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竹内 琢磨 (TAKEUCHI Takuma)
(株)富士通研究所 < >
2020年6月11日(木)
新プロジェクト
Hyperledger Cactus のご紹介
Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD.
Hyperledger Tokyo Meetup on June 2020
自己紹介
◼ 名前: 竹内 琢磨
◼ 所属: 株式会社富士通研究所 セキュリティ研究所
ブロックチェーン研究センター
◼ 経歴
◼ 2013年 株式会社富士通研究所 入社
◼ 2016年 ブロックチェーンの研究開発を開始
◼ 2019年 Hyperledger Labs/Blockchain Integration Framework
Maintainerとしてコード・ホワイトペーパー貢献
◼ 2020年 Hyperledger Cactus の Maintainer 着任 (RocketChat ID: @takeutak)
◼ 実績
◼ 2016年 Best Idea and Use Case Award, Smart Contract Japan 2016 Blockchain
Hackathon
◼ 2017年 富士通プレスリリース「ブロックチェーン同士を安全につなげるセキュリティ技
術を開発(コネクションチェーン)」
• https://pr.fujitsu.com/jp/news/2017/11/15.html
◼ 2019年 コネクションチェーンを富士通研究所 GitHub organization,および
Hyperledger Labs プロジェクトにOSS公開
• 富士通研究所organization: https://github.com/FujitsuLaboratories/ConnectionChain-sample
• Hyperledger Labs プロジェクト: https://github.com/hyperledger-labs/blockchain-integration-framework
◼ 2020年 Hyperledgerにて Cactus を新規提案 → 正式プロジェクト承認を頂いた
Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD.1
本発表の概要
◼ ブロックチェーンの適用分野が拡がるにつれ,複数のブロックチェーンを
統合するサービスへのニーズが高まりつつある
◼ 2020年5月に承認された Hyperledger Cactus は,異なるブロック
チェーン間の安全な相互接続で実現される統合型サービスの構築を容易に
するライブラリ/ツール群を開発するHyperledger正式プロジェクトである
◼ 富士通とAccentureによる共同提案である(日本&アメリカ発!)
Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD.
ブロックチェーン基盤を
使ったツール
基盤/サービス開発用の部品 正式プロジェクト化前の
Incubation
ブロックチェーン基盤
業界限定
2
本日のアジェンダ
1. Hyperledger Cactus の概要とユースケース
2. Cactusのベースとなった技術
3. 正式プロジェクト化までの工程
4. Cactusのアーキテクチャ
5. 今後の進め方
Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD.3
1. Hyperledger Cactus の概要と
ユースケース
Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD.4
複数事業者連携型サービスの実現に向けて
◼ ブロックチェーン(BC)ビジネスも集中から分散へ
◼ 単一業界のみの限定から,異業種間の横断型ビジネスへ
◼ 単一業界のサービスではなく,異業種横断のサービスへ
◼ 例えば,電力サービスと決済サービスの場合,電力には電力の市場が,
決済には決済の市場が存在する
◼ 各々の市場の形を崩さない形で,安全に繋ぐ技術が今後必要になる
Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD.
決済サービス トークンサービス
車
チャージ
現金化 トークン化
償還
取引
サービス
ステーブル
コインBC
自動車
BC
チャージ
現金化
ステーブル
コインBC
電力
トークン化
償還
電力BC
安全な取引
を仲介
異なるブロックチェーン同士を連携する技術が,今後のビジネスの鍵となる
ブロックチェーン連携技術
5
Hyperledger Cactus の概要
◼ Hyperledger Cactus = 異なるブロックチェーン同士の統合基盤
◼ 異なるブロックチェーンで管理されるデジタル資産同士の取引を,
API呼び出しで実行可能
◼ 技術の特徴
◼ 異なるブロックチェーン間での取引が
確定するタイミングなどの差分を吸収し,
必要な資産移転を実行
◼ OSS公開範囲
◼ 異なるブロックチェーンにおける資産同士の取引を行うための技術
◼ ソフトウェア開発者向けに複数のブロックチェーンを統合したサービス提供を
容易にするためのSDK
Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD.
開発した技術はOSSとして広く公開し,異なるブロックチェーンを
経由する取引を安全かつ公平に行えるシステムを目指す
6
ユースケース1:車のシェアリングサービス
◼ 車の利用権管理ブロックチェーンと,通貨管理ブロックチェーンを統合
◼ 車を使いたいユーザが,プライベートコインの譲渡と引き換えに車の一時
的な利用権を得るサービスの創出が可能
Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD.
通貨資産,モノの所有権資産など,幅広い資産同士の決済に対応
7
ユースケース2:配送サービス [1/3]
Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD.
販売店と配送業者が個別契約し安価で商品を発送
配送状況と連動して支払いを実行
◼ 配送管理ブロックチェーンと,通貨管理ブロックチェーンを統合
◼ 販売店が複数配送業者を経由する配送を依頼する際,各々の配送業者に対
しての代金支払いが,販売店と配送業者との個別契約で可能
8
ユースケース2:配送サービス [2/3]
Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD.
販売店と配送業者が個別契約し安価で商品を発送
配送状況と連動して支払いを実行
◼ 配送管理ブロックチェーンと,通貨管理ブロックチェーンを統合
◼ 販売店が複数配送業者を経由する配送を依頼する際,各々の配送業者に対
しての代金支払いが,販売店と配送業者との個別契約で可能
9
ユースケース2:配送サービス [3/3]
Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD.
販売店と配送業者が個別契約し安価で商品を発送
配送状況と連動して支払いを実行
◼ 配送管理ブロックチェーンと,通貨管理ブロックチェーンを統合
◼ 販売店が複数配送業者を経由する配送を依頼する際,各々の配送業者に対
しての代金支払いが,販売店と配送業者との個別契約で可能
10
2. Cactusのベースとなった技術
Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD.11
Cactusのベースとなった技術
◼ Cactusのベースとなった技術
◼ 2019年11月に,Hyperledgerの実験用小規模プロジェクトである
Hyperledger Labs プロジェクトを設立.上記技術をマージ・再構築
◼ 2020年5月に Hyperledger 正式プロジェクト化
Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD.
ConnectionChain
(2017年~)
Blockchain Integration Framework
(2018年~)
Cactusは,既存の2つのブロックチェーン連携技術をベースとしつつ
両者をマージして再構築した新規技術である
富士通 Accenture
12
富士通のブロックチェーン間連携技術
◼ コネクションチェーン
◼ 2017年11月 プレスリリース
(http://pr.fujitsu.com/jp/news/2017/11/15.html)
◼ 2019年11月 OSS公開
(https://github.com/FujitsuLaboratories/ConnectionChain-sample)
◼ 異なるブロックチェーン同士を,ブロックチェーンで安全に繋げるセキュリ
ティ技術
◼ 仮想通貨間の交換や,企業間でのデータ取引(商流)と支払い(金流)をつなげる仕
組みとして活用可能
Copyright 2019 FUJITSU LABORATORIES LTD
ブロックチェーン間連携動作時に問題となる手続きの透明性確保と,
取引間の同期を取るために必要なエラーリカバリーなどを自動化する技術
13
処理ルール / 取引証跡
(WorldState)
コネクションチェーンの仕組み
Copyright 2018 FUJITSU LABORATORIES LTD
連携
ノード
連携
ノード
拡張スマート
コントラクト
BC
Controller
BC
Controller
取引 取引
ブロックデータ ブロックデータ
一般ユーザの
発行した取引
として処理
承認された取引
をブロックデータ
から取り込む
連携先BCの取引
結果を根拠にした
拡張スマートコントラクト実行
連携先ブロックチェーン-1 連携先ブロックチェーン-2
ConnectionChain ™
連携ノードを介した取引の発行やモニタリングで非中央集権型の連携を実現
14
コネクションチェーン誕生のいきさつ
◼ 誕生のきっかけ: 弊社のブロックチェーン営業さん(2016年)のお話
◼ 2016年からブロックチェーン連携機能のプロトタイプコードを開発して,
研究プロジェクトを始動
◼ 2017年に「コネクションチェーン」として技術開発を発表
Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD.
営業の一言をきっかけに,新規研究テーマを具現化.
まだクロスチェーン技術が盛んでない2016年の頃から早期に着手開始
あるブロックチェーンを利用したPoCを提案したけど,
お客様から「私達はEthereumの導入を検討しており,
ブロックチェーンの種類が異なるから無理」
って仰られてしまい,上手くいかなかった....
弊社営業
この言葉をきっかけに,「どんなブロックチェーンに対してでも繋げられ
るブロックチェーン」に将来的なニーズが高いと推測
15
Accentureのブロックチェーン技術
◼ Blockchain Integration Framework
◼ 2018年プレスリリース (https://www.accenture.com/t20181022T205253Z__w__/us-
en/_acnmedia/PDF-88/Accenture-20180514-Blockchain-Interoperability-POV.pdf)
◼ 異なるブロックチェーン同士を,署名機能付き連携ノードの組で安全に繋げる
セキュリティ技術
Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD.
署名機能付き連携ノードによって,安全にブロックチェーン間連携を実現する技術
Validatorノードの電子署名
で取引結果の信用を確保
Verifierノードは,Validatorの
電子署名を検証する
16
3. 正式プロジェクト化までの工程
Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD.17
プロジェクト成立までの流れ
Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD.
Blockchain Integration Framework
Hyperledger Cactus
正式プロジェクト化
(2020/5)
1つのプロジェクト
にマージ
初会合
(2019/7)
Hyperledger
Labsプロジ
ェクト設立
(2019/11)
Global
Forum
発表
(2020/3)
ConnectionChain
Hyperledger
技術運営委員
会議
(2020/4)
富士通
Accenture
18
初会合に至るまで
◼ 前提: Hyperledgerの正式プロジェクト化は,原則として単社発表は困難
◼ 2019年7月 Hyperledger Member Summit で仲間づくり開始
◼ まさかの東京開催!(虎ノ門ヒルズ)→ 地理的に行きやすい
◼ 富士通はHyperledgerのプレミアメンバーであるから,ネットワーキングを作
りやすかった
◼ 対面開催というメリットを活かし,同じくブロックチェーン連携技術でプ
ロジェクト化を狙うAccenture社のメンバーと出会い,交流開始
Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD.
Hyperledger主催の対面イベントを活かし,パートナーの発見に至る
19
2つのBC連携技術のマージ
◼ ConnectionChainと Blockchain Integration Framework の
マージ
→ 基本的には異なる技術であり,マージは容易ではなかった
◼ 苦労したポイント
◼ 設計原則が根本から異なり,バッティングしている箇所もある
•例: 資産の Proof of Burn (資産滅却)を許容するか否か
•ConnectionChainはPoBを許容しない構成
•Blockchain Integration Framework はPoBを許容する構成
◼ 解決策: オープンな場で広く意見を集めてマージする
•富士通・アクセンチュア以外の他社のエンジニアの意見も募り,どの設計原
則を活かすかを選択.
Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD.
オープンソースコミュニティの利点を生かし,
第3者の意見を広く募る形で2つの技術のマージを実現
20
Hyperledger Global Forum 発表まで
◼ 両者実装のマージ方針を合意し,2020年3月のHyperledger Global
Forum での発表へ
Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD.
Labsプロジェクトでの活動を通じ,両者実装のマージ方針を合意して発表
[Verifier]
Validatorとの双方向通信を
用いた,ファイアウォール
対応の抽象化命令機能
(ベース: ConnectionChain)
[Validator]
異なるBC間の取引確定
タイミングの差分を
吸収する処理
(ベース: Blockchain
Integration Framework)
21
Hyperledger Global Forum 2020での講演
◼ Hyperledger Global Forum 2020
◼ 開催地: Phoenix, AZ, USA
◼ 参加者数: 400人程度
◼ 富士通&Accenture講演
◼ "Connecting Ecosystems:
Blockchain Interoperability"
◼ Labsプロジェクトの取り組みを紹介し,
Accenture&富士通のマージ版実装アーキテクチャを提示
◼ 講演動画: https://www.youtube.com/watch?v=fgYrUIc_-
sU&list=PL0MZ85B_96CFY3isYUplorFSenn04WwBt&index=8
◼ 講演後,Hyperledgerの役員から支持コメントをいただき,
そのまま正式プロジェクト化に向けた審査会議へ
Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD.
富士通&Accentureによる
Labsプロジェクトの講演
Hyperledger Global Forum の発表から好評価を頂き,
正式プロジェクト化に向けた審査会議へ
22
Hyperledger TSC におけるプロジェクト化審査
◼ Hyperledger TSC (Techinical Steering Committee) において,
「Cactusを正式プロジェクト化するか否か」という議論がなされた.
(4/16(木), 23(木), 30(木) の全3週間)
◼ 議論のポイント
◼ 市場ニーズは何か?
• Cactusの場合,提案書には技術内容しか書いておらず,利用イメージを掴んでいただく
ことが難しかった
→ 次の打合せごとに新しく資料を書き起こし,説明へ.
◼ 他に類似するプロジェクトは無いか?
• Cactusの場合,既にブロックチェーン連携プロジェクトとして Hyperledger Quilt が
あり,その差分を問われた
◼ 苦労話
◼ 海外時差開催のため,日本時間では23時からのオンライン開催...
Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD.
全3週間の会議の結果,技術運営委員の賛成過半数で,
Labsプロジェクトから正式プロジェクト採択へ
23
プロジェクト承認に関する補足
◼ 今回のプロジェクト承認のスピードは,Hyperledger のプロジェクトにお
いて異例の速さ
◼ 本件に関して,Hyperledger Exective Director の Brian Behlendorf 氏
からコメントを頂いた
Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD.
Brian Behlendorf氏 のコメント
AccentureとFujitsuのサポートと初期コードの貢献,そ
して説得力のあるユースケースにより,Hyperledgerプロ
ジェクト化のプロセスを迅速に進めました.
Hyperledger Cactus がHyperledgerプロジェクトとなっ
た今,市場に対応したブロックチェーン統合技術の提供に
おいて,より大きなリソースが期待できます.
富士通プレスリリース
https://www.fujitsu.com/global/abo
ut/resources/news/press-
releases/2020/0515-01.html
24
4. Cactusのアーキテクチャ
Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD.25
Cactusの設計原則
◼ (1) ブロックチェーン上のデジタル資産の総量を可能な限り変更しない
◼ デジタル資産を追加・削除できるような特権ユーザを用意しない
→ 連携部分(Cactus)に中央管理権限を付与しない(= 公平性)
◼ (2) 共通操作の抽象化
◼ ブロックチェーンの種類に関わらず,共通操作によりブロック監視・取引発行
が可能
→ 多種類のブロックチェーンとも汎用的に接続可能(= 汎用性)
◼ (3) プロキシ/ファイアウォール/NAT との互換性
◼ ブロックチェーンに依存しない双方向通信チャネルを利用した,プロキシ/ファ
イアウォール/NATを介することが可能な,ブロックチェーン上の監視・取引発
行の仕組み
→ 厳重に守られた企業内サービスとも安全に連携可能(= 企業サービス連携)
◼ 他の設計原則は Cactus WhitePaper を参照
◼ <https://github.com/hyperledger/cactus/blob/master/whitepaper/whitepaper.md>
Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD.
公平性,汎用性,企業サービス連携を備えた,
ビジネス利用可能性の高いブロックチェーン統合技術を目指すための原則
26
Cactusのアーキテクチャ [1/2]
Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD.
各々の機能別にプラグインとして分離されているので,
開発者は,特定の機能開発に注力可能
27
Cactusのアーキテクチャ [2/2]
Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD.
各々の機能別にプラグインとして分離されているので,
開発者は,特定の機能開発に注力可能
Cactus Routing Interface:
各プラグイン間のルーティング機能
およびユーザからのAPI受付機能を提供
Business Logic Plugin:
ビジネスロジックを実行し,
複数のブロックチェーンを連携した
統合サービスを提供
Ledger Plugin:
Business Logic Plugin と
ブロックチェーンを連携する接続機能を提供
28
他のブロックチェーン連携技術との比較
Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD.
Hyperledger Cactus Interledger COSMOS Hub
特徴
異なるBCの違いを
抽象化して吸収する
統合サービス開発用SDK
特別な鍵を事前に用意し,
ある暗号通貨を別の
暗号通貨に直接交換
変換元・変換先暗号通貨の
媒介となる第三の暗号通貨
を介して交換
通貨以外の連携
通貨・トークン資産のほか,
汎用的なAPIイベント
連携が可能
通貨資産のみ 通貨資産+トークン資産
連携方式
Blockchainで
BCやAPIを仲介
アプリ,サービスで
BC間を連携
BlockchainでBC間を仲介
連携サービス
運営主体
取引をサービスとして
仲介するコンソーシアム
(信頼できる第三者)
暗号通貨XRPの運営主体
媒介となる暗号通貨の
運営主体
実サービス運用を見据えて,APIイベントとの連携を行い,
かつ,連携サービスの運営主体を第三者サービスとする
29
Cactusにおけるサービス構築の進め方
Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD.
開発者はビジネスロジックの構築のみに注力することで,
ブロックチェーン統合サービスを構築可能
Routing Interface は
Webサービスとしての利用
開発者は
Business Logic
Plugin をカスタマイズ
開発者は
各々のブロックチェーン向け
Ledger Plugin を使い回し可能
30
5. まとめと今後の進め方
Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD.31
まとめと今後
◼ まとめ
◼ 今後の異種ブロックチェーン連携へのニーズの高まりに備え,
ブロックチェーン統合SDK開発プロジェクト Hyperledger Cactus を発足
◼ Hyperledger Cactus は,多種ブロックチェーン接続・企業ネットワークとの
親和性を備えた,ビジネスサービス向けブロックチェーン統合基盤
◼ 富士通&Accentureの技術をベースにし,Hyperledger Labs プロジェクトの
活動を通じて技術をマージ.異なるブロックチェーン間の差分吸収を備えた
異種ブロックチェーン統合を実現
◼ 今後の開発/運用
◼ β版開発を2020年10月までに行い,そこから得られたフィードバックをもとに
v1版を2021年4月までに開発予定
◼ 各分野での運用経験が鍵であるため,実証のパートナーを募集しています
◼ Cactus 自体にご興味のある方のご参加もお待ちしております
Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD.
Cactusを用いた異業種協業ビジネスにご興味のある方は,
ご連絡いただけると幸いです
32
Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD.
Join the Cactus Community!
GitHub:
https://github.com/hyperledger/cactus
WhitePaper:
https://github.com/hyperledger/cactus/blob/master
/whitepaper/whitepaper.md
RocketChat:
https://chat.hyperledger.org/channel/cactus
33
Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD.

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新プロジェクト Hyperledger Cactus のご紹介

  • 1. 竹内 琢磨 (TAKEUCHI Takuma) (株)富士通研究所 < > 2020年6月11日(木) 新プロジェクト Hyperledger Cactus のご紹介 Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD. Hyperledger Tokyo Meetup on June 2020
  • 2. 自己紹介 ◼ 名前: 竹内 琢磨 ◼ 所属: 株式会社富士通研究所 セキュリティ研究所 ブロックチェーン研究センター ◼ 経歴 ◼ 2013年 株式会社富士通研究所 入社 ◼ 2016年 ブロックチェーンの研究開発を開始 ◼ 2019年 Hyperledger Labs/Blockchain Integration Framework Maintainerとしてコード・ホワイトペーパー貢献 ◼ 2020年 Hyperledger Cactus の Maintainer 着任 (RocketChat ID: @takeutak) ◼ 実績 ◼ 2016年 Best Idea and Use Case Award, Smart Contract Japan 2016 Blockchain Hackathon ◼ 2017年 富士通プレスリリース「ブロックチェーン同士を安全につなげるセキュリティ技 術を開発(コネクションチェーン)」 • https://pr.fujitsu.com/jp/news/2017/11/15.html ◼ 2019年 コネクションチェーンを富士通研究所 GitHub organization,および Hyperledger Labs プロジェクトにOSS公開 • 富士通研究所organization: https://github.com/FujitsuLaboratories/ConnectionChain-sample • Hyperledger Labs プロジェクト: https://github.com/hyperledger-labs/blockchain-integration-framework ◼ 2020年 Hyperledgerにて Cactus を新規提案 → 正式プロジェクト承認を頂いた Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD.1
  • 3. 本発表の概要 ◼ ブロックチェーンの適用分野が拡がるにつれ,複数のブロックチェーンを 統合するサービスへのニーズが高まりつつある ◼ 2020年5月に承認された Hyperledger Cactus は,異なるブロック チェーン間の安全な相互接続で実現される統合型サービスの構築を容易に するライブラリ/ツール群を開発するHyperledger正式プロジェクトである ◼ 富士通とAccentureによる共同提案である(日本&アメリカ発!) Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD. ブロックチェーン基盤を 使ったツール 基盤/サービス開発用の部品 正式プロジェクト化前の Incubation ブロックチェーン基盤 業界限定 2
  • 4. 本日のアジェンダ 1. Hyperledger Cactus の概要とユースケース 2. Cactusのベースとなった技術 3. 正式プロジェクト化までの工程 4. Cactusのアーキテクチャ 5. 今後の進め方 Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD.3
  • 5. 1. Hyperledger Cactus の概要と ユースケース Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD.4
  • 6. 複数事業者連携型サービスの実現に向けて ◼ ブロックチェーン(BC)ビジネスも集中から分散へ ◼ 単一業界のみの限定から,異業種間の横断型ビジネスへ ◼ 単一業界のサービスではなく,異業種横断のサービスへ ◼ 例えば,電力サービスと決済サービスの場合,電力には電力の市場が, 決済には決済の市場が存在する ◼ 各々の市場の形を崩さない形で,安全に繋ぐ技術が今後必要になる Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD. 決済サービス トークンサービス 車 チャージ 現金化 トークン化 償還 取引 サービス ステーブル コインBC 自動車 BC チャージ 現金化 ステーブル コインBC 電力 トークン化 償還 電力BC 安全な取引 を仲介 異なるブロックチェーン同士を連携する技術が,今後のビジネスの鍵となる ブロックチェーン連携技術 5
  • 7. Hyperledger Cactus の概要 ◼ Hyperledger Cactus = 異なるブロックチェーン同士の統合基盤 ◼ 異なるブロックチェーンで管理されるデジタル資産同士の取引を, API呼び出しで実行可能 ◼ 技術の特徴 ◼ 異なるブロックチェーン間での取引が 確定するタイミングなどの差分を吸収し, 必要な資産移転を実行 ◼ OSS公開範囲 ◼ 異なるブロックチェーンにおける資産同士の取引を行うための技術 ◼ ソフトウェア開発者向けに複数のブロックチェーンを統合したサービス提供を 容易にするためのSDK Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD. 開発した技術はOSSとして広く公開し,異なるブロックチェーンを 経由する取引を安全かつ公平に行えるシステムを目指す 6
  • 9. ユースケース2:配送サービス [1/3] Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD. 販売店と配送業者が個別契約し安価で商品を発送 配送状況と連動して支払いを実行 ◼ 配送管理ブロックチェーンと,通貨管理ブロックチェーンを統合 ◼ 販売店が複数配送業者を経由する配送を依頼する際,各々の配送業者に対 しての代金支払いが,販売店と配送業者との個別契約で可能 8
  • 10. ユースケース2:配送サービス [2/3] Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD. 販売店と配送業者が個別契約し安価で商品を発送 配送状況と連動して支払いを実行 ◼ 配送管理ブロックチェーンと,通貨管理ブロックチェーンを統合 ◼ 販売店が複数配送業者を経由する配送を依頼する際,各々の配送業者に対 しての代金支払いが,販売店と配送業者との個別契約で可能 9
  • 11. ユースケース2:配送サービス [3/3] Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD. 販売店と配送業者が個別契約し安価で商品を発送 配送状況と連動して支払いを実行 ◼ 配送管理ブロックチェーンと,通貨管理ブロックチェーンを統合 ◼ 販売店が複数配送業者を経由する配送を依頼する際,各々の配送業者に対 しての代金支払いが,販売店と配送業者との個別契約で可能 10
  • 13. Cactusのベースとなった技術 ◼ Cactusのベースとなった技術 ◼ 2019年11月に,Hyperledgerの実験用小規模プロジェクトである Hyperledger Labs プロジェクトを設立.上記技術をマージ・再構築 ◼ 2020年5月に Hyperledger 正式プロジェクト化 Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD. ConnectionChain (2017年~) Blockchain Integration Framework (2018年~) Cactusは,既存の2つのブロックチェーン連携技術をベースとしつつ 両者をマージして再構築した新規技術である 富士通 Accenture 12
  • 14. 富士通のブロックチェーン間連携技術 ◼ コネクションチェーン ◼ 2017年11月 プレスリリース (http://pr.fujitsu.com/jp/news/2017/11/15.html) ◼ 2019年11月 OSS公開 (https://github.com/FujitsuLaboratories/ConnectionChain-sample) ◼ 異なるブロックチェーン同士を,ブロックチェーンで安全に繋げるセキュリ ティ技術 ◼ 仮想通貨間の交換や,企業間でのデータ取引(商流)と支払い(金流)をつなげる仕 組みとして活用可能 Copyright 2019 FUJITSU LABORATORIES LTD ブロックチェーン間連携動作時に問題となる手続きの透明性確保と, 取引間の同期を取るために必要なエラーリカバリーなどを自動化する技術 13
  • 15. 処理ルール / 取引証跡 (WorldState) コネクションチェーンの仕組み Copyright 2018 FUJITSU LABORATORIES LTD 連携 ノード 連携 ノード 拡張スマート コントラクト BC Controller BC Controller 取引 取引 ブロックデータ ブロックデータ 一般ユーザの 発行した取引 として処理 承認された取引 をブロックデータ から取り込む 連携先BCの取引 結果を根拠にした 拡張スマートコントラクト実行 連携先ブロックチェーン-1 連携先ブロックチェーン-2 ConnectionChain ™ 連携ノードを介した取引の発行やモニタリングで非中央集権型の連携を実現 14
  • 16. コネクションチェーン誕生のいきさつ ◼ 誕生のきっかけ: 弊社のブロックチェーン営業さん(2016年)のお話 ◼ 2016年からブロックチェーン連携機能のプロトタイプコードを開発して, 研究プロジェクトを始動 ◼ 2017年に「コネクションチェーン」として技術開発を発表 Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD. 営業の一言をきっかけに,新規研究テーマを具現化. まだクロスチェーン技術が盛んでない2016年の頃から早期に着手開始 あるブロックチェーンを利用したPoCを提案したけど, お客様から「私達はEthereumの導入を検討しており, ブロックチェーンの種類が異なるから無理」 って仰られてしまい,上手くいかなかった.... 弊社営業 この言葉をきっかけに,「どんなブロックチェーンに対してでも繋げられ るブロックチェーン」に将来的なニーズが高いと推測 15
  • 17. Accentureのブロックチェーン技術 ◼ Blockchain Integration Framework ◼ 2018年プレスリリース (https://www.accenture.com/t20181022T205253Z__w__/us- en/_acnmedia/PDF-88/Accenture-20180514-Blockchain-Interoperability-POV.pdf) ◼ 異なるブロックチェーン同士を,署名機能付き連携ノードの組で安全に繋げる セキュリティ技術 Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD. 署名機能付き連携ノードによって,安全にブロックチェーン間連携を実現する技術 Validatorノードの電子署名 で取引結果の信用を確保 Verifierノードは,Validatorの 電子署名を検証する 16
  • 19. プロジェクト成立までの流れ Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD. Blockchain Integration Framework Hyperledger Cactus 正式プロジェクト化 (2020/5) 1つのプロジェクト にマージ 初会合 (2019/7) Hyperledger Labsプロジ ェクト設立 (2019/11) Global Forum 発表 (2020/3) ConnectionChain Hyperledger 技術運営委員 会議 (2020/4) 富士通 Accenture 18
  • 20. 初会合に至るまで ◼ 前提: Hyperledgerの正式プロジェクト化は,原則として単社発表は困難 ◼ 2019年7月 Hyperledger Member Summit で仲間づくり開始 ◼ まさかの東京開催!(虎ノ門ヒルズ)→ 地理的に行きやすい ◼ 富士通はHyperledgerのプレミアメンバーであるから,ネットワーキングを作 りやすかった ◼ 対面開催というメリットを活かし,同じくブロックチェーン連携技術でプ ロジェクト化を狙うAccenture社のメンバーと出会い,交流開始 Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD. Hyperledger主催の対面イベントを活かし,パートナーの発見に至る 19
  • 21. 2つのBC連携技術のマージ ◼ ConnectionChainと Blockchain Integration Framework の マージ → 基本的には異なる技術であり,マージは容易ではなかった ◼ 苦労したポイント ◼ 設計原則が根本から異なり,バッティングしている箇所もある •例: 資産の Proof of Burn (資産滅却)を許容するか否か •ConnectionChainはPoBを許容しない構成 •Blockchain Integration Framework はPoBを許容する構成 ◼ 解決策: オープンな場で広く意見を集めてマージする •富士通・アクセンチュア以外の他社のエンジニアの意見も募り,どの設計原 則を活かすかを選択. Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD. オープンソースコミュニティの利点を生かし, 第3者の意見を広く募る形で2つの技術のマージを実現 20
  • 22. Hyperledger Global Forum 発表まで ◼ 両者実装のマージ方針を合意し,2020年3月のHyperledger Global Forum での発表へ Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD. Labsプロジェクトでの活動を通じ,両者実装のマージ方針を合意して発表 [Verifier] Validatorとの双方向通信を 用いた,ファイアウォール 対応の抽象化命令機能 (ベース: ConnectionChain) [Validator] 異なるBC間の取引確定 タイミングの差分を 吸収する処理 (ベース: Blockchain Integration Framework) 21
  • 23. Hyperledger Global Forum 2020での講演 ◼ Hyperledger Global Forum 2020 ◼ 開催地: Phoenix, AZ, USA ◼ 参加者数: 400人程度 ◼ 富士通&Accenture講演 ◼ "Connecting Ecosystems: Blockchain Interoperability" ◼ Labsプロジェクトの取り組みを紹介し, Accenture&富士通のマージ版実装アーキテクチャを提示 ◼ 講演動画: https://www.youtube.com/watch?v=fgYrUIc_- sU&list=PL0MZ85B_96CFY3isYUplorFSenn04WwBt&index=8 ◼ 講演後,Hyperledgerの役員から支持コメントをいただき, そのまま正式プロジェクト化に向けた審査会議へ Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD. 富士通&Accentureによる Labsプロジェクトの講演 Hyperledger Global Forum の発表から好評価を頂き, 正式プロジェクト化に向けた審査会議へ 22
  • 24. Hyperledger TSC におけるプロジェクト化審査 ◼ Hyperledger TSC (Techinical Steering Committee) において, 「Cactusを正式プロジェクト化するか否か」という議論がなされた. (4/16(木), 23(木), 30(木) の全3週間) ◼ 議論のポイント ◼ 市場ニーズは何か? • Cactusの場合,提案書には技術内容しか書いておらず,利用イメージを掴んでいただく ことが難しかった → 次の打合せごとに新しく資料を書き起こし,説明へ. ◼ 他に類似するプロジェクトは無いか? • Cactusの場合,既にブロックチェーン連携プロジェクトとして Hyperledger Quilt が あり,その差分を問われた ◼ 苦労話 ◼ 海外時差開催のため,日本時間では23時からのオンライン開催... Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD. 全3週間の会議の結果,技術運営委員の賛成過半数で, Labsプロジェクトから正式プロジェクト採択へ 23
  • 25. プロジェクト承認に関する補足 ◼ 今回のプロジェクト承認のスピードは,Hyperledger のプロジェクトにお いて異例の速さ ◼ 本件に関して,Hyperledger Exective Director の Brian Behlendorf 氏 からコメントを頂いた Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD. Brian Behlendorf氏 のコメント AccentureとFujitsuのサポートと初期コードの貢献,そ して説得力のあるユースケースにより,Hyperledgerプロ ジェクト化のプロセスを迅速に進めました. Hyperledger Cactus がHyperledgerプロジェクトとなっ た今,市場に対応したブロックチェーン統合技術の提供に おいて,より大きなリソースが期待できます. 富士通プレスリリース https://www.fujitsu.com/global/abo ut/resources/news/press- releases/2020/0515-01.html 24
  • 27. Cactusの設計原則 ◼ (1) ブロックチェーン上のデジタル資産の総量を可能な限り変更しない ◼ デジタル資産を追加・削除できるような特権ユーザを用意しない → 連携部分(Cactus)に中央管理権限を付与しない(= 公平性) ◼ (2) 共通操作の抽象化 ◼ ブロックチェーンの種類に関わらず,共通操作によりブロック監視・取引発行 が可能 → 多種類のブロックチェーンとも汎用的に接続可能(= 汎用性) ◼ (3) プロキシ/ファイアウォール/NAT との互換性 ◼ ブロックチェーンに依存しない双方向通信チャネルを利用した,プロキシ/ファ イアウォール/NATを介することが可能な,ブロックチェーン上の監視・取引発 行の仕組み → 厳重に守られた企業内サービスとも安全に連携可能(= 企業サービス連携) ◼ 他の設計原則は Cactus WhitePaper を参照 ◼ <https://github.com/hyperledger/cactus/blob/master/whitepaper/whitepaper.md> Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD. 公平性,汎用性,企業サービス連携を備えた, ビジネス利用可能性の高いブロックチェーン統合技術を目指すための原則 26
  • 28. Cactusのアーキテクチャ [1/2] Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD. 各々の機能別にプラグインとして分離されているので, 開発者は,特定の機能開発に注力可能 27
  • 29. Cactusのアーキテクチャ [2/2] Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD. 各々の機能別にプラグインとして分離されているので, 開発者は,特定の機能開発に注力可能 Cactus Routing Interface: 各プラグイン間のルーティング機能 およびユーザからのAPI受付機能を提供 Business Logic Plugin: ビジネスロジックを実行し, 複数のブロックチェーンを連携した 統合サービスを提供 Ledger Plugin: Business Logic Plugin と ブロックチェーンを連携する接続機能を提供 28
  • 30. 他のブロックチェーン連携技術との比較 Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD. Hyperledger Cactus Interledger COSMOS Hub 特徴 異なるBCの違いを 抽象化して吸収する 統合サービス開発用SDK 特別な鍵を事前に用意し, ある暗号通貨を別の 暗号通貨に直接交換 変換元・変換先暗号通貨の 媒介となる第三の暗号通貨 を介して交換 通貨以外の連携 通貨・トークン資産のほか, 汎用的なAPIイベント 連携が可能 通貨資産のみ 通貨資産+トークン資産 連携方式 Blockchainで BCやAPIを仲介 アプリ,サービスで BC間を連携 BlockchainでBC間を仲介 連携サービス 運営主体 取引をサービスとして 仲介するコンソーシアム (信頼できる第三者) 暗号通貨XRPの運営主体 媒介となる暗号通貨の 運営主体 実サービス運用を見据えて,APIイベントとの連携を行い, かつ,連携サービスの運営主体を第三者サービスとする 29
  • 31. Cactusにおけるサービス構築の進め方 Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD. 開発者はビジネスロジックの構築のみに注力することで, ブロックチェーン統合サービスを構築可能 Routing Interface は Webサービスとしての利用 開発者は Business Logic Plugin をカスタマイズ 開発者は 各々のブロックチェーン向け Ledger Plugin を使い回し可能 30
  • 33. まとめと今後 ◼ まとめ ◼ 今後の異種ブロックチェーン連携へのニーズの高まりに備え, ブロックチェーン統合SDK開発プロジェクト Hyperledger Cactus を発足 ◼ Hyperledger Cactus は,多種ブロックチェーン接続・企業ネットワークとの 親和性を備えた,ビジネスサービス向けブロックチェーン統合基盤 ◼ 富士通&Accentureの技術をベースにし,Hyperledger Labs プロジェクトの 活動を通じて技術をマージ.異なるブロックチェーン間の差分吸収を備えた 異種ブロックチェーン統合を実現 ◼ 今後の開発/運用 ◼ β版開発を2020年10月までに行い,そこから得られたフィードバックをもとに v1版を2021年4月までに開発予定 ◼ 各分野での運用経験が鍵であるため,実証のパートナーを募集しています ◼ Cactus 自体にご興味のある方のご参加もお待ちしております Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD. Cactusを用いた異業種協業ビジネスにご興味のある方は, ご連絡いただけると幸いです 32
  • 34. Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD. Join the Cactus Community! GitHub: https://github.com/hyperledger/cactus WhitePaper: https://github.com/hyperledger/cactus/blob/master /whitepaper/whitepaper.md RocketChat: https://chat.hyperledger.org/channel/cactus 33
  • 35. Copyright 2020 FUJITSU LABORATORIES LTD.