沖縄県宜野湾(ぎのわん)市にある米軍普天間(ふてんま)飛行場で、有害な有機フッ素化合物(PFAS=ピーファス)の対策工事にかかった費用1億7600万円を、日本政府が負担していたことが東京新聞の調べで分かった。対策工事とは別に、基地内のPFASを含んだ汚水の処理も日本側が引き受け、9400万円を負担していた。
一方で、基地周辺のPFAS汚染については、これまで沖縄県が対策費を支出してきた。
米軍が自ら負担すべき基地内の汚染の後始末は日本政府で肩代わりしながら、基地周辺の住民の健康を守るための費用については、なぜ地元に押し付けているのだろうか。(中沢誠)
◆返還する基地の補修費に217億円
住宅街に囲まれ、「世界一危険な基地」と呼ばれる普天間飛行場では、危険性除去のため、沖縄の民意に反して、日本政府が名護市辺野古への移設工事を進めている。
いずれ日本に返還されることになっている普天間飛行場では、補修工事が毎年のように実施されている。東京新聞の情報公開請求では、2013年度から2023年度までに、工事費のうち217億円を日本側が負担していたことが判明した。
辺野古への移設工事は、埋め立て海域に軟弱地盤が見つかり、難航が予想される。普天間の返還が遅れれば、日本側の負担がさらに膨らむ恐れがある。
◆流出防止のため格納庫を補修
今回明らかになった普天間飛行場のPFAS対策工事は、日本側が負担した217億円の補修費の一部。防衛省沖縄防衛局が、PFASを含んだ汚水の流出を防ぐため、軍用機の格納庫を補修したことを認めた。
沖縄防衛局が本紙に開示した「普天間飛行場における契約記録一覧」によると、格納庫の補修は2023年2月に発注していた。
◆発端は2021年の米軍の汚水放出
普天間飛行場では、PFASを含む泡消火剤を訓練で使用。その際に生じた汚水を格納庫の地下貯水槽に保管していた。
大雨になると、貯水槽に雨水が流れ込み、汚水が外にあふれ出す恐れがあった。そこで米軍は2021年8月、PFASの濃度を下げたとして、貯水槽の汚水(6万4000リットル)を基地外の下水道へ放出した。
放出直後、宜野湾市が基地周辺の下水を調べると、日本の暫定指針値を超える高濃度のPFASが検出された。
◆負担肩代わりは「緊急措置」
日本政府は、さらなる汚水の放出を避けるため米側と協議。その結果、日本側が基地に残っている汚水をすべて引き取るとともに、格納庫の補修も肩代わりすることになった。
汚水の処理費用と格納庫の補修工事費、合わせて2億7000万円は日本側が負担した。
沖縄防衛局は「地下貯水槽への雨水の流入を防ぐため、緊急に措置が必要と判断し、本体工事に先行して格納庫の大扉部分の補修を実施した」と説明する。
◆ドイツでは米軍が費用負担
普天間飛行場では...
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