「人の焼けるにおい」「骨を切断する音」…物騒な出だしから始まる漫画『手術室の中で働いています。オペ室看護師が見た生死の現場』(竹書房)はSNSフォロワー数25万人以上を誇る漫画家・人間まおさんが、自身のオペ室看護師時代を描いた一作だ。昨年末に発売され、その衝撃的な内容で大きな話題を呼んだ。
看護師1年目でオペ室配属となった人間まおさん。右も左もわからない新人看護師が人の生死を左右する現場で見たものとはなんだったのか。(聞き手=小林空・記者)
前編「「切ったばかりの足が重すぎて」…手術で「切断した人体」の意外な行き先《オペ室看護師が明かす》」では、新人でありながら四肢切断術に立会い、看護師としての強い自覚を持つようになった人間さんの姿が描かれた。
手術室ではとにかく、患者の命を守るために新たに学ばなければならないことが多かったという。
「オペ室は、自分が一歩でも間違えれば患者さんの命に係わる――その恐怖感、緊張感がつねに付きまとう職場でした。雰囲気に慣れるには3か月ほどかかったでしょうか。とにかく勉強しなければいけないことが多かったです。
看護学校では注射の打ち方やシャワーの介助など、病棟での知識は学ぶのですが手術室での知識は一切教えられません。だからゼロからのスタートでした。勉強しながら「学校に行った意味、あったのかな」と思ったこともありました」(人間さん)
オペ室看護師の仕事とは
オペ室看護師には、大きく分けて「機械出し」「外回り」と呼ばれる二つの仕事がある。
機械出しは手術用の機械を医師に渡すのが仕事だ。手術の流れを見ながら次に使う機械を準備し、体内遺残を防ぐために機械や衛生材料、ガーゼのカウントを行っていく。
さらに医師によって「クセ」や「「好み」があるため、それも考慮して機械出しをしなくてはならない。まるで、料理人が3人いる料理番組でアシスタントを一人で務めるようなものなのだ。
「知識がある程度身について、自分で何とか仕事をこなせるようになるまでに1年くらいかかりました。とはいえ、オペ室の看護師はあらゆる手術を任されますし、先生が変わると手術のやり方も変わるので、1年たってもわからないことばかりでしたね。
整形外科の手術をした次の日に婦人科の現場を任されたと思ったら、夜勤ではいきなりしらない手術の担当になって。そんな日々の連続でした」(人間さん)