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組織開発コンサルタント・おのみず社長 勅使川原真衣氏

組織開発コンサルタント・おのみず社長 勅使川原真衣氏

組織開発コンサルタントでおのみず社長の勅使川原真衣さん(43)は「脱能力主義」を説き、働く人が職場で傷つき疲弊する環境を改善して業績を上げる組織づくりを手伝っている。原動力になっているのは、能力主義への葛藤とがんの闘病経験、2人の子どもにより良い社会を残したいという思いだ。

――幼少期に能力主義に疑念を抱く経験をしたそうですね。

「小学校4年の時、担任の先生が『リーダーシップがあり素晴らしい』と評価してくれました。しかし担任が変わり6年生になると、自分のいないところで『彼女のリーダーシップについて悪い点を挙げましょう』という話し合いがもたれたのです。ショックでした。事態を知った学校側にも『リーダーシップが強すぎる』と言われました」

「担任が変わっただけで評価がこんなにも変わってしまうことに驚きました。能力や評価にまつわる組織やシステムの問題を、平然と個人の責任に帰すことができてしまう。なんて気が抜けない社会なんだろう、そんな思いを抱き続けることになりました」

――恩師との出会いが今の道を開いたと言います。

「大学卒業後、オーストラリアで日本語教師をしていた時、社会学者の苅谷剛彦さんの本「大衆教育社会のゆくえ――学歴主義と平等神話の戦後史」(中公新書)を取り寄せてむさぼるように読みました。機会の平等が結果の平等を覆い隠した現状を鋭く指摘する内容に共鳴しました。帰国して東京大学大学院に入学し、苅谷さんのもとで教育社会学を学びました。常識を疑い、物事を脱構築し、相対的に分析する目や背後に隠されたものを多面的に見る訓練を積みました」

――選んだ就職先は競争社会を生き抜く企業です。

「『敵地視察』と称して外資系コンサルタントのボストン・コンサルティング・グループなどで能力開発や人材開発商品を設計し、大企業に売る仕事を選びました」

「揺らぎ続ける人間の能力を、これがその正体だとスナップショットのように切り取って『科学的に』測る商品を作るのは容易で、高値で売れました。そこに強烈な違和感を持ちました。顧客企業の内部の人は責任も持たずに、外部のコンサル企業の商品で働く人を評価し選別する。誰が利益を得て、誰の声が封じられているのかについて考えざるを得ませんでした」

――独立し、がんとの闘病が始まりました。

「行きすぎた能力主義を疑って退職しました。組織開発コンサルタントとして17年に独立したのですが、自分自身にはまだ根深く内在していました。仕事ができてこそだという思いは変わらず、がむしゃらに働きました。長男出産後も仕事はセーブせずに睡眠時間は3、4時間を続けていました」

抗がん剤治療の副作用はつらかった。だが家族の時間をより大切にするようになり、子どもともよく遊んだ。

抗がん剤治療の副作用はつらかった。だが家族の時間をより大切にするようになり、子どもともよく遊んだ。

「長女を出産してから乳腺に悩みを抱えていたのですが、忙しさを理由に受診には至らず、20年のコロナ禍にやっと時間ができて病院に行くと進行乳がんだと告知を受けました。初めて死を意識しました。そして能力主義が席巻する世の中を2人の子どもに引き継げないという強い思いにかられ、遺書のつもりで「『能力』の生きづらさをほぐす」(どく社)を書き上げたのです。22年に出版して、ありがたいことに大きな反響を頂きました」

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