NHK党・立花孝志逮捕で問われる高市自民党の姿勢

9日、兵庫県警は政治団体「NHKから国民を守る党」(以下、N党)党首の立花孝志容疑者(58)を名誉毀損容疑で逮捕した。同容疑者は、今年1月18日に自殺した元兵庫県議の竹内英明氏をSNSで攻撃。昨年12月から今年1月にかけて「竹内県議はめっちゃやばいね。警察の取り調べを受けているのは間違いない」「彼自身(竹内氏)が私のところにはいっている情報では私文書偽造等行使罪で昨年の11月24日の時点では、逮捕されるのではないかという情報が入っていた。最終的な証拠がそろわないので、任意の事情聴取が繰り返されていて明日(今年1月19日)逮捕する予定であったところ、本人は逮捕される前にも自ら命を絶ったのではないかと」などと虚偽の内容をもって誹謗。竹内氏の妻が、今年6月に刑事告訴していた。

■自殺者まで生んだ立花容疑者の誹謗中傷

立花容疑者のデマや誹謗中傷は数限りなく発信されており、そのいずれもが国会に議席を持つ政治団体トップのものとは思えない酷い内容だった。

昨年11月、立花容疑者は内部告発問題を巡って辞任に追い込まれた斎藤元彦兵庫知事の出直し選挙に立候補。「斎藤知事に投票してください。立花とは書かないように」と自らの当選を放棄して、斎藤氏を支援する「二馬力選挙」を展開した。

一方、亡くなった竹内氏は、兵庫県議会が設置した内部告発問題を調査する百条委員会などで追及の「急先鋒」として知られていたため、立花容疑者のターゲットとなったとみられている。「竹内が内部告発の黒幕」――立花容疑者は裏付けもとらぬまま、兵庫県知事選の街頭演説で、そう訴えたのである。

調子に乗った立花容疑者は、百条委員会の委員長だった奥谷謙一県議の自宅前に押しかけ、街頭演説と称してSNS上に動画を配信。大勢の聴衆を集めた上で「出てこい奥谷」「あんまり脅しても、奥谷さん自死しても困る」と発言。さらに、「次は竹内のところにも行く」「ひとりを狙い撃ちする。これはいじめの原則。いじめる時いっぱいいじめる。がーっていくんですよ。こいつ辞めさせる。まわりの人ビビってひっくり返るんです。だから今だったら奥谷か、それこそ竹内か丸尾」と宣言していた。

立花容疑者の狂態がネット上に出回ると、選挙に直接関係がない竹内氏に対する誹謗中傷の投稿がSNS上で拡散。竹内氏はなすすべなく、家族に被害が及んではと兵庫県知事選が終わった直後の2024年11月18日に県議を辞職した。それでも立花容疑者のデマ攻撃は続き「竹内県議はめっちゃやばいね。警察の取り調べを受けているのは間違いない」「いま警察に呼ばれていますよね、だれとは言いませんが。お前これまで税金で生活してたやろ。竹内元県議会議員です」などと竹内氏が警察から捜査を受け、逮捕される可能性まで示唆していた。

そして今年1月18日、竹内氏が自死した翌日にも街頭で、「(竹内氏に)任意の事情聴取が繰り返され、明日逮捕する予定であった。本人は逮捕される前にも自ら命を絶ったのではないかと。自業自得」と述べていた。まともな人間がやることではあるまい。

竹内氏の自死後、兵庫県警は「(武内氏への捜査は)全くの事実無根であり、明白な虚偽」と完全否定。これを受けた立花容疑者はSNSの投稿を削除したが、一度炎上した内容は収束するどころかさらに拡大していった。そして今回の逮捕。過去に判例がないとされる“死者への名誉毀損”という容疑まで立件されている。

竹内氏の遺族代理人である郷原信郎弁護士は次のように話す。

「竹内氏の生前の名誉毀損は十分成立すると思っていた。ただ、死亡後の名誉毀損は過去に有罪となった例がないほどハードルが高いもので、厳しいかと思っていた。兵庫県警と神戸地検はそこにも踏み込んで立件をしており、その点は評価できる。それほど立花容疑者の言動が酷かったという裏返しでもある」

立花容疑者が代表を務めるN党は、今年7月の参議院選挙に候補者を擁立して惨敗。現在の所属は、斉藤健一郎参議院議員一人だ。参院選で過半数を失った自民党は、何を血迷ったのかその斉藤氏を自民党会派に招いている。同議員は兵庫県知事選で立花容疑者の“前座”としてマイクを握り、問題発言の露払い役となった人物。参議院でN党との関係を続けるというのなら、高市自民党は立花容疑者の行為を容認するということに他ならない。

立花容疑者はこれまで数々の暴言は「政治的」と呼べるものではない。7月の参議院選挙で野次を飛ばさた際は、「お前みたいなやつを殺す法律作ったろか」「選挙の妨害をするやつ、殺す、死刑にする」ととんでもない暴言を吐いていた。まるでヤクザ。その言動に恐怖を覚えたのは亡くなった竹内氏だけではない。

竹内氏の妻はオンラインの記者会見で、「刑事告訴して以降、どうなるのか不安や心配がありました」と心境を述べた。立花容疑者逮捕で直接的な被害を受ける可能性は遠のいたが、大切な伴侶を政治ゴロのウソやでっち上げで失った痛みは消えることがない。

■N国議員と統一会派を組んだ自民党

こうした中、「高市劇場」で高支持率に浮かれる自民党も、爆弾を抱え込んだ格好となっている。政権基盤の弱い高市政権の足元を固めようと参議院自民党が統一会派に入れたのがN党の副党首である斉藤健一郎議員。ある自民党の幹部は、斉藤議員を自民党会派に導いたのは「西田昌司参議院議員だ」とした上で、こう話している。

「斉藤さんの会派入りにはかなり異論が出た。兵庫県連からも申入書が出され『断じて受け入れがたい』とされていたが、立花容疑者の逮捕で益々厳しい状況になってきた。このままでは自民党も立花容疑者と同一視されてしまうだろう。いくら過半数を割ったからといっても、立花の陣営と組むというのはあり得ない。西田はとんでもないヤツを入れたもんだ。せっかく高市政権の支持率が高いのに、水を差したも同然だろう」

10日、その高市早苗首相は、衆議院予算委員会で立憲民主党の川内博史氏から参議院自民党がN党の斉藤議員と会派を組んでいることについて聞かれ、「自民党は無所属の斉藤氏と統一会派を組んでいる。政治団体NHK党と組んでいるということではない」と答弁した。政党要件を失っているN党の所属議員を無所属扱いするのは間違いではあるまい。しかし、斉藤参院議員はN党の公認候補として議席を得ており、現在は同党の「副党首」という立場。高市氏の主張は詭弁に過ぎない。

 

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