3ヶ月かかっていた引き継ぎ作業を最大90%削減し1週間に
生成AIを活用したナレッジ共有とマニュアル更新の仕組み化

バックオフィス業務の本質的な課題を捉えて解決策を提示し、お客様を支え続ける『アルファテックス株式会社』(以下、アルファテックス)。同社では、お客様の業務課題を可視化して具体的な解決案を提案する「コンサルティングサービス」、IT化で効果を恒久的に提供し続ける「ITサービス」、お客様の業務そのものを請け負ってオペレーション業務を進化・改善させていく「業務サービス」という3つのサービスを展開している。

ITを専門領域とする同社では社内のデジタル化も推進しており、早い段階で生成AIの活用を進めていた。2024年12月には「生成AI活用 実証実験プロジェクト」が立ち上がり、生成AIの活用を加速させるために「ユーザーローカル ChatAI(以下、ChatAI)」を導入。その後、1〜3ヶ月を要していたBPO業務の引き継ぎ期間を1週間へと圧縮することに成功した。2025年9月には、RAGを中心としたChatAIの活用が評価され、「第19回JIIMA ベストプラクティス賞」を受賞。ここでは、生成AIの活用に至った背景や実際の活用方法、得られた効果などについてお話を伺っていく。

アルファテックス株式会社
代表取締役社長 石川 春 氏
執行役員 平本 剛 氏
カスタマーサクセス1グループ CCBSチーム 笠原 礼圭 氏
カスタマーサクセス1グループ CCBSチーム 古澤 千晶 氏

導入背景

「AIに代替されるのではなく、使いこなす側になる」という経営判断のもと導入を最優先
事業のボトルネックとなっていた引き継ぎ業務を生成AIで解消

アルファテックスが生成AIの全社的な活用に舵を切ったのは、2024年12月に立ち上がった「生成AI活用 実証実験プロジェクト」がきっかけだ。IT業界において生成AIの台頭は目覚ましく、同社の主力事業の一つである「業務サービス」、いわゆるBPO領域にも大きな影響を及ぼしつつあった。

「私たちの主要領域であるオペレーション分野がAIに置き換わるのではという危機感がありました。それならば、自らが主導して『置き換える側』としてAI活用を推進しようと考えました」と、石川氏はプロジェクト発足の背景を語る。

アルファテックス株式会社
代表取締役社長 石川 春 氏

生成AIを導入する際、アルファテックスでは費用対効果を算出することはなかったという。活用前から効果を具体化することは難しく、まずは手にとって使うことを優先した形だ。当時、複数のツールを検討し、最終的にChatAIを選んだのには明確な理由があった。「大前提としてのセキュリティ面やデータ保護はもちろんですが、RAG機能が使いやすく、権限設定も細かく行える点が決め手でした。また、100名の利用で月額5万円というリーズナブルな価格と、従量課金がなく固定料金で使える点は、現場が失敗を恐れずに試行錯誤する上で非常に重要でした」と石川氏は振り返る。

「生成AI活用 実証実験プロジェクト」を推進するにあたり、自ら参加の意思を示したのは、当時AIに関する知識がなかったという梶原氏だ。自発的に参加した背景には、長年アルファテックスのBPO現場でボトルネックとなっていた「業務の引き継ぎ」があったという。

BPO業務の現場では、有期の派遣社員等の入れ替わりが頻繁に発生するという特性がある。同社の現場でも、常時どこかの現場で引き継ぎが行われており、その方法も属人的だったという。「業務の引き継ぎに関して、以前は1〜3ヶ月ほどかかっていました。教える側も自分の業務を抱えながら対応するため、引き継ぎだけで一日が終わり、自分の本来の業務が後回しになってしまいがちです。この状況を変えるべきだとずっと思っていましたが、生成AIを導入する前のITツールでは解決できず、諦めていた側面もありました」と梶原氏は語る。

アルファテックス株式会社
サービス運営サイクル推進CFT 主任 梶原 徳子 氏

そこで梶原氏は、現場のグループリーダーを務める鈴木氏、カイゼンスタッフとして任命された笠原氏、古澤氏とともに「3ヶ月以内に、1〜3ヶ月かかる引き継ぎ業務を1週間に短縮する」という目標を掲げた。

活用方法

ChatAIのRAG機能を活用し、社内の情報を集約
業務FAQや業務理解のためのセルフテストなど自社専用AI環境を構築

「生成AI活用 実証実験プロジェクト」が始まってまず直面したのは、情報の散在という壁だった。「引き継ぎを効率化しようにも、マニュアルが点在していたり、個人レベルの手書きメモやExcelに重要なポイントが書き留められていたりと、情報が整理されていませんでした」と笠原氏は振り返る。

アルファテックス株式会社
カスタマーサクセス1グループ CCBSチーム 笠原 礼圭 氏

そこでアルファテックスでは、社内でバラバラになっていた情報を集約し、AIが学習しやすい形に整理することから始めた。驚くべきことに、引き継ぎ業務の効率化の過程では、専門的なIT知識がほとんど必要なかったという。「最初はどのように指示すればいいか分かりませんでしたが、分からないことは全て生成AIに聞きました。『これを実現するためのプロンプトを教えて』とお願いし、エラーが出たら『修正すべき点を教えて』と相談できます。ChatAIでは、自然言語で何でも聞けるのが嬉しいですね」と古澤氏は教えてくれた。

こうして引き継ぎ業務のために構築された自社専用AIが「業務FAQ」「シミュレーター」「スマートセルフテスト」の3つである。

これらの中でも業務FAQについては、笠原氏と古澤氏が整理した社内情報とChatAIのRAG機能が大いに役立っている。従業員は業務に関して知りたい内容を入力するだけで、ChatAIがマニュアルを要約して回答してくれるのだ。「従来は調べたいことがあれば自分でマニュアルを調べる必要がありましたが、業務FAQを活用すると、素早く必要な情報を得られます。また、マニュアルのどこから参照されているかも一目でわかるため、より詳しい内容を確認することも容易になりました」と笠原氏は語る。実際に、アルファテックスでは100ページを超えるマニュアルも存在し、知りたい情報を探すのは従業員にとって負担となっていたようだ。

アルファテックス株式会社
知りたい情報を[1.1]マニュアルの該当箇所を示しながら教えてくれる

また、RAG機能を活用して実装した「スマートセルフテスト」も引き継ぎ業務の効率化に貢献している。「スマートセルフテスト」では、ChatAIが自社のマニュアルから自動的に問題を作成し、テスト形式で回答していくことが可能だ。テスト形式にすることで現在の理解度が可視化されるため、どこの習熟度を高めるべきかの目安にすることもできる。梶原氏が「テスト時には、分からない問題に対してヒントを出してくれるプロンプトも組んでいます」と語るように、より習熟度を高めるためのチューニングもしているようだ。

「スマートセルフテスト」はeラーニングと異なり、設問内容を事前に用意する必要がない。「毎回ランダムでテスト問題を作成してくれるため、準備する人の負担なく学習環境を整えられます」と笠原氏は教えてくれた。

アルファテックス株式会社
マニュアルから自動的に問題が作成され[2.1]、理解度を確認できる

課題となっていた引き継ぎ業務の効率化について、笠原氏は「どの機能に関しても、ベースとなるマニュアルの整備が重要です。最新の情報をChatAIに読み込ませることはもちろん、粒度や情報量は引き継ぎ業務の効率化と個々人の習熟度の向上に大きく関係します」と語った。

アルファテックスの活用でさらに画期的なのは、ChatAIのレポート出力機能を活用したマニュアルの更新作業だ。ユーザーがFAQで何を聞いたのか、テストのどこで躓いたかなど、社内の状況をもとにマニュアルの分かりづらい箇所を検知して更新しているという。梶原氏は「マニュアルは作って終わりになってしまったり、書き手のイメージに偏ってしまったりなど、引き継ぎを受ける人に寄り添っていないケースが見受けられます。この自動更新により、最新かつ分かりやすいマニュアルの維持につなげられました」と教えてくれた。

アルファテックス株式会社
テスト結果から[3.1]更新が必要な箇所を検知している

効果・成果

業務の引き継ぎ時間を最大90%削減
空いた時間を自己学習に充てる文化を醸成でき、育成の質が向上

ChatAIを活用した結果、アルファテックスの現場には劇的な成果が表れた。最も顕著だったのは、当初の課題とされていた引き継ぎにかかる時間の短縮だ。「実際に新人が入ってきた際に引き継ぎ時間の計測をしたところ、従来の仕組みと比較して最大90%削減されていました。プロジェクトの開始時に掲げていた『引き継ぎ期間を1週間以内に短縮すること』も達成し、大きな成果を上げることができています」と笠原氏は語った。

以前は感覚値で一人前を測っていたが、「スマートセルフテスト」の実装で理解度を可視化し、基準点を明確にできたことが効率化のポイントだという。「理解度が可視化されたことで、人が全てを教える必要がなくなりました。理解が足りていない部分だけをトレーニングすれば済むので、個人の能力が上がるスピードが速まりましたね」と古澤氏は実感している。

以前から引き継ぎに課題を感じていた鈴木氏も「これまでは先輩の横にベタ付きになって学んでいたり、マニュアルを読んで待つだけの時間が発生したりしていました。それよりも動画マニュアルやスマートセルフテストを活用した方が効率的に学べます」と感じている。

ChatAIを導入した効果は数字だけでなく、従業員のマインドにも表れている。古澤氏は「不明点が出た際、すぐFAQに相談できる環境になったことで、従業員の自己学習に対する意識が強まりました。『まずはAIに聞いてみる』姿勢が身につき、質問の質が高まったと感じています。時には業務についてではなく、ChatAIへの聞き方を質問されるケースもあります」と教えてくれた。

「生成AI活用 実証実験プロジェクト」で得られた成功体験を踏まえ、梶原氏は「まずはこの成功モデルを社内で横展開していきたいです。生成AIを活用する人が増えれば、さらに面白い使い方が出てくるでしょう。私たちは『カイゼンの専門家集団』なので、常に新しい活用方法を見つけていきたいです」と語った。

石川氏が描く未来図はさらにその先にある。「周りの経営者たちも生成AIの活用に積極的です。私たちも同様に活用し、今後は『AIが裏側で仕事をしている』環境を作りたいと考えています。特定の誰かが使いこなすのではなく、誰が使っても等しくAIのアシストを受けられる仕組みを構築し、会社としての武器にしていきます」と見据えている。

アルファテックスは現在、画像生成や音声議事録作成といったChatAIのエージェント機能も取り入れ、さらなる活用の幅を広げている。「Google検索と同じ感覚で、今では分からないことがあればすぐChatAIに聞いています」と笠原氏が語るように、ChatAIはもはや特別なツールではなく、日常の一部となっている。

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