活動休止を発表した嵐の5人に対しても指摘できる、マジックのような「偶然」の導き方をお教えします!
「あれ、こんな偶然ってある?」って出来事は、誰しもが1度は経験したことがあるのではないでしょうか。
僕がよく目にする偶然は、「あれ、●●さんの誕生日って私のおじいちゃん(もしくは近しい家族の誰か)と同じだ!」という話題。
実はこれ、たとえば自分も含めて一族のうち8人分(本人、兄弟姉妹のうち1人、両親、それらの祖父祖母)の誕生日を覚えていたとしたら、約2%の確率でこの現象が起きます。2%ということは、週に1回誰かに誕生日を聞くとしたら、50人つまり1年のうちに1回は起きる、という確率になります。
今回は、このように偶然と感じる出来事に関してのフシギな確率のお話と、こういった偶然が必然的に起きる事象のお話の、2つをご紹介します。
【雑学5】5人いると必ず同じ血液型の人がいる!
2020年に活動休止というニュースが話題を集めたアイドルグループ嵐は5人編成ですが、このように5人を対象としたときに使えるのがこちら、「5人いると必ず同じ血液型の人がいる」という法則です。
嵐だけでなく5人いればいいので、ほかにも解散前のSMAPや少し前でいえばザ・ドリフターズなど、そしてたまたま食事に行ったときに5人いれば、その5人でも成り立つ話です。
この話がどういった数学にかかわる話なのか説明する前に、この現象の名前を紹介しましょう。その名も「鳩ノ巣原理」です。
名前だけではピンとこない原理ですし、おそらく初めて聞いたという方が多いのではないでしょうか。中学数学、高校数学ではしっかりと名前を明記されたうえで使われることがない原理なので、それは普通のことかもしれません。
さて、鳩ノ巣原理はどういった原理かというと、「n個の巣とn+1匹の鳩がいて、すべての鳩がいずれかの巣に入ったとしたとき、必ず1つ以上の巣には2羽以上の鳩がいることになる」というものです。
具体例として4個の巣に5羽の鳩が入ったとしたら、以下のようにどこかの巣には2羽以上入ることになることが一目瞭然です。
この原理を嵐の血液型の場合で考えるとどうなるでしょう。
血液型はA型、B型、O型、AB型の4種類で、嵐のメンバーの人数は5人です。つまり、先ほどの例と同じように「血液型が4種に対して5人のメンバーがいるのでどれかの血液型には2人以上いる」ことが言えるのです。
実際に調べてみると、嵐のメンバーは相葉君のみAB型で、ほかのメンバーは全員A型です。血液型の偏りを感じつつも、原理通りの結果となっていました。
これがもし4人のみの場合、それぞれがA型、B型、O型、AB型というケースがあり得る、ということです。
実際には、グループ内でどのように血液型が分布しているのでしょうか。この記事のために、多くのアイドルグループをはじめとした4人組と5人組の血液型について調べてみました。
その結果、4人組でA型、B型、O型、AB型とばらけているケースは見つけることができませんでした。5人組でもA型、B型、O型、AB型と4種類の血液型のメンバーがいるというケースは1例のみ(リップスライムが各血液型1人ずつに、血液型非公開の組み合わせでした)しか見つけることができませんでした。
どうやら、鳩が偏りなくバラバラの巣におさまるケースの方が少ないようです。
実は、仮にすべての血液型が同じ割合で存在し、メンバーの組まれ方が完全にランダムだとした場合でも、4人組で綺麗に4種類の血液型となることのほうが珍しくなります。
その確率は、4!/44=4×3×2×1/4×4×4×4=24/256=3/32となります。非常に少ないことがわかります。(「!」は階乗を示す記号。つまりこの確率を出す式は、「4の階乗÷4の4乗」です)
話を戻すと、この鳩ノ巣原理を使って、血液型にとどまらずこのような話をすることができます。
・ある場に5人以上いるとき、同じ血液型の人が必ず2人以上いる
・ある場に13人以上いるとき、同じ星座の人が必ず2人以上いる
・ある場に13人以上いるとき、同じ誕生月の人が必ず2人以上いる
・ある場に32人以上いるとき、同じ日生まれ(月を除く日のみ)の人が必ず2人以上いる
・ある場に20万人以上いるとき、同じ髪の毛の本数の人が必ず2人以上いる
最後の1つについて補足しましょう。髪の毛の本数は多くても15万程度と言われているので、それよりも多い数の人数がいれば「同じ本数の人がいる」ということになります。
言うまでもなく、実際に誰と誰が同じ本数なのかを確かめる方法は難しいでしょう。1人1人の髪の毛の本数を数えること自体が難しいし、それを10万人を超える人数で調査するというのも現実的ではありません。
そんな調査をしなくても、「同じ本数の人がいる」と断言できるのが、この鳩ノ巣原理の便利なところなのです。
【雑学6】30人いれば3分の2以上の確率で同じ誕生日がいる偶然が起きる
さて続いては、「鳩ノ巣原理」のように「必ず」とまではいかなくとも、「直観よりも明らかにその事象が起きる確率が高くなる」事象の話をご紹介します。
「誕生日のパラドックス」と呼ばれる、確率の不思議な話として有名な話です。
このパラドックスは、その名前の通り誕生日に関する直観から反する話で、以下のようなものです。
・23人いるとき、その中に同じ誕生日の人がいる確率は50%以上となる
誕生日はうるう年にある2月29日も含めると366種類あります。同じ誕生日の人がいる確率が半分以上になるには、その366種類の半分の183人が必要なのでしょうか。
そうではありません。むしろ、その約8分の1の23人ですむのです。
さらに、この例をだせば驚くと思いますが、30人いれば3分の2以上の確率で、そして50人いれば95%以上の確率で、同じ誕生日の人がいることになるのです!
なぜこんな確率になるのでしょうか。少し数学的に見ていきましょう。
2月29日も含めて、すべての誕生日が同じ分布で存在すると仮定したうえで計算していきます。人数が増えると誕生日が「重なる確率」をいきなり求めることは難しくなってくるので、先に「重ならない確率」を考えます。
2人いるときその2人が同じ誕生日にならない確率は、1人の誕生日を固定してその人と重ならない誕生日と考えると、残りの365日のいずれかであればよいので、確率は365/366となります。
3人の場合は、先ほど求めた2人目まで誕生日が重ならない確率に加えて3人目も重なってはいけないので、確率は
365/366×364/366
となります。人数が増えても、同様に考えていくことができます。n人いる場合は
365/366×364/366×……×(365-n+1)/366
が、n人の誕生日が重ならない確率となります。
あとは全体から上の確率を引いたものが、n人の誕生日が重なる確率となり、
1-365/366×364/366×……×(365-n+1)/366
が、確率の式となります。この式を使って計算していくと、n=23のとき50%を超えるということになるのです。
僕自身、講師をする算数・数学講座で、実際に参加者に対してこの「誕生日のパラドックス」をよく体験してもらっています。
昨年実施したある講座では、100人とちょっと参加者がいらっしゃいました。その中で、同じ誕生日の人は12組。加えて、1組は3人が同じ誕生日だったのです。
実は、100人いると3人が同じ誕生日となるのは珍しいことではありません。ぜひ、大人数集まったときにお試しいただきたい雑学数学です。
人数が多くなくても、たとえば10人くらいだけしかいないときも、これに近い体験ができます。「1から100までの数のうち好きな数を5個、ほかの人とかぶらないように選んでもらう」というルールで試してみてください。
今回紹介した2つの話、それぞれ異なる分野の話ではありますが、人が一定数いると試すことができる雑学数学なので合わせてご紹介しました。
後半の話に関しては比較的多い人数がいないと試しにくい話ではありますが、実際にやってみると盛り上がること間違いなしです。試せる場面に出会えるまで、ぜひ頭の片隅にいれておいてください。