- 更新日 : 2026年1月22日
給与支払報告書と法定調書の違いは?提出先や書き方、提出不要のケースまで解説
年末調整が終わり、慌ただしい時期に経理や総務の担当者を悩ませるのが、源泉徴収票などの法定調書と給与支払報告書の作成・提出業務です。これらの書類は名称や様式が似ているため混同されがちですが、提出する目的、提出先、根拠となる法律は全く異なります。
この二つの違いを正確に理解しないまま作業を進めてしまうと、提出先を間違えたり、対象者を誤ったりといったミスの原因になりかねません。
この記事では、法定調書(主に源泉徴収票)と給与支払報告書の違いに焦点を当て、それぞれの役割と手続きを比較しながら、2025年7月現在の最新情報に基づいて分かりやすく解説します。
目次
給与支払報告書と法定調書の違い
まずは、両者の違いを明確に理解するために、重要なポイントを比較表にまとめました。手続きを進める上で、この全体像を頭に入れておくと、作業がスムーズになります。
| 比較項目 | 給与支払報告書 | 法定調書(合計表) |
|---|---|---|
| 目的 | 従業員の住民税額の計算 | 国(税務署)の所得税の確認 |
| 根拠法 | 地方税法 | 所得税法など |
| 提出先 | 従業員が住む各市区町村 | 事業所の管轄税務署 |
| 主な書類 | 個人別明細書、総括表 | 法定調書合計表、源泉徴収票など |
| 提出対象者 | 原則、全従業員 | 特定の条件を満たす支払先 |
| 提出期限 | 共通(支払年の翌年1月31日) | 共通(支払年の翌年1月31日) |
以下で、それぞれの違いをさらに詳しく見ていきましょう。
1. 提出する目的と根拠法の違い
なぜ二つの異なる書類を提出する必要があるのでしょうか。その根本的な理由は、目的と法律の違いにあります。
給与支払報告書:住民税額を決定するため
給与支払報告書の目的は、従業員一人ひとりの住民税額を正しく計算することです。根拠となる法律は地方税法であり、市区町村が課税権を持つ住民税の税額計算に必要な情報を、事業者が報告するための制度です。つまり、この書類は市区町村のために作成するものと認識しておきましょう。
法定調書:国が所得を把握し、申告を確認するため
一方、法定調書の目的は、国が個人の所得を正確に把握し、所得税が正しく申告・納税されているかを確認することにあります。根拠法は所得税法などです。税務署は、事業者から提出された法定調書の情報と、個人から提出された確定申告書の内容を照合します。こちらは国、つまり税務署のための書類です。
2. 提出先の違い
目的が異なるため、当然ながら書類を提出する相手も変わります。
給与支払報告書:各従業員の市区町村
給与支払報告書は、従業員がその年の1月1日時点で居住している市区町村へそれぞれ提出します。例えば、A市に住む従業員とB市に住む従業員がいれば、それぞれの市役所へ個別に提出する必要があります。従業員の住所地を正確に把握することが欠かせません。
法定調書:事業所の管轄税務署
法定調書および法定調書合計表の提出先は、事業所の所在地を管轄する税務署一か所のみです。従業員の住所地によって提出先が変わることはありません。自社の管轄税務署がどこなのかを事前に確認しておけば、迷うことはないでしょう。
3. 提出対象者の違い
誰の分を提出するのかという対象者の範囲も、両者で大きく異なります。給与支払報告書の方が、より広い範囲の従業員を対象としています。
給与支払報告書:原則として全員
給与支払報告書は、前年中に給与を支払った全ての従業員(役員、パート、アルバイトを含む)について提出するのが原則です。
ただし、給与支払報告書の提出不要のルールとして、多くの自治体では、年間の支払総額が30万円以下の退職者については提出を不要とする特例を設けています。この基準は自治体によって異なる場合があるため、必ず確認が必要です。
法定調書:特定の条件を満たす人のみ
法定調書の税務署への提出は、全ての従業員が対象ではありません。例えば、法定調書合計表で源泉徴収票を提出するものとして定められた、年末調整を行った役員で給与支払額が150万円を超える人や、弁護士・税理士等に対する給与で年間250万円を超える人といった特定の支払先のみが対象です。
4. 書類の様式とダウンロード方法の違い
提出する書類の構成も異なります。特に、全体をまとめる表紙にあたる書類の名称が違うため、混同しないよう注意が必要です。
給与支払報告書:個人別明細書と総括表
給与支払報告書は、従業員一人ひとりの情報を記載する個人別明細書と、それを市区町村ごとにまとめる表紙である給与支払報告書総括表で構成されます。
様式は市区町村から送付されるか、各自治体のウェブサイトからダウンロードできます。また、総務省のウェブサイトでも共通様式のダウンロードが可能です。
法定調書:法定調書合計表と各支払調書
法定調書は、税務署へ提出する源泉徴収票や支払調書をまとめる表紙として法定調書合計表を用います。この合計表と、提出義務のある源泉徴収票などをセットで提出します。
様式は、法定調書合計表を国税庁のサイトからダウンロードするのが確実です。国税庁のウェブサイトで検索すれば、最新の様式を入手できます。
参考:給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(OCR帳票)|国税庁
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給与支払報告書と法定調書の書き方
給与支払報告書の個人別明細書と、法定調書の一つである源泉徴収票に記載する内容は、支払金額や控除額など、年末調整の結果を転記する点が似ています。一つの元データから、提出先に応じた二種類の書類を作成するイメージを持つと良いでしょう。どちらの書類にも、従業員本人や扶養親族のマイナンバーの記載が求められる点に注意が必要です。
給与支払報告書と法定調書の提出方法・提出期限
提出方法は、従来からの紙での提出に加え、近年は電子申告が主流になりつつあります。
- 紙での提出
作成した書類を印刷し、郵送または窓口へ持参して提出します。 - 電子データによる提出(eLTAX・e-Tax)
給与支払報告書は、地方税ポータルシステムのeLTAXを利用することで、電子データによる提出をすることができます。
法定調書(源泉徴収票)の作成・提出は国税電子申告・納税システムのe-Taxにより電子データによる提出をすることができます。提出期限は、どちらも支払年の翌年1月31日(必着)です。
給与支払報告書と法定調書の違いを理解しましょう
給与支払報告書と法定調書は、どちらも年末調整後に行う重要な手続きですが、その違いは明確です。
最も大きな違いは、目的と提出先です。給与支払報告書は、従業員の住民税計算のため各市区町村へ提出し、法定調書は、国の所得税の確認のため管轄の税務署へ提出します。
この違いを抑えることで、対象者や必要書類の違いも自然と理解できるはずです。毎年行う手続きだからこそ、一度ここで明確な知識を整理し、来年以降の業務に活かしてください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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