PC用メモリー(DRAM)の価格が2025年に入って急騰している。PCPartPickerの価格トレンドによれば、一般的な32GB(16GB×2枚)のDDR4-3600メモリーキットが、2025年6月ごろから急騰し始め、12月には約3倍の水準に達している。この状況を受けて、12月1日にRaspberry Piが値上げを実施、同月3日にMicronが一般消費者向け「Crucial」ブランドからの撤退を発表するなど、価格高騰の影響が表面化している。
こうした中、ASRockのベトナムのWebサイトに登場したマザーボード「H610M Combo」が注目を集めている。対応CPUは第12〜14世代のIntel Coreプロセッサ(LGA1700)で、フォームファクタはmicroATX。やや前の世代のエントリー〜ミドルクラス向けの製品だが、4本のDDR5スロット(最大96GB)と2本のDDR4スロット(最大64GB)を搭載し、どちらか一方のメモリーを選んで使える「コンボ構成」となっている点が特徴だ。
DDR4とDDR5には下位互換性がない。見た目は似ているものの、溝の位置や動作電圧が異なるため、DDR4用スロットにDDR5を挿すことも、その逆もできない。ASRockのコンボ設計は、両規格のスロットを物理的に併設することで、この制約を回避している。なお、DDR4とDDR5を同時に使用することはできない。
このコンボ構成により、例えば手元にDDR4メモリーがある場合、まずはそれを流用してPCを組み、後からDDR5へアップグレードすることが可能になる。DDR5対応システムへの移行負担を軽減できるわけである。ASRockはWebページで現在のメモリー価格状況に直接言及していないが、価格急騰期を避けてアップグレードのタイミングを柔軟に選べるため、「価格変動に対する保険」として機能すると注目されている。
ただし、このコンボマザーボードを購入すれば、メモリー価格高騰の影響を完全に避けられるかというと、答えは慎重にならざるをえない。まず、コンボ構成による価格プレミアムがどの程度付くか見極める必要があるが、現時点で価格は公表されていない。また、メモリーを新規購入するのであれば、DDR4の価格も上昇しており、コスト面でのメリットは限定的だ。このコンボマザーボードは手元にDDR4メモリーがあり、予算を抑えたい人向けの選択肢にとどまりそうだ。
それでも、ASRockのような大手メーカーからこうしたコンボマザーボードが登場したこと自体が、現在のメモリー市場の異常さを象徴しているといえるだろう。

