ずしも割増賃金が発生するわけではありません。ただし、法定労働時間を超えた分については、通常の賃金の25%以上の割増賃金を支払う必要があります。
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祝日の出勤は違法ではないのか
祝日に出勤させること自体は違法ではありませんが、次の条件を満たしていなければ、労働基準法違反に該当するおそれがあります。
詳しく見ていきましょう。
36協定の締結が必要
祝日であっても、時間外労働や休日労働をさせる場合は、労使間で36協定を結び、所轄の労働基準監督署へ届け出ることが義務です。36協定なしで法定休日に労働させた場合は、労働基準法第35条違反となり、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。
この協定には、時間外・休日労働の上限や業務内容、期間などを明記する必要があります。祝日に出勤が想定される業種では、あらかじめ協定を整備しておくことが欠かせません。
就業規則や契約書に休日出勤の定めを
休日出勤を命じるには、就業規則や労働契約書にその旨を明記しておくことが必要です。たとえば、「会社の業務上必要があるときは休日出勤を命じることがある」といった規定があれば、命令の根拠となります。
逆に、こうした規定がなければ、従業員に一方的な出勤を命じることは困難です。紛争の原因にもなりかねないため、事前のルール整備が重要です。
さらに、祝日が「休日」と定められている場合に出勤を命じるには、割増賃金の支払いが求められます。規定上の扱いによって、必要となる手当や処理が変わるため注意が必要です。
割増賃金を支払わなければ違法
祝日が法定休日にあたる場合、その日に労働させると休日労働となります。休日労働には、通常賃金の35%以上の割増賃金が必要です(労働基準法第37条)。
これを支払わなかった場合や、36協定を締結せずに出勤させた場合には、労働基準法違反として処罰される可能性があります。祝日の扱いと労務管理の整合性は、トラブル防止の鍵となります。
祝日が、企業の就業規則などで「法定休日」とされている場合には、その日に出勤させることで休日労働となります。休日労働には、通常賃金の35%以上の割増賃金を支払う義務があります(労働基準法第37条)。これを支払わずに出勤させた場合は、労働基準法に違反し、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されるおそれがあります。
また、法定休日に出勤させるためには36協定の締結と労基署への届け出が必要です。これをせずに休日労働を行わせた場合も、労働基準法第36条違反となります。
祝日の出勤自体は違法ではありませんが、適切な労使協定や社内規定が整っていないまま出勤を命じた場合は、違法となるリスクがあります。
祝日に出勤した場合の振替休日や代休
祝日に出勤した従業員に対して、代わりとなる休みを与える手段として「振替休日」と「代休」があります。振替休日としてあらかじめ祝日と労働日を入れ替えていた場合には、割増賃金の支払いは不要です。また、祝日に出勤したからといって必ずしも代休を与えなければならないわけではありません。
つまり、企業は代休を与えずに、出勤日に対して法定どおりの割増賃金を支払うだけでも問題はありません。
ただし、事前に振替休日として適切に手続きを行っていない限り、休日に労働させた場合は「休日労働」として割増賃金の支払いが必要になります。代休はあくまで福利厚生的な位置づけであり、割増賃金の代わりになるものではありません。
振替休日とは?
振替休日は、もともと休日とされていた日に出勤させる代わりに、あらかじめ他の労働日を休日に変更する制度です。事前に休日と振替日を指定し、従業員に通知しておく必要があります。
この方法をとれば、祝日の出勤は通常の労働日とみなされるため、原則として割増賃金の支払いは不要です。ただし、その週の労働時間が法定労働時間を超える場合は、超過分について時間外労働としての割増(25%以上)が必要になります。
代休とは?
代休は、すでに出勤した休日に対して、後日休みを与える制度です。振替休日と異なり、休日に労働した事実自体が残るため、その日の労働が法定休日にあたる場合は、35%以上の割増賃金の支払いが必要です。
代休を取得する日については、多くの企業で賃金の支払い義務がない(無給)扱いとされています。つまり、代休を与えても、休日出勤に対する割増賃金は別途支払う必要があります。
企業としては、祝日の出勤に対して代休を必ず与える義務はないものの、従業員の負担軽減やモチベーション維持の観点から、代休制度を設けることが望ましいとされています。
祝日に出勤した場合の割増賃金はどう計算する?
祝日に出勤した場合、その日の労働が法定休日に該当するかどうか、また労働時間の合計が法定上限を超えるかどうかによって、支払うべき割増賃金の内容が変わります。ここでは、それぞれのケースに応じた計算方法を確認しましょう。
法定休日に出勤した場合
法定休日に労働させた場合は、労働時間の長さにかかわらず、すべての労働時間に対して35%以上の割増賃金が発生します(労働基準法第37条)。
計算例:
- 基本時給:2,000円
- 法定休日に5時間労働した場合
- 割増率:35%
法定休日に深夜(22時~翌5時)に労働させた場合は、さらに25%の深夜割増が加算され、合計60%以上の割増率になります。
深夜労働の例:
- 同じく時給2,000円で、法定休日に深夜4時間労働
- 割増率:35%(休日)+25%(深夜)=60%
所定休日(法定外)に出勤した場合
祝日が所定休日(会社が定めた休日)にあたる場合は、その出勤が週40時間以内・1日8時間以内であれば、割増賃金は発生しません。
ただし、以下のような場合は時間外労働として25%以上の割増賃金が必要です。
時間外になる場合:
- 週40時間を超えて労働した場合
- 1日8時間を超えた場合
計算例:
- 基本時給:2,000円
- 所定休日の祝日に8時間出勤
- その週の合計労働時間が48時間だった場合(超過8時間)
この場合、祝日の労働すべてが時間外労働として割増対象になります。
深夜に労働した場合
午後10時から翌午前5時までの労働は、深夜労働として25%以上の割増が必要です。これは、法定休日・所定休日のいずれでも同様に適用されます。
所定休日で深夜に4時間働いた場合:
- 基本時給:2,000円
- 割増率:25%(深夜)
- 時間外には該当しないと仮定
もし深夜労働が時間外労働と重なる場合は、深夜25%+時間外25%=50%の割増になります。
会社は祝日の出勤を命じることができる?
祝日は法律で必ず休みにすべき日ではないため、会社が祝日の出勤を命じること自体は可能です。ただし、その命令が正当であるためには、いくつかの条件を満たす必要があります。法的手続きと社内規定の整備がなければ、出勤命令は無効とされるおそれがあります。
祝日が「出勤日」とされている場合
就業規則や労働契約において、祝日が通常の出勤日として定められている企業では、祝日に出勤を命じることは通常の勤務指示と同じ扱いになります。この場合、特別な合意や手続きは不要です。ただし、出勤の指示は業務上の合理的な範囲でなければなりません。
就業規則に「休日出勤の命令」が明記されている
休日に出勤を命じるには、就業規則や労働契約書に、「会社は必要に応じて休日出勤を命ずることがある」といった記載があることが望まれます。記載がない場合、従業員から「契約にない労働を強制された」と主張され、紛争につながることがあります。
企業としては、祝日出勤の可能性がある業務であれば、就業規則にその旨を明文化しておくことが安全策です。
法定休日に出勤を命じるには36協定が必要
祝日が法定休日に該当する場合、その日に出勤を命じるには、36協定を締結し、所轄の労働基準監督署に届け出ておくことが必須です。36協定がないまま休日労働を命じた場合は、労働基準法第36条違反となり、罰則の対象になります。
また、36協定があっても、出勤命令には業務上の必要性が求められます。形だけの協定ではなく、実際に業務の繁忙やシフトの都合など、納得できる事情があることが前提です。
従業員にとって納得できる説明があることで、職場内の理解と協力が得やすくなります。
従業員は祝日の出勤を拒否できる?
祝日に出勤を命じられた場合、従業員はそれを拒否できるのでしょうか。これはその日の法的な位置づけや会社との契約内容によって変わります。
法定休日で「36協定」があり、正当な命令なら原則拒否できない
祝日が法定休日に該当し、会社が36協定を締結・届け出済みで、かつ業務上の必要性に基づく命令であれば、原則として従業員は出勤を拒否できません。労働契約上の義務に基づく「業務命令」とみなされるため、合理性が認められる限り、正当な指示とされます。
ただし、祝日に出勤を求める場合でも、以下のような事情があるときには、拒否が認められる可能性があります。
- 事前に承認された有給休暇の取得中
- 病気やけがなど体調上の問題
- 葬儀や結婚式などのやむを得ない私的事情
- 家庭の介護や育児などの不可避な事情
これらの事情は、就業規則や慣例、労使協議によって対応が分かれる場合もありますが、一方的な命令には慎重な配慮が求められます。
所定休日の出勤命令は、より柔軟に判断される
祝日が所定休日(法定休日ではない)にあたる場合、出勤命令の法的拘束力はやや弱くなります。この場合でも、就業規則に出勤命令の根拠があり、かつ業務上の必要が明確であれば、拒否が許されないこともあります。
とはいえ、所定休日の出勤は、従業員の協力によって成り立つ側面が大きいため、企業側にも説明責任が求められます。実務上は、無理な命令を避け、調整や代替案の提示によって円滑な運用を行うことが推奨されます。
祝日の出勤をめぐるトラブルを防ぐために
祝日の出勤をめぐってトラブルを防ぐには、事前に就業規則で休日出勤の方針や手続き、代休・割増賃金の扱いを明確に定めておくことが有効です。
また、出勤を命じる際には、できるだけ個別の事情に配慮し、業務上の必要性を丁寧に説明することが、従業員の納得感につながります。
適切にルールを整え祝日出勤を管理しよう
祝日の出勤は、法定休日か所定休日かによって割増賃金の扱いが異なり、代休や振替休日の運用にも違いがあります。
企業が祝日出勤を命じるには、36協定の締結や就業規則の整備が欠かせません。一方で、従業員側にも出勤義務が生じる場合と、正当な理由によって拒否できる場合とがあります。
トラブルを防ぐには、あいまいな運用を避け、ルールを明文化したうえで、丁寧な説明と配慮ある対応を徹底しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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