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収益確保難しく…パナソニックHDが家電再編、テレビ「切り出す」

収益確保難しく…パナソニックHDが家電再編、テレビ「切り出す」

米国で1月、「ファイアOS」搭載の新型テレビを発表した

パナソニックホールディングス(HD)が家電事業の再編を打ち出した。今後の成長を見いだせないとする「課題事業」にテレビも含んでおり、楠見雄規社長は「(グループから外に)出す覚悟は持っている」と決意をにじませる。海外メーカーとの価格競争が激化し、収益確保が難しい背景がある。「総合家電メーカー」としての企業イメージを象徴するテレビの立ち位置が揺らいでいる。(大阪・森下晃行)

「ようやく踏ん切りをつけたか」。パナHD傘下の事業会社幹部は新たな経営戦略をこう評した。HD傘下の「パナソニック株式会社」が手がける家電は一般消費者になじみのある製品分野だが、コモディティー化も進んでいる。特に中韓資本のメーカーが安価な製品で攻勢をかけており「何らかのポジションシフト、ポートフォリオ戦略が必要になるのは見えていた」と前述の幹部は指摘する。

パナHDがこのほど発表した事業再編計画では、家電事業を含む五つの社内分社を抱えるパナソニックを2025年度内に解散する。映像・放送機器を手がける別の事業会社からテレビ事業を移管し、グループの家電事業を集約した新会社を設立する。テレビを含む事業会社の売上高は2683億円(24年3月期)で、HD全体の売上高の3%程度にとどまる。テレビの収益性に関しても、楠見社長は24年5月時点で「白字(ブレイクイーブン)でも事業を続ける」と話しており、決して高い収益が得られていないことがうかがえる。

テレビは画質や音質、放熱性などの機能が成熟し、最近はインターネットと接続できるスマートテレビとしての機能が求められるものの、他社製品と差別化するのは難しいのが現状。パナソニックは既に低・中価格帯の製品を海外企業に生産委託しており、今後はコンテンツ検索機能などソフト面の機能を強化した高級機種に注力する。

現在、HD傘下でテレビ事業を手がけるパナソニックエンターテインメント&コミュニケーション(PEAC)の阿南康成副社長は、テレビについて「消費者の目に触れる製品として必要だ」と事業を継続する意義を強調。「パートナーの力を借りる水平分業で商品価値を高めていく」と方向性を示す。

例えば米アマゾン・ドット・コムとの協業により、テレビ向け基本ソフト(OS)「ファイアTV」を搭載した新モデルを1月に米国で発表した。かつてプラズマテレビで撤退した北米市場に24年から再参入しており「米国内に数%いるパナ製テレビユーザーの買い替え需要を取り込みたい」(阿南副社長)との考えだ。

北米は世界最大級の市場のため買い替え需要でも一定量の販売を見込める。パナソニックブランドの重要性も高い。他方、市場規模が小さく重要性も低い地域では、販売から撤退したり製品ラインアップを減らしたりといった展開になる可能性もある。


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