歴史と世界

サイト集と日本と海外の国の比較や名古屋の情報

食と文化

       はじめに

私たちは自分の思考を、理性的で、頭の中で完結する営みだと考えがちです。しかしその思考のさらに奥には、もっと原始的で身体的な前提が横たわっています。

それは――生きるためのエネルギーを、私たちはどのように得てきたのか、ということです。言い換えれば、生物としての人類がどのように食料を獲得し、どのように調理し、どのような器で口にしてきたのか、その積み重ねそのものが、思考の土台を形づくってきました。

   

人類は長い狩猟採集の時代を経て、やがて食料生産へと移行しました。その過程で、現在世界の主流である、ユーラスア文化圏においては、主に次の三つの生業が成立しました。

  • 麦を中心とする畑作

  • 米を中心とする稲作

  • 牧畜・遊牧

これらは単なる農業技術の違いではありません。どの作物を主食としたかは、調理法と器を規定し、それが時間感覚、労働の分業、神の観念、社会構造、さらには国家の形にまで影響を及ぼしてきました。

では一体、「食・器・調理」という具体的な足場が人類の思考と文化にどのように影響したのでしょうか。

   

     火と食料生産が思考を変えた

火は「思考の環境」を変えた

人類の思考が高度化した背景には、火の利用があります。火は食物を調理することを可能にし、消化効率を飛躍的に高めました。その結果、短時間で多くのエネルギーを得られるようになり、余剰エネルギーが脳の発達を支えたと考えられています。

さらに、食べられる様に加工できるようになり、食元の種類を増やしました。また、人々が火を囲むことによって、多くの人が一か所に集まる事となり、会話が生まれたのだろうと思います。

そうなれば、食物の在処や食べたらいけない物をなどの経験を伝えあったと思います。それが言語を発展させ、覚えやすい物語へと昇華していったのでしょう。この物語を作ったり、人の物語を信じたりする能力が発展しました、この意味で火は、単なる調理道具ではなく、人類の思考環境そのものを変えた装置でした。

狩猟採集社会が育てた思考様式

しかし、人類の思考をさらに大きく分岐させたのは、狩猟採集から食料生産への転換です。狩猟採集社会では、同じ場所に留まり続けることはできません。食料は常に不確実で、生存は偶然と経験に大きく左右されます。そのため人々は、

  • どこに行けば食料が得られるか

  • 何が食べられ、何が毒か

  • 季節と環境の変化

といった情報が無くては生きていけません。特に「食べてはいけないもの」の知識は、生き延びるための最重要情報でした。そこで、味覚を発展させるととともに、個人では記憶をし、その記憶は親から子へ伝わっていきました。

 

           味覚

甘味=糖質(エネルギー源)

甘味受容体は、ブドウ糖・果糖・ショ糖など即効性の高いエネルギー源を感知します。

進化的には

  • 甘い=「食べて安全」「脳と筋肉の燃料」

  • 乳幼児が甘味を好むのも生存戦略

人工甘味料が甘く感じるのは、この受容体をだましているだけです(身体は後で気づきます…たぶん)。

うま味=タンパク質(アミノ酸

うま味は主に

といったアミノ酸核酸を感知します。

つまり、うまい=「身体を作る材料がある」出汁文化が発達した日本は、ここを極端に洗練させました。海に囲まれた日本列島は気候的にも豊かな食文化を育ますことが出来ただろうと思います。

酸味=腐敗・異常の兆候

酸味は

  • 腐敗

  • 未熟

  • 発酵途中

などの「状態変化」を知らせるシグナルです。腐敗「し始めている可能性」があり、注意のシグナルでした。ヨーグルト・酢・漬物・ワインのように、世界各地に発酵食品があります。

苦味=毒

多くの毒素・アルカロイドは苦味を持ちます。
そのため

  • 子どもほど苦味に敏感

  • 本能的に避ける

という仕組みがあります。

コーヒー、ビール、山菜を「うまい」と感じるのは文化と学習で本能を上書きしている状態です。薬味などの大人の味=危険を理解した上で楽しむ味、とも言えますね。

塩味

  • 神経伝達

  • 筋肉収縮

  • 体液バランス

生きる上で不可欠なので、塩味は強力な快感を伴います。本来は得にくい栄養素でしたが、容易に手に入るようになった現代では、成人病の原因の何時と言われています。


味覚とは
「これは食べていいか?」を瞬時に判断するシグナルでした。

この膨大で細分化された知識は、記憶を経て言葉と物語によって世代を超えて共有されていきます。これが、いずれ伝統を築くこととなります。

ホモ・サピエンスが他の人類種を押しのけて生き延びた理由の一つは、この柔軟で多層的な食の知識体系を社会的に共有できた点にあり、そこには一般化(抽象的に捉える)する能力があったからと思います。このことで、特定の一か所でなく似た数か所に拡大できました。

この思考様式は、食料生産社会へ移行した後も、人間の判断や価値観の深層に影響を与え続けることになります。

      器と食べ方と思考

器は食べる速度を変え、食べる速度は社会秩序を変えました。

手づかみの世界

狩猟採集期の食事は、

  • 手づかみ

  • 骨・皮・葉などの即席容器

  • その場で素早く食べる

という形が基本でした。

ここでの思考は、

  • 「今ここ」

  • 即時摂取

  • 分配は力関係で決まる

というものです。
食事は味わう行為ではなく、生存のための摂取でした。

器がもたらした三つの変化

器、とくに土器・木器・金属器の登場は、決定的な変化をもたらします。

① 食事が遅くなった
盛る、運ぶ、座って食べる。
この一連の動作が、味わう文化を生みました。

② 分配が可視化された
器は量を測ります。
多い器、少ない器は、そのまま地位を表します。
王の器が大きいのは偶然ではありません。

③ 共有という概念が成立した
鍋や甕は保存と再配分を可能にし、
食料を「個人の獲物」から「共同体の資産」へ変えました。

器は、共同体を生む装置だったのです。

器の素材が思考を分けた

  • 土器:重く割れるが火に強い
     → 定住・保存・計画
     → 未来を考える思考

  • 木器・皮袋:軽く移動向き
     → 即時消費・蓄積しない
     → 流動的な思考

  • 金属器:高価で耐久性がある
     → 権威・序列・儀礼
     → 支配を可視化する思考

器の違いは、そのまま社会の違いでした。

   麦の文化と米の文化

麦――削って食べる文明

麦は加熱するだけでは美味しく食べられません。麦には普通は粉砕という工程が必要です。

このため、

  • 石臼

  • 水車

  • 風車

など人の力を装置に委譲する思考が育ち、文化だ発展する事となりました。

結果として、

  • 機械化

  • 分業

  • 時間管理

  • 労働の抽象化

が進み、産業革命へと至ります。

パンは焼いたら戻らない。この不可逆性が、直線的時間観、契約、唯一神との考えを生んだのかも知れません。

米――溶かして食べる文明

米は火と水だけで完成します。
粉砕は不要で、土器と鍋が中心となります。

このため、それを耕作する為に灌漑・治水などに多大な労力が注ぎ込まれました。

  • 定住

  • 集団化

  • 管理や統制を取るための身分制度

米文明は、機械よりも人間関係の調整能力を発達させました。

    三つの生業と世界観

歴史を見渡せば、日本などを含めて、ユーラシア大陸には3つの生業が支えていました。

生業 時間 社会
直線 唯一神 契約・法
循環 多神 共同体
牧畜 即時 天神 血縁・武

それらが考え方の根底にあります。

       おわりに

 

歴史とは、文明の優劣を競う物語ではありません。
私たちが「伝統」と呼んでいるものの多くは、はじめからそこにあったわけではなく、
品種改良を重ねた作物が広まり、それを基盤として地域の権力構造が形づくられ、やがて社会と一体化した結果として生まれたものです。

食料は生存の基礎となります。それは生活技術だけでなく、人々の価値観や社会の組み立て方と深く結びついてきました。例えば、米文化は共同体を重んじる思考、麦文化は個を単位とする思考つくり、現代にも息づいています。

明治政府は、西洋思想と向き合う中で、「富国強兵」を実現するには、個人主義よりも全体主義的な統合の方が有効だと判断しました。その結果、日本は本来多神的で重層的だった信仰体系を整理し、天照大神を頂点とする一神的構造へと再編しました。天皇は本来のシャーマン的存在から、国家を統合する象徴としての「現人神」へと位置づけ直されます。
それは伝統の継承というより、近代国家を成立させるための制度設計でした。

この延長線上に、帝国日本があり、やがて第二次世界大戦へと至ります。だからこそ、現代においても、政権や権力が強調する「伝統」という言葉には、一歩引いて向き合う必要があります。
それが文化の尊重なのか、それとも政権への批判を封じる者なのかを、慎重に見極めなければなりません。

思考法の根底を形作る大きなピースとして、「食」があると思います。ただ、多くの人はそのことを気づいていない様に思います。

伝統は守る対象であると同時に、常に問い直す対象でもあり、それによって進化し続けています。

政権が「伝統」という事は歴史的にも、非常に危険だと思います。

 

 

海洋国家「日本」:鎖国でもたらされたもの

        はじめに

日本列島は大陸の東に位置し、海に囲まれています。周辺の島の帰属をめぐる戦いはありますが、陸地の国境はどこにもありません。これはG7国では唯一です。

一般には「島だから孤立していた」と語られがちですが、実際にはその逆で、海は古代日本にとって重要な交通路でした。

船による移動は、陸路と比べて格段に効率的です。
大量の荷物を運ぶことができ、風や海流を利用すれば、ほぼ自動的に進むことさえ可能でした。険しい山地が多い日本国内より、むしろ外との行き来のほうが容易だった場面も多かったのです。江戸時代には北前船 - Wikipedia・菱垣廻船・樽廻船など多くの浦廻船が成立して船による輸送網が発達しました。

外国との交流を原則禁止していた江戸幕府ですが、経済的にも海の物流に支えられていました。現在でも灘地域は酒どころとして有名ですが、神戸から江戸に酒をはこんで、名声を得ましたし、三河地方の酒。常滑の大型陶器も航海で成り立ちました。

       古代の海運

日本列島に古代からいくつもの国際的な航路が形成されました。

  • 北のサハリンを経由する北方ルート

  • 九州と朝鮮半島を結ぶ西方ルート

  • 沖縄から台湾・東南アジアへ広がる南方ルート

これら三つのルートを通じて、人々は技術や文化、物資を運び、時には新しい価値観をもたらしました。水田稲作を伝えた弥生人も九州と朝鮮半島を結ぶルートから来ました。日本列島は古来から多様な交流の舞台であり、決して孤立した地域ではありませんでした。

     江戸時代の鎖国

ところが江戸時代に入り、幕府は鎖国政策を採用します。交流の窓口が大幅に狭まったことで、長く続いてきた海上交易の記憶が薄れ、やがて“日本はもともと閉ざされた国だった”という印象が定着していきました。

その結果、現代において次のような誤解が生まれています。

1. 日本文化は内発的に発展したという誤解

実際には、稲作・鉄器・建築・制度など、大陸からの影響が極めて大きいものでした。

2. 民族が単一であったという認識

北方・南方・大陸からの渡来が重なり、列島の人口と文化は多層的に形成されました。

3. 海が交流の障壁だったというイメージ

実際には海こそが主要な交通と交流のルートであり、動脈そのものでした。

こうした認識のズレは、鎖国による情報と交流の断絶が長期化したことで生じたものと鉄道・道路が整備されたことで起こりました。

 

        経済で見た鎖国

鎖国政策には、対外関係を統制するという政治的理由だけでなく、貿易で生まれる利益を幕府が管理・独占しようとした側面もありました。

江戸幕府は、長崎を通じたオランダ・中国との貿易を厳しく制限し、その取引を「幕府が直接管理する枠組み」の中に閉じ込めました。これは、海外との交易を無秩序に拡大させれば、地方大名が富を蓄え、幕府の支配体制が揺らぐ可能性があると危惧したためです。

そのため、

  • 貿易港の限定

  • 商品と数量の管理

  • 価格の統制

  • 貿易に関わる商人の選別

といった仕組みが作られ、利益は幕府やその監督下にある商人層へと集中しました。

つまり、鎖国は「外との断絶」という側面だけではなく、
大名の富を制御し、経済面からも中央集権を強化する政策
でもあったと言えるでしょう。

      鎖国と知識への渇望

鎖国によって外国との往来が大幅に制限されたとはいえ、日本の文化人や知識層は、海外の学問を何とかして取り入れようと努力を続けていました。とくに蘭学者たちは、限られたオランダ語資料を必死に読み解き、医学や天文学、自然科学の知識を受け取ろうと努めました。

長崎を通じてわずかに入ってくる書物や器具は、言わば“外界につながる細い管”のような役割を果たし、学者たちはそこから得られる情報をもとに研究を進めました。
鎖国が続いていたにもかかわらず、

  • 新しい医術の導入

  • 天体観測の発展

  • 辞書の編纂

  • 翻訳学の確立
    など、多方面で大きな成果が生まれたのは、この旺盛な知識欲の賜物です。

幕府は貿易を統制し利益を独占した一方で、「学問そのものは完全に閉ざさなかった」という点も特徴的です。オランダ商館が窓口として残されたことで、知識人たちはそのわずかな隙間を利用して、新しい世界へと手を伸ばし続けました。

この“閉じつつも求める”という姿勢は、日本の近代化の下地になり、明治以降の急速な西洋化を支える基盤にもなっています。

        浮世絵の西洋

江戸時代の美術の代表とも言える浮世絵も、決して純粋に国内だけで発展したわけではありません。長崎を通じて入ってきたオランダ画や銅版画の技法が、作者たちに少なからず影響を与えました。とくに「陰影法」「遠近法」といった西洋的な表現は、歌川広重北斎などに取り入れられ、独自の和洋折衷のスタイルが生まれています。

こうした浮世絵がヨーロッパに渡ったことで、19世紀後半には「ジャポニスム」と呼ばれる強い関心と流行が起こりました。

ジャポニスムが広まった理由としては、

  • 浮世絵が庶民向けの実用品として大量に流通し、包装紙や緩衝材として輸出品に同梱されやすかったこと、

  • 西洋画家たちにとって、浮世絵の平面的構成や大胆な色面が自分たちが使っている技術で描かれている事で、馴染みつつも新鮮に映ったこと、

  • 木版画特有の線と色彩が「異国の美」としてエキゾチックに受け止められたこと、

  • 商業美術でうけを狙っている事(売れなければ生活できない)

などが挙げられます。

結果として、モネ、ドガ、ゴッホ、マネなど多くの画家が浮世絵から刺激を受け、西洋美術の構図や色彩感覚にも大きな変化をもたらしました。

    幕府統制の緩みと、地域に蓄積した富

260年に及ぶ安定した江戸時代は、国内の戦乱こそ収まりましたが、長く続く平和の中で政治的・経済的な統制は徐々に緩んでいきました。とくに貿易の管理については、幕府の意図に反して地方に富が集中する現象が見られます。

朝鮮半島との交易を担った長州(萩藩)は、朝鮮通信使の往来や、対馬藩を介した貿易によって知識と物資を得る機会が多く、これが藩の財政を支えました。

一方、中国(清)との交易は主に薩摩(鹿児島藩)が関わり、琉球王国を仲介する独自の貿易網を築きました。琉球は形式的には独立国でありながら、薩摩の影響下にあり、これを活用することで薩摩は幕府の枠を超えた経済力を蓄えることができました。

このように、

  • 長州は朝鮮との交流を通じて知識と富を蓄え、

  • 薩摩は琉球を介した対外貿易によって財政基盤を固めた、

という構図が形成され、幕末において両藩が大きな政治的存在感を示す土台となりました。

結果として、幕府の統制が弱まった長期の平和が、明治政府を担う勢力に富と実力を集中させることになった
とも言えます。

          さいごに

日本列島は海に囲まれているため地図上では孤立して見えますが、実際には古くから大陸との交流が活発で、文化や技術もその影響を受けながら独自に発展してきました。江戸幕府キリスト教を禁じ、表向きは鎖国を敷きましたが、出島を通じて貿易を管理し富を集中させる仕組みも維持していました。やがて長期の平和によって幕府の統制力は弱まり、明治維新へとつながっていきます。

明治維新現代日本の価値観の基盤にもなっているため、今でもしばしば称賛を込めて語られます。ただ、近代化を進める過程で「新しい社会」を作るために、過去の要素を再解釈したり、伝統とされるものを新たに形作ったりした面もあります。私たちが古来から続くと思っている習慣や文化の中には、この時代に生み出されたものも少なくありません。

 

 

株式市場の動向と銘柄の基本指標

        はじめに

ここでは実用的なお話をします。

株式投資で安定して利益を残すには、市場全体の動向を読む“マクロ視点”と、企業の実力を見極める“ミクロ視点”の両方が不可欠です。ここでは、デイトレでも長期投資でも役立つ「取引前のチェックリスト」と「銘柄選定で必ず見るべき指標」をまとめて解説します。

       主要経済指標

市場を動かすデータ一覧

指標 分野 性質 重要度 概要
米ISM製造業景況指数 景気 先行指数 ★★★ 製造業の受注・雇用など景況感。先行性が高い。
米ISM非製造業景況指数 景気 先行指数 ★★★ サービス業中心。米経済の大部分を占める。
米小売売上高 消費 一致指数 ★★★ 百貨店やスーパーの売上動向。消費の勢いを反映。
米雇用統計 雇用 遅行指数 ★★★ 非農業部門雇用者数など。市場最大級の注目度。
フェデラルファンド金利 金融 金融 ★★★ FRBが誘導する政策金利。世界の相場を左右。
米2年債利回り 金融 金融 ★★★ 金融政策の先行きを反映しやすい。
米住宅着工件数 住宅 先行指数 ★★ 景気の初動に反応しやすい住宅指標。
失業保険新規申請件数 雇用 先行指数 ★★ 週次で雇用の変化を素早く捉える。
消費者物価指数(CPI) 物価 遅行指数 ★★ インフレ動向を示す。金融政策の判断材料。

        取引所が開く前に

① 前日の米国市場(NYダウ/ナスダック)

日本株の寄り付きに最も影響するのが米国株です。アメリカでは日本時間の 23時30分~翌日の6時00分   ニューヨーク証券取引所で、取引が行われています。ただし、3月の第2日曜日~11月の第1日曜日までは サマータイムとして 22:30 - 05:00になります。
アメリカのを動向をnyダウ・Nasdaq・S&P500の終値でチェックします。

指数 特徴 日本株への影響
NYダウ 優良30銘柄。市場全体のムードを反映。 市場心理に影響。
ナスダック IT・半導体中心。 日本のハイテク株に直結。

ポイント
ナスダックが大幅上昇の日は、日本のハイテク関連も買われやすい。
(ハイテク株はナスダックに運命共同体の誓いでも立てているのか、というほど連動します。)

② 早朝のドル円レート

為替は日本株、とくに輸出企業に直撃します。

為替の動き 輸出企業 外国人投資家 日本株
円安/ドル高 利益が増える 日本株が「割安」に見える プラス要因
円高/ドル安 利益が減る 日本株が「割高」に見える マイナス要因

③ その日の経済指標スケジュール

午前中の重要指標(鉱工業生産、日銀短観など)は相場を動かすため、発表時間の把握は必須です。また、米10年債利回りもチェックします。
金利急騰 → ハイテク株が下落しやすい/金融株は強くなる傾向があります。

(相場は金利に弱い…恋愛での“温度差”くらい効きます。)

   個別銘柄の為の指標

市場全体が良くても、最終的な利益は銘柄選びで決まります。まず押さえるべきは PER と PBR の2つです。


PER(株価収益率)― 利益から見た割安性

PER = 株価 ÷ 1株あたり純利益(EPS)

  • 数値が低いほど割安(一般に15倍以下は低め)

  • 過去平均、業界平均と比較して評価する

読み方のポイント

  • 株価上昇 → PER上昇

  • 純利益増 → PER低下(割安化)

  • ITや成長株はPERが高くなりやすい(100倍も珍しくない)

※PERだけで「割安だ!」と飛びつかないこと。
 「安物買いの値下がり株」という悲劇は避けたいところです。

PBR(株価純資産倍率)― 資産から見た割安性

PBR = 株価 ÷ 1株あたり純資産(BPS

1以下は資産を処分した価格と株価総額が同じという事で、企業価値はゼロとなります。

  • 1倍以下は“解散価値割れ”で割安とされます。

  • 東証も近年「PBR1倍割れ企業は株主価値を高めよ」と要請中です・

PBRの注意点

低いから「宝の山」というわけではなく、本当に割安なのか、それとも“割安に見えるだけの会社”なのかは要確認。(PBRが0.3倍でも、「理由が0.3倍」ということはよくあります。)

 

        企業の実力指標

1. ROE自己資本利益率)― 株主のお金でどれだけ稼げるか

ROE = 当期純利益 ÷ 自己資本

  • 高いほど「同じ資本で効率よく稼いでいる」企業

  • 一般に 10%以上で優秀、8%前後で合格ライン

ROEが重要視される理由

ROEを見ると、その企業が“株主のお金をどれだけうまく増やせているか”がわかります。

※薄利多売でROEが低い企業より、少数精鋭で高い利益率を持つ企業の方が株価は伸びやすい傾向があります。

2. ROA総資産利益率)― 会社全体の資産を使ううまさ

ROA = 当期純利益 ÷ 総資産

  • 資産をどれだけ効率的に利益へ変換しているかを見る指標

  • 大型企業・インフラ系は低めになりがちで、業種により違うので、業界内比較が有効

          ROEとREA

借入を増やして事業を拡大すると、多くの場合ROA下がりやすくなります。

それは ROA の式

ROA = 利益 ÷ 総資産

借入を増やすと
→ 総資産が増える(=分母が大きくなる)
→ 利益が同じなら ROAは下がる

  • ROE:株主資本が対象

  • ROA:会社が持つ全部の資産が対象

会社が”ムダな資産だらけ”かどうかも分かるため、ROEとセットで見ると、企業の本当の効率が浮き上がります。

       キャッシュフロー(CF)

利益が出ていても、現金が増えていなければ意味がありません。

営業CFは 本業でキャッシュを生み出す力 を示します。

チェックポイント

  • 営業CFが「プラス → プラス → プラス」と継続しているか

  • 利益より営業CFが大きい企業は“強い”

  • 営業CFがマイナス続きの企業は危険(会計上の利益だけが立っているパターン)

(会計上の利益だけで投資すると、“実体のない黒字”に泣かされます。)

      自己資本比率

倒産しにくさの指標です。

自己資本比率 = 自己資本 ÷ 総資産 × 100

  • 40%以上:安心感がある

  • 20〜40%:一般的

  • 20%未満:財務的に少し心配

借金頼みの会社は、景気後退や金利上昇に弱くなります。設立時はやむ得ませんが、設立から10年以上経っても借り入れが多いのは考え物です。ただし。長期に亘り攻め続けている成功例もあります。

        成長性を見る指標

1. 売上高の成長率

  • 毎年売上が伸びている企業は、市場が拡大しているか、競争に勝っている企業

  • 3〜5年のトレンドが重要

(売上が安定して右肩上がりの企業は、チャートも右肩上がりになりやすい…株の世界の“重力の法則”みたいなものです。)

2. 営業利益率

営業利益率 = 営業利益 ÷ 売上高

  • 10%以上:高収益企業

  • 業界比較が超重要
     (例)飲食は低め、ITは高め、インフラは安定だが低め

営業利益率は、「その業界で戦う才能」みたいなものです。

以下に各銘柄の株価指標を表にまとめました。

株式パフォーマンス指標
指標 意味 計算 / 鑑定方法 見方 注意点
株価 企業への期待・需給を反映した価格 市場の売買で決定 上昇=期待、下降=懸念 単体で見ても意味が薄い。過去株価との比較が重要
PER
株価収益率
利益に対する株価の割安/割高度 株価 ÷ EPS 低い=割安、高い=期待先行 業種ごとに基準が違う。赤字企業では意味なし
PBR
株価純資産倍率
資産に対する株価の割安/割高度 株価 ÷ BPS 1倍未満=割安とされることが多い 資産の質が悪い会社は低くても危険
ROE
自己資本利益率
出資者のお金でどれだけ稼いでいるか 当期純利益 ÷ 自己資本 高いほど効率的 高すぎる場合、負債で無理にレバレッジしている可能性
ROA総資産利益率 総資産(会社全体)を使う効率 当期純利益 ÷ 総資産 高い=資産を有効活用 借入が多い企業はROEに比べROAは低くなる
EPS
1株利益
株主1株あたりの利益 純利益 ÷ 発行株式数 高いほど良い 自社株買いで人工的に上がることがある
BPS
1株純資産
株主1株あたりの資産 純資産 ÷ 発行株式数 安定性の目安 将来利益を反映しないため成長株では弱い
配当利回 株価に対する配当の割合 年間配当 ÷ 株価 高い=収益性良い 極端に高い銘柄は無理している可能性あり(罠)
配当性向 利益のうち配当に回す比率 配当総額 ÷ 当期純利益 適正は30–50%程度 高すぎると将来投資できず成長力が落ちる
βベータ値 市場全体との連動度 統計的に算出 1超=値動き大きめ、1未満=安定 未来の値動きを保証しない
出来高 取引の活発さ 売買株数 多い=注目度高い 仕手株の異常出来高は危険信号
時価総額 企業規模を示す値 株価 × 発行株式数 大=安定、小=成長余地 株価だけでは判断できない
自己資本比率 財務健全性 自己資本 ÷ 総資産 高い=倒産しにくい 低すぎると借金依存で危険
営業利益率 本業の収益性 営業利益 ÷ 売上高 高いほど本業が強い 特殊要因で変動することあり
キャッシュフロー
CF
現金の余裕 営業CF – 投資CF プラス=健全 一時的な投資でマイナスもあり得る

         チャート

銘柄を選ぶとき、ファンダメンタル(企業の中身)と並んで重要なのがチャートです。
以下は、初心者でも一瞬で判断できるシンプル・チェック。

① 上昇トレンドか?(右肩上がり)

  • 200日移動平均線が右肩上がり

  • 株価がその上に位置している

これだけで勝率は大幅に上がります。
逆に、右肩下がりの銘柄は“逆風の坂道ダッシュ”状態。

出来高が増えているか?

  • 出来高増 → 投資家が注目しているサイン

  • 株価上昇+出来高増 → 本物の上昇トレンド

出来高ゼロの銘柄は、会議室で誰も発言しないようなもの…静かすぎて不安です。)

時価総額は適正か?

  • 小型株:上がりやすいが下がりやすい

  • 大型株:堅実だが大きなジャンプはしにくい

投資スタイルに合わせて選ぶのがポイント。

      総合判断のすすめ

良い銘柄は
PER、PBR、ROE、営業CF、チャート
など複数の項目が“そこそこ以上”で揃っています。

逆に、1つだけ突出して良くても他がボロボロなら注意が必要です。

株選びは料理と同じで、「塩だけが極上」でも美味しくはならないのです。

株価は、その値段である理由があります。理由を探りましょう。

 

   実践編:銘柄を選ぶための最短ルート

以下は、プロ投資家も使う 王道のチェック手順 を、ムダなく最適化したものです。

① まず、チャートで“ふるいにかける”

いきなり決算書に飛びつくより、チャートで候補を半分まで絞るほうが効率的 です。

最初に落とすべき銘柄

次のどれかに当てはまったら即パス。

  • 200日線が右肩下がり

  • 出来高が極端に少ない

  • 急騰→急落を繰り返す不安定銘柄

  • 長期的にボックス(横ばい)で動きが乏しい

これは投資の“地雷除去”です。
地雷原に踏み込んでから考えるより、避ける方がいいと思います。

時価総額で方向性を決める

投資スタイルに合わせて選択。

投資スタイル 向いている時価総額
安定重視・堅実 大型株(1兆円〜)
ほどほど成長 中型株(1000億〜1兆円)
成長狙い 小型株(〜1000億)

小型株はテン bagger(10倍)候補もいますが、動きが激しすぎるので体力が必要です。

③ 業界を決める

株は「良い企業」より“追い風の業界”の企業を選ぶ方が勝率が高い。

たとえば…

  • 半導体 → 世界的に設備投資が拡大

  • 旅行・レジャー → 円安メリット

  • 銀行 → 金利上昇局面の追い風

  • 建設 → 政府の補助金で需要増

  • AI・クラウド → 世界的な成長産業

風向きが良い業界に乗るのは、マラソンで自転車に掴まるぐらい楽になります(もちろんルール違反ですが気持ちはそんな感じです)。

④ 個別企業の“中身”を見る

ここから、選んだ銘柄が 本当に強い会社か を判断します。

1. 成長性(売上・利益)

  • 売上高が3〜5年連続で伸びているか

  • 営業利益率が高い or 上昇基調

※業績が右肩上がりなら、株価も時間をかけて右肩上がります。

2. 収益性(ROEROA

  • ROE 10〜15%以上:理想

  • 業界平均より高ければ合格

数字の高さ=経営センスの高さです。

3. 割安性(PER・PBR)

  • PER:業界平均と比較

  • PBR:1倍割れは割安の可能性

ただし、理由が“期待されていない”だけなら危険。
「低PBRのまま不人気」が続く銘柄もあります。

4. 財務の健全性

無理な拡大をすると、好景気で元気でも不景気で倒れます。

5. 営業キャッシュフロー(営業CF)

  • 継続的にプラスか

  • 利益より営業CFが大きいと優良企業の可能性

現金は嘘をつきません。利益が化粧されていても、キャッシュフローはごまかせません。

⑤ 最後にチャートでタイミングを判断

ここまでで「買うべき企業」は見えます。
あとは、“いつ買うか”の問題

最低限の基準は以下。

▼ 良いエントリータイミング

  • 25日線を上抜けしてきた

  • 出来高が増えている

  • 押し目(短期調整)で下げ止まったところ

  • 直近の高値をブレイク

逆に、上げきった後の「高値掴み」は避けましょう。

        まとめ

11月末の日経平均株価は5万円ですが、3年前は3万円でした。(TOPIXの方が実感に近いですが)ここ3年は時々調整はしますが、右肩上がりです。誰でも株式で、利益が出ています。株式投資を5年以内の人の発言は真に受けてはいけません。バブル景気ではほとんど全ての人が「まだ上がる」「ちょっと大きい調整をしているだけだ」と思い、非常に大きい損失をこうむりました。自己破産や行方不明者も多くいましたし、自殺者も増えました。

大きく上げれば大きく下がり株価は調整して行きます。「まだ」は「もう」なり「もう」は「まだ」なり、その時期は誰にも解りません。だから市場であり、株式投資の面白さです。

  1. チャートが右肩上がりか確認

  2. 時価総額で投資スタイルに合うか判断

  3. 追い風の業界を選ぶ

  4. 売上・利益の成長をチェック

  5. ROEROAで収益性を確認

  6. PER・PBRで割安性を比較

  7. 営業CF・財務状況をチェック

  8. チャートでエントリータイミングを決定

この流れで選んだ銘柄は、「勝ちやすい銘柄」になるだろうと期待しています。

伸びるであろう企業は読めますが、株価は高くなっています。相場が読めれば誰でも億万長者になれます。倒産する企業もありますが、そこそこの規模であれば、徐々には成長します。なので、長期には株価は少しだけ右肩上がりですし、配当もあります。ここ3年の日本株はインフレ率が高い事もあり、異常に上昇しましたが、これからも長期には上昇傾向であることを信じて株式投資を行っています。公表されている指標の見方をこのブログで纏めてみました。少し下もお役に立てたら幸いです。

 

経済指標 一般的な関係
ドル円 (円安) 日本株⤴ 大抵は
NYダウ 日本株⤴ やすい
米国金利 ドル円 NYダウ 

 

株式情報サイト:私が見ている株式情報サイトです。先物は多くのことを織り込んでいると思い、取引所が開く前にいつも参照しています。このサイトにはアメリカ始め海外の取引所状況・為替相場コモディティ国債金利なども見ることが出来るので重宝しています。

fiscoは登録する事が必要ですが、スクリーニングが出来ます、制限はありますが無料会員登録もあり、私も無料会員です、Yahooファイナンスは多分一番メジャーだと思います。

私はSBI証券で口座開設をしていて、日経先物サイトとSBI証券の開設者向けのサイトがほとんどです。 

日経先物 https://nikkei225jp.com/cme/
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ギリシャ文明の特異性:交易国家と民主主義

 

        はじめに

古代文明の定番といえば、メソポタミア・エジプト・インダス・黄河四大文明を指すことが多いと思います。いずれも大河を抱え、その恵みを背景に農業が発達し、経済的に豊かになりました。また時々起きる氾濫に対処するために治水する必要性があり、中央集権国家が形成されました。支配される側とする側に分かれていったという事です。

水を制した者が文明を制した。
これが、古代世界の“基本ルール”でした。

ところがギリシャ文明は、その常識の外側にあります。

  • 大河がない

  • 山がちで平地が乏しい(農地が少ない)

  • 統一王朝が存在しない

  • 小規模の自治共同体が点在

本来なら文明の主役になりにくい環境なのに、ここから西洋文明を決定づける文化が生まれた――これがギリシャの特異性です。

ここでは、その背景を「地形」と「貿易」という2つの視点から整理し直してみます。

 

      “分散型社会”都市国家

ギリシャにはナイル川のような「文明の大動脈」は存在しません。
山が多く、小さな平野が点在し、土地ごとに隔絶されていました。

この自然環境が生んだのが、ポリス=都市国家です。

  • 各地に独立した共同体が生まれる

  • 治水がいらないから巨大官僚制が不要

  • 強大な王権が成立しにくく、自治が発達

  • 議論による合意形成が重視される

つまり、地形が“分散”を強制した結果、都市国家という政治モデルが育ったのです。

    ギリシャ文明の多様性と競争

ギリシャ世界には、エジプトや中国のような統一国家は存在しませんでした。
この「バラバラさ」が文化の源泉になります。

  • ポリス間の競争が文化の発展を加速

  • 軍事・芸術・哲学・政治制度が互いに刺激し合う

  • 価値観の多様性が、新しい制度の試行を可能にする

アテネの民主政、スパルタの軍事国家、ミレトスの哲学者たち――
どれも中央が押さえつけなかったからこそ生まれた“文化の実験”です。

統一されていないことが、逆に創造性の源泉だったわけです。

     地中海とギリシャ文明

土地がやせ、食料生産力が乏しいギリシャにとって、生活の鍵は海でした。

「陸で作れないなら、海で稼ぐ。」
これがギリシャ生存戦略です。

  • 穀物不足を輸入で補う

  • 葡萄酒、オリーブ油、銀などを輸出

  • 地中海へ植民市(コロニー)を展開

  • 広範な貿易ネットワークを形成

海は、ギリシャにとって“畑”であり“高速道路”でした。
その中心で栄えたのがアテネやコリントです。

とりわけアテネは、

  • ピレウス港を拡張

  • 船団を整備して商船を保護

  • 外国商人(メトイコイ)を積極的に受け入れる

こうした政策により、地中海最大級の貿易都市となりました。

      文明と「文字」

現代文明を支えている要素を一つだけ挙げるなら、
それは 文字 だと言ってよいでしょう。

大河文明では、治水や穀物管理のために文字が発達しました。
しかし、ギリシャ文明はその発展パターンさえ変えてしまいました。

フェニキア文字を取り入れ、改良し、
誰でも読み書きしやすい音素文字として再構成したことで、
知識が一気に社会へ広がる環境が整ったのです。

読み書きができれば、
思想は人から人へ、都市から都市へ、そして世代から世代へと跳び越えていく。
こうして誕生した「知のネットワーク」は、
ギリシャの哲学・科学・政治思想を育てる土壌となりました。

つまり──

文字は、“交易が生んだ文明” を、“知識が育てる文明” へと進化させた。

これは現代にもそのまま当てはまります。
兌換性が無くなった現代貨幣は、発行する国家の信用を基盤にしています。
その金額(価値の大きさ)を記録し、伝え、管理し、法をつくり、知識を共有できるのは、すべて文字という共通の「情報装置」があるからです。

もし文字がなければ、民主政も、法律も、学問も、貨幣経済もどれも成立しません。
SNSの炎上だけは、口伝でも起きそうですが…)

ギリシャ文明は交易で栄えましたが、その繁栄を文明へと昇華させたのは、文字によって共有された「知」と言語による「議論」でした。

海が文明を生み、
文字が文明を育てた。

この二つの組み合わせが、
現代社会の深層に通じる大きな流れを形づくっているのかもしれません。

    交易が中間層と民主主義を生んだ

海上貿易は多くの市民に利益をもたらし、巨大な“中間層”を育てました。

  • 船を所有する者

  • 陶器などを生産する工房の職人

  • 船や港湾で働く労働者

この経済力を背景に、市民たちは政治参加を求めます。
その結果、アテネでは 「議論による政治=民主政」 が成立しました。

つまり民主主義は、
海洋貿易によって生まれた社会構造の副産物
だったともいえます。

     交易と“知の爆発”

各地との交易で、ギリシャ人はさまざまな文明の成果を取り込みました。

これらが、ギリシャの知的基盤を強化します。

そこから、

といった“思想と文化の爆発”が生まれました。

まさに地中海版の“知の見本市”です。

         まとめ

ギリシャ文明の特異性は、突き詰めれば、次の一点に尽きます。

大河文明の条件を一つも満たさないのに、海洋を舞台に交易で富を築き、色々な文化を吸収して、新しい文明モデルを築き上げたことです。

文明は地域で創れるものではなく、他地域の文化の「良いとこ取り」を醸成して、文明が作られます。紀元前でも盛んに交易していて、進化する概念は西洋文化によって作られたものと思われていて、ホモサピエンスは種として独立してからは知能が変わっていないと考えられています。また、紀元前から、世界各地で、交易が盛んであったことを裏付ける遺跡が出ています。

変わったのは文字が作られたことで、記録が残るようになり、知性を蓄積できるようになったことです。

  • 大河がない

  • 山がちで地域ごとに分断

  • 統一王朝が成立しない

  • 貿易を軸に繁栄

  • 小規模都市国家(ポリス)が自治し競争

  • 中間層が育ち、民主政が誕生

  • 外の文化を吸収し、哲学・科学・芸術が花開く

このように“陸の恵み”ではなく海のネットワークが文明を支え、多様な考え方や技術を柔軟に取り込んで形成されたことが、ギリシャ文明の本質です。

言い換えれば、
交易こそがギリシャ文明をつくった最大の原動力でした。

そしてこの構造は、現代社会にもそのまま通じています。

現代は貨幣を基盤とした社会であり、貨幣価値は発行する国家の信用に依存します。
つまり、経済を成立させるには 強力な中央集権国家 が不可欠です。

ところがギリシャは、その反対側――
分散した社会 + 交易ネットワーク という環境から文明を築きました。

この対比は、現代の社会問題を考えるうえでも示唆に富みます。

  • 中央集権による安定か

  • 分散とネットワークによる活力か

ギリシャ文明の“異端性”は、
中央集権が当たり前になった現代に、別の可能性を静かに問いかけているようにも見えます。

 

緊迫する日中関係:「台湾有事」発言と国際文書

        はじめに

現在、高市早苗衆議院議員(元総務大臣)の「台湾有事」に関する発言などを巡り、日本と中国の関係に緊張が生じています。この緊張の根底には、両国間の関係の基本原則を定めた国際条約や共同声明に記された「台湾」に関する認識の違いがあります。

両国が合意した重要な文書を参照しながら、日中関係における「台湾」問題の根幹を見ていきましょう。

     台湾問題の根幹となる国際文書

日中両国は、国交正常化以降、主に以下の二つの重要な文書で台湾に関する認識を確認し合っています。

1. 1972年:日中共同声明(国交正常化の基礎)

この声明は、日本と中華人民共和国との間に外交関係を樹立し、長年の不正常な状態を終結させた最も重要な文書です。台湾に関する日本の基本的な立場が示されています。

【ポイント】 日本は「中華人民共和国政府が唯一の合法政府」と承認し、台湾が中国の領土の一部であるという中国側の主張を「十分理解し、尊重」するにとどめています。これは、中国側の主張を「承認」したわけではなく、中国側の立場に対する一定の配慮を示しつつも、日本独自の立場を維持していることを意味します。これにより、日本は中華民国(台湾)と国交を断交しましたが、交流は今まで通り続行しました。

発布年月 名称 要点
1972年9月 日本国政府中華人民共和国政府の共同声明 (日中共同声明 日中国交正常化満州事変以来の不正常な状態の終結と外交関係樹立)。・日本は中華人民共和国を中国の唯一の合法政府と承認。・中国は対日賠償請求権を放棄。・日本は「一つの中国」の原則を尊重し、日華平和条約を破棄(台湾との断交)。・両国間の平和友好条約締結のための交渉開始を決定。
1978年8月 日本国と中華人民共和国との間の平和友好条約 日中共同声明を確認し、友好協力関係を恒久的に発展させることを約束。・平和友好関係の発展や、武力または武力による威嚇に訴えないことを規定。・両国は覇権を追求しない(反覇権条項)ことを約束。
1998年11月 平和と発展のための友好協力パートナーシップの構築に関する日中共同宣言 21世紀に向けた「友好協力パートナーシップ」の構築を目標に掲げた。・歴史認識に関する記述や、台湾問題について改めて両国の立場を表明。
2008年5月 戦略的互恵関係」の包括的推進に関する日中共同声明 日中関係を「戦略的互恵関係」として位置づけ、全面的に推進することを再確認。・長期的・大局的な観点から両国関係を発展させることを表明。・東シナ海における協力の推進(ガス田開発の共同開発に関する合意など)を含む。

2. 1978年:日中平和友好条約

国交正常化をさらに法的に裏付けた条約ですが、ここでは平和友好関係の確立や「反覇権」などが主眼とされ、台湾問題に関する直接的な言及はされていません。しかし、条約の精神である「恒久的な平和友好関係」の構築は、台湾海峡の平和と安定を前提としています。

3. 1998年:日中共同宣言(友好協力パートナーシップの構築)

21世紀に向けた関係の指針を示した文書です。

  • 日本側の立場(第四項):

    「日本側は、1972年の日中共同声明に表明された立場を遵守する」ことを再確認し、続けて「一つの中国」の原則を堅持するとの立場を表明しました。

【ポイント】 国交正常化時の「理解し、尊重する」という表現に基づき、日本は「一つの中国」の原則を堅持する、つまり台湾を国家として承認しないという立場を再確認しました。

       「台湾有事」発言がもたらす緊張

 

上記のように、日本は国際的に「一つの中国」の立場を「理解し、尊重」する形で日中関係を築いてきました。

高市氏の発言は、日本国内で「台湾有事」(台湾を巡る武力衝突)の可能性を具体的に想定し、それに対する日本の安全保障上の対応(例:邦人保護、武力行使の可能性)を言及したものです。

中国側の反応: 中国は、「台湾問題は中国の核心的利益であり、内政問題である」という立場を一貫して主張しています。そのため、「台湾有事」を公の場で議論し、日本の自衛隊による関与の可能性に言及する発言は、中国の内政への重大な干渉であり、国際文書で日本が合意した「一つの中国」原則と両立しない行為だと捉え、強く反発しています。

      台湾の歴史と政治構造

1. 民族(エスニシティ)の三重構造

台湾の人口構成は、歴史的な移住時期によって大きく3つのグループに分類されてきました。

分類

概要

政治的志向(一般的傾向)

先住民(原住民)

漢民族が移住する以前から台湾に住む人々。オーストロネシア語族に属する。(人口の約2%)

政治的な団結は多様だが、民族の権利回復が主要な関心。

本省人旧大陸からの住民)

17世紀以降、主に清朝時代に中国大陸(福建省広東省客家など)から移住した漢民族系の人々やその子孫。(人口の約85%)

台湾のアイデンティティ独立志向を強く持つ層が多く、民進党の主要な支持基盤の一つ。

外省人蒋介石率いる国民党と共に来た人々)

1945年の日本の敗戦後、特に1949年の国共内戦敗北に伴い、国民党の蒋介石と共に中国大陸全土から台湾に移住した人々やその子孫。(人口の約13%)

「一つの中国」統一志向を強く持つ層が多く、国民党の主要な支持基盤であった。

【補足】

民進党の支持基盤は、主に本省人を中心とする「台湾独立」を志向する人々であり、先住民は独自の政治的主張を持ちつつ、政党への支持は多様です。

2. 国民党独裁の終焉と民主化の経緯

国民党の一党独裁体制は、1980年代後半から1990年代にかけて段階的に終わりを迎え、民主化が達成されました。

  • 1949年~1987年:戒厳令軍事独裁)が敷かれ、国民党による一党独裁体制が継続。(特に1950年代の「白色テロ」期は人権弾圧が苛烈でした。)

  • 1987年: 蒋経国総統(蒋介石の子)によって戒厳令が解除され、民主化の第一歩が踏み出される。

  • 1988年: 蒋経国死去に伴い、本省人として初の総統である李登輝が就任。

  • 1991年: 国民党は「動員戡乱時期臨時条款」を廃止し、中国大陸を支配しているという「虚構」を放棄。これにより一党独裁体制が実質的に終焉。

  • 1996年: 初の総統直接選挙が実施され、李登輝が当選。ここに台湾の民主化がほぼ確立しました。

したがって、国民党独裁体制が終焉したのは1990年代前半であり、台湾の政権交代が可能となった完全な民主化は2000年の総統選挙(民進党陳水扁が勝利し、政権交代を実現)をもって達成されたと言えます。

3. 民進党の結党と「独立」志向

民主進歩党民進党)は、国民党の独裁に対抗する勢力(党外勢力)が結集し、1986年に結党されました。

  • 支持基盤: 国民党による圧政の下で抑圧されてきた本省人(特に閩南語話者)が主要な支持基盤となりました。

  • 主張: 結党当初から民主化、自由化を強く主張し、独裁の打破を目指しました。

  • 独立志向: 1991年には「台湾共和国の建設」党綱領に盛り込むなど、「台湾の主権は台湾住民全体に属する」という「台湾独立」を明確に志向する姿勢を見せました。

現在の民進党政権(蔡英文政権、頼清徳政権)は、中国との緊張を高めないため、「独立」を一方的に宣言するのではなく、「中華民国(台湾)はすでに主権独立国家である」という「現状維持」を外交方針として掲げています。

4. 中国の牽制

中国(中華人民共和国)は、台湾を自国の領土の不可分の一部(「核心的利益」)と見なす「一つの中国」の原則を堅持しており、「台湾独立」を絶対に認めない立場を取っています。

民進党が政権を担うことは、中国から見れば「独立志向勢力」の統治を意味するため、中国は経済的圧力、外交的孤立化、軍事的な威嚇(台湾周辺での軍事演習など)を通じて、民進党政権と台湾の「独立」志向を強力に牽制し続けています。

 

台湾の歴史的な民族構成、民主化の経緯、そして現在の政党政治の力学は、極めて複雑であり、現在の東アジアの国際情勢を理解する上での重要な鍵となります。

    日本における親台派

親台派の結成: 1950年代半ば、自民党内で「親台湾派」と呼ばれる議員グループが組織され始めました。その端緒の一つは、1956年8月に自民党総務会長の石井光次郎を団長とする「日本各界中華民国親善訪問団」が台湾を訪問したことです。

岸信介との個人的な信頼関係: 最も象徴的なつながりは、元首相の岸信介蒋介石総統との間に築かれた個人的な「蜜月関係」です。

岸信介は、1957年6月に首相として台湾を訪問し、蒋介石と初めて対面しました。

以来、岸は頻繁に台湾を訪れ、蒋介石との間に「刎頸の交わり」(首を斬られても悔いのないほどの親交)と言われるほどの強い信頼関係を築き上げ、自民党における親台派の中心人物となりました。

この関係は、戦後日本が中華人民共和国ではなく中華民国(台湾)との関係を重視する上で重要な要因となりました。

佐藤栄作との関係: 岸信介実弟である元首相の佐藤栄作蒋介石と関係が深く、1967年9月には日本の総理大臣として台湾を公式訪問しています。

この訪問では、沖縄返還や対台湾円借款など多岐にわたる議題について会談が行われました。

佐藤は、蒋介石が1975年に逝去した際、日本政府の特使として自民党議員の山中貞則を伴い、急遽葬儀に参列しています。

日本が1972年に中華人民共和国との国交を樹立し(日中共同声明)、中華民国(台湾)と断交した後も、自民党内の親台派は活動を継続しました。

日本・中華民国国会議員懇談会: 1973年3月14日には、灘尾弘吉、田中竜夫、玉置和郎、渡辺美智雄自民党議員を発起人として「日本・中華民国国会議員懇談会」(通称「日華懇」)が設立されました。

この懇談会には、設立時に150名以上の自民党国会議員が参加し、断交後の非公式な日台関係を維持・強化する上で中心的な役割を果たしました。

自民党内の親台派は、冷戦下の反共の立場や、戦後の「以徳報怨」(恨みに報いるに徳をもってす)による蒋介石の寛大な対応への「恩義論」といった歴史的・感情的な背景も相まって、長期にわたり日台の友好関係を支え続けることとなりました。

        おわりに

高市氏は安倍晋三氏を強く敬愛しており、その政治的背景には、祖父で衆議院議員だった安倍寛、そして外祖父で首相となった岸信介の存在があります。安倍晋三氏は岸氏と同居して育ち、その思想的影響は小さくありません。

日中国交正常化の際に合意された「台湾」に関する文言には、当時の日本政府の巧妙な配慮がにじみます。合意文書では中国側が「台湾は中国の不可分の領土」と主張するのに対し、日本側はその主張を「承認する」とは言わず、「理解し、尊重する」という柔らかな表現にとどめました。この曖昧さは、自民党内の親台派への配慮であり、同時に台湾の将来に関する余地を残した“戦略的あいまいさ”でもありました。

当時の台湾は国民党・蒋介石政権の下にあり、独立ではなく大陸への帰還を掲げていました。しかし、その後、国民党独裁に反対してきた勢力を含む民進党が民主選挙によって政権を握ると、「台湾は一つの国家である」との意識が社会でも強まり、国際社会の見方も大きく変わり始めます。

高市氏が強調する「国家としての台湾」はその考え方からも安倍氏の意向に沿っていると考えてのことでしょう。中国としては共同声明や条約などに反している事は許す話県はいけないと主張しています。

同時に、現在の国内政治を見れば、少数与党を支えるうえで中国への批判を前面に出すことには、保守層や安全保障重視の層の支持を固めるという計算も透けて見えます。「明確に敵を設定する」ことで支持基盤が強まり、SNSでは“強硬でブレない政治家”という評価が循環していく構図です。

批判を受けても態度を変えなければ、「揺るがない人」として支持者が結束し、結果として「既存メディアや左派は信用ならない」という物語が力を持つようになるでしょう。高市氏の発言の背景には、こうした政治的ダイナミクスが働いていると考えられます。

 

 

経済ニュースの見方:経済を貫く一本の「背骨」

       はじめに

現在の日本では、物価高の影響で生活が苦しくなっている世帯が増えています。
高市政権においても、物価高対策は最重要課題のひとつとして位置づけられています。

日々の経済ニュースでは、「金利が上がった」「円安が進んだ」「株価が動いた」といった数字が飛び交い、アメリカの関税政策の変化や国内の急激な物価上昇が、私たちの生活に直結していることを実感する機会も増えました。

しかし、こうした経済指標はそれぞれが独立して動くわけではありません。
体を支える背骨が、多くの筋肉や関節と連動して初めて機能するように、経済指標も互いに影響し合い、全体のバランスの中で動いています。
どれか一つを動かせば、必ず別の部分に波紋が広がり、期待した効果が思わぬ副作用を招くこともあります。

そこでこの記事では、複雑に見える経済の動きを一本の“背骨=因果の流れ”として整理し、ニュースで語られる数字の意味を立体的に理解できる視点を提供したいと思います。

ニュースによく出てくる経済指標

指標名 概要 意味 注意点
国内総生産
(GDP)
国内で一定期間内に生産されたモノやサービスの付加価値の合計額。内閣府などが発表。 国の経済活動の規模や景気の全体像を示す最も重要な指標。前期比・前年同期比の伸び率(経済成長率)が注目される。 * 速報値、改定値、確報値があり、数値が変動することがある。* 季節調整済みかどうかを確認する。* 発表されるのは過去のデータである。
消費者物価指数
(CPI)
消費者が購入するモノやサービスの価格の変動を指数化したもの。総務省などが発表。 インフレ(物価上昇)やデフレ(物価下落)の状況を示す。金融政策の判断材料として重要。 * 変動の激しい食品やエネルギーを除いたコアCPIなどが景気判断では重視されることが多い。* 測定対象や計算方法の変更に注意。
失業率 労働力人口(就業者+完全失業者)に占める完全失業者の割合。総務省などが発表。 雇用情勢を示す。景気が良くなると低下し、悪くなると上昇する傾向がある。 * 労働力人口の定義や、失業の定義(完全失業者)を理解しておく。* 労働市場の構造変化(例:非正規雇用の増加)の影響も考慮が必要。
鉱工業生産指数 製造業や鉱業の生産活動の推移を示す指数。経済産業省などが発表。 企業の生産活動の活発さ、景気の動向を把握する上で重要。在庫状況なども併せて注目される。 * 在庫調整の影響を受けやすく、景気転換点を捉えにくいことがある。* 一部の業種に偏りがある場合がある。
日銀短観
(Tankan)
日本銀行が企業を対象に行う景気に関するアンケート調査。「業況判断DI」などが有名。 企業経営者が現在の景気をどう見ているか、企業の実感としての景況感を示す。景気の先行指標としても注目される。 * あくまでアンケート結果であり、主観的な側面がある。* 季節的な要因(例:決算期)に影響される場合がある。
貿易収支 輸出額から輸入額を差し引いたもの。財務省が発表。 国の対外的な経済活動を示す。黒字は外貨獲得、赤字は外貨流出を示す。為替相場に影響を与える。 * 原油価格など、輸入する原材料の価格変動に大きく左右される。* 一時的な要因(例:大型受注)で大きく変動することがある。
ISM製造業景況指数
(米)
米国の供給管理協会(ISM)が購買担当者に行った景況感調査。 米国の製造業の活動状況を示す。特に50%が景気拡大・後退の境目として注目される。 * 米国経済の先行指標として重要視され、世界市場への影響が大きい。* 発表の市場予想との乖離に特に注意が必要。
非農業部門雇用者数
(米)
国労働省が発表する農業部門以外の雇用者数の増減。失業率と同時に発表される。 米国の雇用情勢を示す最も重要な指標の一つ。景気の動向や金融政策(利上げ・利下げ)の判断に強い影響を与える。 * 季節調整済みの数値と、市場予想との差が特に注目される。* 景気後退期でも一時的に増加することがあるため、継続的な傾向を見る必要がある。

   ネットにあふれる「経済的欲求」

インターネット上では、さまざまな経済に関する主張が飛び交っています。たとえば、

  • 円安になれば日本製品が安く売れるため、輸出が伸びて景気が良くなる

  • 政策金利を上げれば住宅ローンの負担が増えるので、金利は上げるべきではない

  • 国債は自国通貨建てだから、必要に応じてお金を刷れば問題ない

といった意見が広く見られます。

しかし、これらの考え方には、経済の一部分だけを都合よく切り取った見方が含まれることが多いように思えます。
さらに、ネットでは「天下りが市場をねじ曲げている」「政治家や官僚の私欲が経済を壊している」といった強い批判も盛んに見られますが、その多くは心地よい「憂さ晴らし」としての側面があり、実際の経済構造とは必ずしも一致しません。

では、こうした主張は、経済全体の流れの中でどのような影響を与えるのでしょうか?

円安も金利も物価(インフレ率)も、それぞれ単独では判断できません。
ひとつの政策を動かすと、別の指標に連鎖的な変化が起き、
望む効果と同時に思わぬ副作用が生まれることもあります。

次章では、これらの意見を「背骨=因果の流れ」として整理し、
全体像の中で何が起きているのかを立体的に考えていきたいと思います

     円安の経済波及

円安(外国通貨に対して日本円の価値が下がる)が日本経済に与える影響は、メリットとデメリットの両面があります。

メリット

円安は主に輸出企業観光産業にプラスに働きます。

  • 輸出企業の利益増加:

    • 海外から見ると日本製品が相対的に安くなるため、国際競争力が高まり、輸出量が増加しやすくなります。

    • 海外での売上を円に換算した際、手取りの円建て金額が増えるため、企業の収益が向上します(為替差益)。特に自動車や精密機械などの輸出産業に大きな恩恵があります。

  • インバウンド需要の増加:

    • 外国人観光客にとって、日本での宿泊や飲食、買い物などの費用が安くなるため、訪日意欲が高まります。観光業、小売業、宿泊業などのサービス産業に経済効果をもたらします。

  • 外貨建て資産の価値上昇:

    • 外貨建ての預金や海外の株式・債券などの資産を円に換算した際の評価額が増加します。

デメリット

円安は主に輸入企業や家計にマイナスに働きます。

  • 輸入コストの上昇と物価高:

    • 日本はエネルギー資源や原材料、食料品の多くを輸入に頼っているため、円安になると輸入価格が上昇します。

    • その結果、企業のコストが増大し、最終的に製品やサービス価格に転嫁されることで、国内の物価全体が上昇します(インフレ)。

    • 特に、賃金の上昇が物価上昇に追いつかない場合、実質的な家計の購買力は低下し、生活を圧迫します。

  • 輸入企業の利益減少:

    • 原材料や完成品を輸入して販売する企業は、仕入れコストが増大するため、利益が圧化されます。

  • 海外旅行のコスト増加:

    • 日本人が海外で買い物をする際や海外旅行をする際の費用が割高になります。

このように、その人の立場によっても、メリットにもデメリットにもなります。

私たちは日本人であるとともに、消費者です。日本人に良い事は必ずしも消費者にいいとは限りません。

本題から外れますが、「日本」は便利な言葉です。日本国民・日本民族・日本企業・日本政府・日本国土など全てが含まれますが、全て似て非なる言葉です。そして自多くの人が自分に都合よく捉えます。

       政策金利の仕組みと役割

政策金利は、金融機関が中央銀行にお金を預けたり、金融機関同士でお金の貸し借りをする際の金利に影響を及ぼします。

これが波及して、一般の銀行の預金金利や住宅ローン・企業への貸出金利など、市場全体の金利水準を動かします。

 

1. 金融引締め(利上げ)

景気が過熱し、物価が上がりすぎている(インフレ)ときに、中央銀行政策金利を引き上げます。

影響の流れ 詳細
資金調達コストの上昇 銀行の貸出金利が上がるため、企業や個人がお金を借りにくくなります。
経済活動の抑制 企業は設備投資や新規事業を控え、個人は住宅ローンなど高額な消費を控えるようになります。
効果 経済活動が抑制され、需要が減少することで、景気の過熱が抑えられ、インフレ(物価上昇)が落ち着きます
その他の影響 株価は下落傾向、自国通貨は高くなる(円高)傾向があります。

 

2. 金融緩和(利下げ)

景気が冷え込み、物価が下がりすぎている(デフレ)ときに、中央銀行政策金利を引き下げます。

影響の流れ 詳細
資金調達コストの低下 銀行の貸出金利が下がるため、企業や個人がお金を借りやすくなります。
経済活動の刺激 企業は設備投資や新規事業に積極的になり、個人は住宅や車の購入など高額な消費を検討しやすくなります。
効果 経済活動が活発化し、需要が増加することで、景気が上向き、デフレ(物価下落)から脱却することが期待されます。
その他の影響 株価は上昇傾向、自国通貨は安くなる(円安)傾向があります。

3.私たちの生活への影響

政策金利の変更は、直接的・間接的に私たちの生活にも影響します。

  • 住宅ローン金利: 変動金利型の住宅ローンは、政策金利の変動に連動して金利が変わり、毎月の返済額に影響します。(金利↑返済額金利↓で返済額↓)

  • 預金金利: 政策金利↑、銀行の預金金利も↑

  • 雇用と賃金: 金融緩和(利下げ)により景気が良くなれば、企業の業績が回復し、雇用が増え、賃金も上昇しやすくなります。

  • ただ、現在のCEOはその企業の実績で評価され、現在のような労働組合の組織率では人件費を削減する傾向がみられます。(給与↓非正規率↑)
  • 物価: 政策金利↑⇒ 円↑⇒物価↓

このように、政策金利中央銀行が経済の「アクセル」や「ブレーキ」を踏むために使う、非常に重要なツールで、私たちの生活への影響も非常に大きいと言えます。

政策金利を上げると政府の出費は増え、既発の国債価格は下がります。そして日銀は「異次元の金融緩和」で、低利の国債を大量に持っています。高市総理の24年の「金利を上げるのはアホ」発言が無くても、政策金利を上げれば、税金を上げるか、さらに国債を積み増すしかないように思います。

                  労働組合組織率

 

      国債はデフォルトしない

日本国債は円建てなので 返済不能という形のデフォルトは起きません。しかし、需要の均衡を失えば 円は暴落し、物価は急上昇します。国家が財政出動を続けるほど、金利というブレーキが利かなくなり、為替市場のバランスは次第に歪みます。

急激な物価上昇は、生活を直撃します。インフレはゆっくり進む分、誰も気づかないうちに生活を壊すのです。気づいた時のは物価高がコントロールできないかもしれません。国債を発行して(謝金をして)政策をすれば国民の負担が一見ありませんので、政権もこの手を取ることがあり、国民の支持を得ますが。ハイパ―インフレになるより増税のほうが被害が小さくなります。

アメリカがその危険性があり、多くの人が物価高で苦しい生活を強いられています。アメリカの混乱はニュースにもなっていますが、決して対岸の火事ではありません。

米国債はドルへの信頼があり、 全体の約88%に米ドルが関わっています。だからおおくの政府や企業が支払準備で米ドルを持っています。それがショックアブソーバーとなり、デフォルトはしにくいですが、日本国債のショックアブソーバーは小さいと思います。

     ハイパーインフレの思い出

私は名古屋に住んでいますが、名古屋周辺には戦時中、多くの軍需工場や基地があり、空襲で壊滅し、街は焼け野原になり、インフラがない状態でした。工場も軍需物質を作っていたので、破壊され、何も作れない状態でした。その結果、物資は圧倒的に不足しました。

配給制度はあったものの到底足りず、ある裁判官は法律を順守して餓死しました。山口良忠 - Wikipedia

生きてゆくためには違法であっても闇市 - Wikipediaを頼らざる得ない状況で、闇市では配給価格の数十倍で物が売られていました。

家庭では着る物も満足に手に入らず、子供服はつぎはぎだらけ、袖口は固まった鼻水で光っていた――1960年頃までは、それが現実でした。

それが ハイパーインフレ の世界です。
通貨の価値が崩れると、国家も社会も生活も壊れます。

    市場機能を止めた「異次元緩和」

黒田元日銀総裁による大規模金融緩和は、緊急避難的処置で、短期的に採用されるべき政策でした。(黒田氏も最初は2年と言っていました。)目標はインフレターゲット2%です。
しかし、3年以上続いたことで
市場が 金利を自分で決める能力(価格形成機能) を失いました。

     金融緩和とは何か

金融緩和とは、借金(債務)で社会を支える仕組みです。
金利を下げ、資金を借りやすくすることで、企業や家庭、そして政府が資金を調達し、経済を動かす力にします。

その効果は、

  • 景気を一時的に押し上げる

  • 投資や消費を促す
    という点で大きな役割を果たします。ただし、全ての新たに増えた債務が投資に回されるとは限りません。

  • テレビ番組「ポツンと一軒家」では人里から10km以上離れた所でも舗装された道路があります。たまにしか使わない道ですが、保守点検費はどうしてるのでしょう。

しかし同時に、

借りたものはいつか返さなければならない

限界を超えて借金が膨らめば、
返済の負担が未来に重くのしかかります。

国債残高が大きくなりすぎると通貨の需給バランスが崩れ、ひどくなればハイパーインフレになります。そこを詳しく説明します。
 

 国債残高が増えるとなぜ危険なのか

国債を発行し続けるということは、
政府が 新しい通貨を市場に供給し続ける ことです。

  • 国債発行 → 市場にお金が流れる

  • 供給される通貨量が増える

  • 需要(使う量)が追いつかなければ 通貨価値が下がる

  • 通貨価値の低下は 物価の上昇(インフレ)

そして、もし国債残高が制御不能になれば、市場が「この国はもう返済できない」「この国の通貨は信用できない」

と考え始め、通貨が一気に売られ、暴落 → ハイパーインフレ という流れになります。

日経平均株価の大幅下落、円安、債券価格の下落であるトリプル安は偶然下落が一致しただけと思いたいです。

インフレとハイパーインフレの違い

程度 内容
通常のインフレ 物価が年数%~10%前後上昇
高インフレ 年20〜30%、通貨価値が急減
ハイパーインフレ 月50%以上の物価上昇

つまり、ハイパーインフレは信用崩壊によるパニック現象と言えます。

国債残高の見方

金額の多さが問題なのではなく、国債の信頼性です。

  • 国が返済を続けられると人々が信じること

  • 税収や経済成長で債務がコントロールできていること

  • 通貨への信頼が維持されていること

これらが崩れると危険です。だから、借金を増やしても大丈夫かどうかは

  • 税収の増加

  • 経済成長

  • 適切な金利政策

  • 通貨の信用

がセットで必要になるわけです。これが日本の国債残高がGDP比2.25倍になっても破綻しない原因です。しかし、信頼性と言う心理(仮空)で支えられていますので、急に変化します。

         財政出動とは何か

財政出動は、政府が国債を発行するなどして資金を調達し、公共投資や給付金として 通貨を街に流す政策です。

これにより、

  • 市場に流通する通貨量が増える

  • 企業や家庭の財布に資金が入る

  • 景気が刺激される

という効果があります。

しかし、通貨の需要に対して供給が増えすぎれば物価が上がり、インフレ圧力が高まります。

        まとめ

報道では、物価高をインフレ率と言っています。そして現在の物価高をコストプッシュ型インフレとしています。インフレの反対語はデフレでインフレには好景気とのイメージがあります。黒田日銀は2%のインフレを目標(ターゲット)にしました。最近は目標達成していますが、庶民の暮らしは悪化しています

物価高をインフレと言っている事は、知ってか知らずか、印象操作だと思います。

物価が上がる事は誰にとっても悪い事です。しかし、それにつれて給与も上がれば生活は変わりません。

金融緩和 財政出動
金利を下げて借金を増やし景気を刺激 国債を発行し通貨を市場に流す
一時的に楽になるが返済負担が残る 供給量が需要を上回ると物価が上昇
「未来の富を前借り」 「通貨量を増やす」

 

 

中央銀行国債を買うと為替が歪む理由

中央銀行国債を大量に買い取ると以下のように動きます:

作用    結果
国債の買い手増加    国債価格↑
国債価格↑    長期金利↓(抑え込まれる)
金利↓    通貨安(円安)圧力
円安    輸入物価↑ → インフレ加速

本来は、

景気好調 → インフレ上昇
国債売り → 金利上昇
円高 → 物価上昇を抑える


という 自然な均衡システム が働くはずです。

しかし、
中央銀行国債を買い支えると、

市場の金利決定機能が壊れる

つまり、

国債買い支え = 金利の人工固定 = 円安の構造要因


本来波のある海を、巨大ダムで無理にせき止めているようなものです。
水位は安定しているように見えても、
内部には圧力が蓄積され続けます。

        さいごに

最近は、物価上昇をあえて「インフレ率」と呼び替える報道が目立ちます。しかし生活者の視点では、物価高は苦しさにつながる“悪材料”であり、言い換えで中身が変わるわけではありません。
「インフレ2%」という目標が“景気が良い”イメージを持つせいか、物価上昇すら肯定的に語る人さえ出てきますが、実態は生活負担の増大です。

金利や給与といった収益に関わる指標は、必ず物価変動を差し引いた「実質」で判断する必要があります。目安としては、名目値からインフレ率を引けば概算できます。
日本国債の実質金利は現在マイナスで、銀行預金の金利国債より高く見えるものもありますが、短期・限定条件を除けば、基本的にすべて国債以下です。「金融商品の利率 − 国債利率」が示すのはリスクにほかなりません。もし“高利で安全”な商品が本当にあるなら、総額100兆ドル規模の機関投資家が放っておくわけがありません。

経済は、6つの主要要素が因果関係でつながる「一本の背骨」で動いています。
どれか一つを都合よくねじ曲げれば、別の部分にゆがみが生じます。

  • 大規模な財政出動は、本来の金利調整という“ブレーキ”を壊し、為替市場まで狂わせる

  • 国債中央銀行が買い支え続けると、金利は人工的に固定され、円安 → 物価高が加速する

  • 歴史が示すのは、「通貨の崩壊は生活の崩壊に直結する」という厳しい事実

大切なのは、表面的なニュースの見出しではなく、この「因果の背骨」で経済を読み解く力です。
その視点が育てば、テレビの解説やネットの勇ましい議論に振り回されることはなくなります。むしろ、「あ、これは背骨のどこが歪んでる話だな」と落ち着いて判断できるようになります。

 
 
 

現代資本主義の危機 と 転換点

                    はじめに

長期にわたる超低金利、そして実質マイナス金利――これは単なる景気対策の副作用ではありません。現代の資本主義がすでに構造的な限界に直面しているという、重大なサインです。

かつて銀行は経済の中心でした。人々から利息を付けて預金を集め、信用を担保に企業へ貸し出し、企業は利益を利息として銀行に還元する。こうした「預貸金利差」を収益源とするモデルが、金融の根幹を支えていました。銀行は信用こそ命であり、社会的責任の象徴でもありました。

しかし現在、銀行が中心となって資金循環を担う仕組みは崩れつつあります。優良企業は銀行に頼らず、社債発行や内部留保で自前の資金を調達します。つまり、低リスクで貸せる相手が減り、銀行のビジネスモデルは議論の余地もなく縮小しています。

その結果、金融システムに深刻な歪みが生まれています。本来、預金金利はインフレによる価値減少を補うべきものでしたが、今では預金は実質的に目減りし続けています。実質金利がマイナスということは、預金者が「手数料を払って銀行に預けている」のと変わりません。これはつまり、銀行を中心とした資本循環モデルが崩壊したことを意味しています。

この経済停滞と並行して、格差は歴史的水準に達し、世界中で社会的不安が高まっています。日本でも、低賃金労働を支えてきた外国人労働者を排除すべきだという空気が強まっています。物価が上がっても構わないから、安い労働力はもう不要だ――そんな感情が背景にあります。

そして政治は、この不満を解消するどころか、むしろ利用する方向へと傾きつつあります。本来、政治とは人々を幸福へ導くためのものであるはずです。しかし今や、「不安や怒りをうまく利用し、希望の幻想を演出するショー」に変質しつつあります。美辞麗句と都合の良い物語を並べる者ほど支持を集め、SNSは経済的ストレスのはけ口として排外的な言説を増幅し、社会の分断は深まっています。

こうした風景は、単なる一過性の社会現象ではありません。資本主義そのものが「再設計」を迫られている証であり、いま私たちはその深い変動のただ中にいるのです。

    金融ビッグバンと金利自由化

バブル経済の歴史

現代資本主義の行き詰まりとバブル経済は深いつながりがあります。以下にバブル経済の経緯を示しました。

主な出来事
1985年 プラザ合意円高が急進行し、株・不動産への資金流入が加速
1986年 公定歩合を大幅引き下げ → 低金利で資金がジャブジャブに
1987年 株価・地価急騰開始/「土地神話」が強化される日経平均が2万円突破
1988年 銀行の過剰融資が横行、不動産融資が爆発的に拡大
1989年 日経平均 38,915円 の史上最高値(12月29日)翌年の落差が壮絶なのはご存じの通り…
1990年 バブル崩壊の始まり/株価急落、不動産価格も下落へ転じる
1991年 地価下落が本格化/銀行の不良債権が深刻化
1992年 「平成不況」という言葉登場/実体経済の失速が顕在化
1993〜1995年 山一證券など大手金融機関の行き詰まりが見え始める
1997年 山一證券自主廃業、北海道拓殖銀行破綻など “金融危機の年”
2000年代以降 長期デフレ・「失われた10年」→気づけば20年以上と言われる

     金融自由化への道筋

1989年末に日経平均株価が4万円に迫った日本のバブル経済は、1990年に入ると一気に暴落し、長期にわたる経済の停滞を招きました。このあまりにも大きな落差は、知人が自殺や自己破産した人も多く、忘れられない出来事です。100万円以下は はした金で、お釣りはチップが当たり前と異常な時代でした。世相=集団心理は「当たり前」な事を簡単に乗り越えるわけですから、恐ろしいものです。

このバブル崩壊と、それに先立つ国家統制的な金融行政への反省から、政府は金融市場への市場経済原理の本格的な導入を決断しました。これが、1996年11月に提唱され、1990年代半ばから推進された「金融ビッグバン」(日本の金融・証券市場制度の大改革)です。

金融ビッグバンは、金融市場の規制を撤廃・緩和し、市場の活性化と国際化を図ることを目的としました。その改革の精神である「Free(自由な市場)」に沿って進められた重要な柱の一つが、「金利の自由化」です。

かつて、銀行預金(特に小口預金)の金利は、大蔵省(現在の金融庁財務省)の指導のもと、一時金利調整法などに基づき横並びで規制されていました。しかし、この自由化は、金融ビッグバンに先行する形で段階的に進められました。

具体的には、大口預金や定期預金から市場金利に連動する商品が導入され、最終的に1994年10月には、当座預金を除くすべての流動性預金金利が自由化され、日本の預金金利の自由化は完了しました。

したがって、金融ビッグバンが本格的に始まる前の段階で、小口預金を含むほとんどの預金金利はすでに国家の規制下から解放されていましたが、この流れは、金融ビッグバンの精神と軌を一にするものでした。これにより、銀行預金の金利は国家の規制から解放され、市場原理によって決まる仕組みへと転換したのです。

変更した主なポイント

  1. 接続詞と流れの改善: 「暴落しました、落差があまりにも大きく」を「暴落し、長期にわたる経済の停滞を招きました。このあまりにも大きな落差は...」のように繋げ、文章の流れをスムーズにしました。

  2. 表現の簡略化と統一: 「国家統制に問題があったと考えて、政府が金融にも市場経済を問い入れたのが」を「国家統制的な金融行政への反省から、政府は金融市場への市場経済原理の本格的な導入を決断しました。これが...」と、よりフォーマルで簡潔な表現にしました。

  3. 重複の回避: 「金融ビッグバンは...活性化と国際化を図ることを目的としていました」の後に、「金融ビッグバン自体は、預金金利の自由化の完了後に提唱されましたが、一連の金融自由化の流れの中で...」のように、一連の流れという表現で前後をまとめています。

  4. 「単眼」の調整: 「金融ビッグバンが本格的に進む前の段階で...」の後に、「...この自由化の流れは金融ビッグバンの精神である「Free(自由な市場)」に沿ったものでした。」とあった部分を、「この流れは、金融ビッグバンの精神と軌を一にするものでした。」とすることで、先行した自由化が後のビッグバンの理念と一致していることを明確に表現しています。

      金融市場との対話

1929年の世界恐慌後、資本主義は政府が市場を支える「修正資本主義」へと大きく舵を切りました。しかし、その修正資本主義は、後に新自由主義にとって代わられ、再び世界中で矛盾が噴き出し始めています。

      資本主義の変質

修正資本主義

修正資本主義は、19世紀後半のイギリスで登場し、特に第二次世界大戦後から1970年代にかけて先進各国で実現した考え方です。古典的自由主義の欠点である富の偏在や社会問題を是正するために、政府の積極的な介入を容認し、「大きな政府」を目指しました。別名「ニューリベラリズム」や「社会自由主義」とも呼ばれます。

新自由主義

新自由主義(Neoliberalism)は、1970年代以降、主にアメリカとイギリスを中心に台頭し、世界各国に広がった経済思想です。修正資本主義で肥大化した「大きな政府」を批判し、再び市場原理個人の自由を重視する「小さな政府」を目指しました。

修正資本主義と新自由主義

特徴 修正資本主義(ニューリベラリズム 新自由主義ネオリベラリズム
政府の役割 大きな政府(積極的な経済介入) 小さな政府(介入を最小限に抑制)
経済介入 容認・積極的(ケインズ主義) 抑制・否定的(市場原理の重視)
富の再分配 重視(累進課税社会保障 抑制(減税、福祉の削減)
キーワード 福祉国家有効需要、再分配 規制緩和、民営化、自己責任、競争
歴史的時期 第二次世界大戦後〜1970年代 1970年代後半〜現在
代表的政策 ニューディール政策福祉国家の拡充 レーガノミクスサッチャリズム

新自由主義は、経済の活性化や競争力の強化に寄与したとされる一方、格差の拡大貧困層の増加といった社会的なデメリットも引き起こしたとして、現在も根強い批判があります。

修正資本主義の欠点:

  • 国家の肥大化

  • 効率の低下

  • 過剰な規制

新自由主義の狙い:

  • 規制緩和や民営化で競争を促進

  • 市場に活力を取り戻す

  • 国家の役割を縮小

その結果、経済成長は刺激されたものの、社会構造には深刻な軋みが生じました。

状況 トリクルダウン依存 備考
米国(トランプ以前) ほぼ全面的に依存 新自由主義の中核理論
中国(近年) 部分的に依存していたが修正中 先富論」→「共同富裕」

     新自由主義がもたらした問題

1. 格差拡大と貧困化

ワーキングプアや中間層の没落が進行

2. 公共サービスの後退

  • 民営化により採算重視となり地方や弱者の負担増

  • 社会保障削減で政府のセーフティーネットが弱体化

  • 個人の為に税金を使うなと言った「自己責任」論が支配的に

3. 金融の暴走と不安定化

特にリーマンブラザーズが推し進めた金融工学は「リスクを分散すれば安全」という理屈のもとで拡大しましたが、実際にはシステミックリスクを増大させました。

代表例:サッチャリズムレーガノミクス

  サッチャリズム(英) レーガノミクス(米)
主な施策 国営企業の民営化/労組弱体化/緊縮財政 減税/規制緩和/軍事費増
狙い 非効率な「英国病」から脱却 供給サイド重視の経済活性化
結果 成果はあったが失業・格差拡大 景気回復したが財政赤字・格差拡大

経済効率は改善したものの、社会の分断という重い代償が残りました。

     富の集中と需要

従来の経済理論は「投資すれば消費が拡大する」ことを前提にしていました。ところが現在は次の現象が起きています。

  • 政府や中央銀行が流した資金が労働者ではなく企業や富裕層に吸収される

  • その結果、賃金には還元されず内部留保や資産運用に回る

  • 消費にも回らないため景気は回復しない

象徴的なのが近年の異常な株高です。

株価を押し上げる要因は:

  • 円安で、ドルベースで安くなった株を外国人が買っている。

  • 高い利益率を求めて海外ファンは、日本株を買うが、高い利益率は低い労働分配率の為である。

  • NISA拡充などの国内政策で日本株は上がると予測した。

以下は、フォーブス誌が発表した2025年版の長者番付トップ30です。資産額はすべて「兆円」単位で示されています。

その30位にランクインしているのが、日本の柳井正氏(ファーストリテイリング)で、総資産は約6兆7千億円です。数字だけでは実感が湧きませんが、仮に 1日3億円のペースで使い続けても、すべて使い切るのに61年かかる 計算です。

つまり、このクラスの資産は「生活のためのお金」ではなく、「使うものではない資産」なのです。富裕層にとって資産とは、消費の対象ではなく、社会的影響力のために存在していると言った方が近いでしょう。

資産は当然、つまり、多くの経済理論の根底となっているトリクルダウン(滴り落ち理論)はおきません。日本においては社会に回るお金が増えても、インフレ率を考慮した実質給与は上がっていません。

順位 名前 資産額 主要企業 国籍
1 イーロン・マスク 50.6 TSLA
2 ザッカーバーグ 32 META
3 ジェフ・ベゾス 31.8 AMZN
4 ラリー・エリソン 28.4 ORCL
5 アルノー 26.3 LVMH
6 バフェット 22.8 BRK
7 ラリー・ペイジ 21.3 GOOGL
8 セルゲイ・ブリン 20.4 GOOGL
9 オルテガ 18.4 ZARA 西
10 バルマー 17.5 MSFT
11 アリス・ウォルトン 16.3 WMT
12 ジム・ウォルトン 16.1 WMT
13 ビル・ゲイツ 16 MSFT
14 ブルームバーグ 15.5 Bloomberg
15 アリス・ウォルトン 14.9 WMT
16 ジェンセン・ファン 14.6 NVDA
17 マイケル・デル 14.5 DELL
18 アンバニ 13.7 Reliance
19 スリム・ヘル 12.2 Telmex
20 マイヤーズ 12.1 L’Oreal
21 ジュリア・コック 11 Koch
22 チャールズ・コック 10 Koch
23 張一鳴 9.7 ByteDance
24 チャンポン・ジャオ 9.3 Binance
25 ジェフ・ヤス 8.7 SIG
26 鍾睒睒 8.5 農夫山泉
27 ペテロフィ 8.5 IBKR
28 アダニ 8.3 Adani
29 馬化騰 8.3 TCEHY
30 柳井正 6.7

ユニクロ

消費構造の歪み

富裕層:欲しい物はすでに持っている → 消費ではなく投資へ

大多数の人々:賃金低迷+物価上昇 → そもそも買えない

その結果、世界的な「有効需要の不足」という構造的問題が発生している。

         円という通貨の限界

国がどれだけ国債を発行できるか――これは単なる財政規律ではなく、その国の通貨が「どれだけ世界で使われているか」に大きく左右されます。アメリカやEUが巨額の国債を発行してもすぐには問題化しないのは、ドルやユーロが国際貿易の基軸通貨として深く浸透しているからです。

ドルやユーロは世界中の政府・企業が保有し、最も安全な資産のひとつと見なされています。だからこそ、金融緩和や大規模な国債発行を行っても、リスクが表面化するまでに長い“猶予”があるのです。

しかし、日本は事情が異なります。

  • 円建て貿易の比率が低い

  • 通貨としての国際需要が限定的

  • 国債のほとんどを国内で消化

  • 景気悪化がすぐに家計と消費に直撃

  • 国債残高はすでにGDPの2倍超

  • 日本国債の信用格付けは決して高くない

つまり、日本は 「円を世界に押し付けることができない国家」 であり、アメリカやEUのように通貨の信認を利用して時間を稼ぐ余地がほとんどありません。景気悪化 → 賃金低下 → 消費縮小 → 税収減 → 財政悪化という悪循環が、タイムラグなく現実化してしまうのです。

日本の財政が「破綻しない」と言われる一方で、「安心できない」と感じる人が多いのも、この構造的な脆弱さゆえでしょう。     

        さいごに

 かつて日本は「物価が高い国」として知られていました。しかし、30年以上続く停滞のなかで状況は一変し、現在は円安と輸入物価の高騰により、生活コストが静かに、しかし確実に押し上げられています。とりわけ石油価格の上昇は、合成樹脂などの石油製品だけでなく物流・電力・暖房といった社会の基盤そのものに波及し、あらゆる価格を引き上げています。

私たちは長いデフレの中で、物価が動かないことに慣れ、生活水準は大きく変わらないように見えていました。しかし今、コストプッシュ型インフレによって賃金の伸びを上回る形で物価が上昇し、実質給与は低下。金利も実質マイナスのまま拡大し、預金は目減りし続けています。

円安によるインフレ率上昇は、実質的には増税したのと同じ効果を生みます。 富裕層の多くは株式や外貨建て資産を多く持つため、円安になっても円ベースでは実質的な資産増となります。一方で、資産の預金割合の多いマス層は、資産が実質的に目減りしていく構造です。

本稿では、こうした状況を大きな思想やイデオロギーではなく、実生活の「お金の流れ」という視点から見直してきました。資本主義は長らく私たちの社会を支えてきましたが、その仕組みは世界中で今、揺らいでいます。マス層が不安に駆られ支持する政党の主張が、結局は不安を増大しないかを見極めるべきでしょう。

この変化をどう受け止め、「お金の意識」と「行動様式」をどう変えていくのか。問われているのは「経済の仕組み」だけではなく、デフレ時代とは異なる「私たちの生き方」そのものなのかもしれません。

インフレーション - Wikipedia



銀行+証券・保険に関わる主な法改正 年表

法改正・制度 内容・意義
1998年(平成10年) 金融システム改革法(正式名:「金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律」)成立・施行 法令ナビ+2金融庁+2 銀行・保険・証券など金融機関間の業務参入規制緩和を目的とした「日本版ビッグバン」の根幹法。銀行による投資信託(証券性商品の取扱い)などが可能になる制度の土台を整備。 金融庁
2000年(平成12年) 証券取引法等の一部改正(平成12年法律第96号) 法令ナビ+1 銀行など金融機関が証券を扱うことを促す制度整備の一環。これにより、銀行が証券仲介(代理)業務を持つ可能性が高まった。
2005年(平成17年) 保険業法等の一部改正(平成17年法律第38号)公布 法令ナビ+1 銀行が保険を扱えるようになるための枠組みを整える改正。少額・短期保険業制度を導入。 財務局 施行は 2006年4月1日金融庁
2006年(平成18年) 金融商品取引法(いわゆる金商法)制定・施行 旧「証券取引法」などを包括・横断的に改正 → 金融商品(証券・デリバティブ・投信など)を横断的に扱う制度に。 日本スラング研究所+2TMI株式会社+2
また、銀行・保険業者による金融商品の販売にも適合性原則や説明義務などの行為規制が導入された。 スナホキ
2007年(平成19年) 金商法施行金融商品取引法施行) 財務局+1 金商法(新法)が正式に施行され、金融商品取引に対する統一ルールが有効になる。銀行・証券・保険をまたぐ行為規制の本格運用が開始。
2020年以降 金融サービス仲介業など制度整備 銀行・証券・保険をまたいだ「金融サービス仲介業(アドバイザー・仲介者)」を制度化する動き。 日本経済情報センター
また、顧客本位の業務運営原則や適合性規制など、販売・勧誘のルールが強化されている。 TMI株式会社+1

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  メガバンク
主な営業エリア 国内外を問わないグローバル展開
主な顧客層 大企業、多国籍企業機関投資家、富裕層
主な事業内容 資金供給、M&A・引受業務、証券・信託業務、国際業務
設立根拠 銀行法(株式会社)
ビジネスの特徴 総合金融サービス、手数料ビジネス、高い収益性追求
   
  地方銀行
主な営業エリア 特定の都道府県内が中心
主な顧客層 中堅・中小企業、個人、地方公共団体
主な事業内容 地域経済への資金供給・支援、個人向けサービス
設立根拠 銀行法(株式会社)
ビジネスの特徴 地域密着、地方創生への貢献
   
  信用金庫 (信金)
主な営業エリア 特定の市町村など限られた地域
主な顧客層 中小企業・個人(会員・組合員)
主な事業内容 地域住民・事業者の相互扶助、地域密着型金融
設立根拠 信用金庫法(非営利法人)
ビジネスの特徴 非営利、会員・地域社会の利益優先