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「蒲田という街は、なんというか“肩の力の抜けた東京”だと思う。オシャレや流行とは無縁だけど、だからこそ妙に居心地がいい。駅前に立つだけで、昼から飲んでいる人、職業不明の風変わりな人たちが行き交っている。昭和で時間が止まったような喫茶店や定食屋、そして居酒屋。そんな街にいると、気づけば自分の肩の力まで抜けて、素の顔になっている。なぜなら周りには自分以上に肩の力の抜けた、超「素」の人ばかりだから。そのゆるさと包容力が、もはや東京では稀少である。 それに何より、飯がうまくて酒がうまい店が多い。しかも安い。混沌とした街並みの中で一杯ひっかけ、ほろ酔いで夜風にあたると、不思議と心がほぐれていく。『今日も生きててよかった』『明日も生きてていいんだな』と思えてくる。僕にとって蒲田は、治療とかリハビリに近い、“飲酒OKの総合病院”みたいな場所です。これからも、あまり変わらないでいてほしい」 上海わんたん
【訊いた人】 坂上陽子(『文藝』編集長) 戸井武史(『群像』編集長) 浅井茉莉子(『文學界』編集長) 杉山達哉(『新潮』編集長) Q1.文芸が好きになったきっかけの一作は? 文藝(坂上) 金井美恵子『小春日和』。 群像(戸井) 大江健三郎『個人的な体験』。1994年のノーベル文学賞受賞時に手に取り、「こんなふうに日本語を使う人がいるのか」と驚き、夢中で過去の作品を読み始めました。 文學界(浅井) 河野多惠子『みいら採り猟奇譚』。 新潮(杉山) 町田康『くっすん大黒』。中学生の頃なにげなく手に取り、小説、そして日本語はこんなにも自由でいいんだと衝撃を受けました。「文体」というものを初めて意識したのも、この作品。 Q2.毎号どのように特集や一号の構成を考えていますか? 文藝(坂上) 編集部の雑談。面白半分マインド。 群像(戸井) 連載がしっかりボディを担保してくれているので、巻頭近くになるであ
──『ばけばけ』の主題歌を制作するにあたり、どんなリクエストがありましたか? 佐藤良成 制作側から言われたのは、ドラマのモデルになった小泉節子(セツ)さんの書籍『思い出の記』を読んでおくこと。そして、ドラマ自体が夫婦の物語なので、歌は私たち2人の掛け合い。声が重なったり、また離れてったりするように歌うイメージをとのことでした。それ以外の注文は、まったくありませんでした。 佐野遊穂 大きな仕事なのに、あまりにリクエストがなさすぎて驚きましたね。 佐藤 注文が多い方が、イメージがはっきりする場合も多い。私たちの楽曲は、決して派手な曲はありません。その旨、プロデューサーさんや演出家へ伝えたところ「ハンバートらしい曲が欲しいです」と返事があり。とにかく、好きに作ってくださいと。 佐野 こちらから「ほかに、なにかありますか?」とか、少し粘ったりして(笑)。 佐藤 自分たちで、最初から規制しても面白く
『テーブルテニスのゲームのレフィル』って、なに? ──今回のアルバムをトータルで聴いてみると、すごく一貫性があって音楽的なコンセプトみたいなものを整えてつくられた印象があったんです。インストのアルバムを作ってみようと思ったきっかけはどんなところだったんですか。 実は、普段音楽を作っている中で自然と「インストみたいなもの」ができることはちらほらあったんです。今回のアルバム1曲目の『不注意を払う』も、歌を載せる感じでもないかもなと思って置いておいた曲で。 もともと歌うことが好きなので、私の曲は歌があって成り立つと思っていたんですが、インストを作る仕事をしたときに単純に楽しくて、満足できるものが作れた。それで今回、新たにインストアルバムを作ってみようと思ったんです。 たとえば、「gym」は4つ打ちの電子寄りの曲を作りたいという動機から生まれたし、「As a friend」はピアノを弾いたときのミ
私たちに元気をくれるアイドルたちにも、かつて憧れ、日々の支えになっている自分だけのアイドルがいる。BRUTUS「アイドルって?」(2025年12月1日発売)で、現役アイドル18人に作ってもらった「マイアイドルソング☆プレイリスト」をWebにて特別公開中!本誌ではさらに、選んだ曲への思いについても語ってもらっています。特集の詳細はこちら。 ※配信状況により、一部楽曲が含まれない場合があります。 text: Sho Kasahara, Kazuaki Asato, Minori Okajima / illustration: DENQ / photo: Jun Nakagawa, Keita Sugeno / styling: Saori Katayama / special thanks: sinot.clothing
特別な衣装を着てステージに立ち、ひたむきに歌い、踊るアイドルたち。その姿は、美しくも、強くも、時に儚くもあります。彼ら、彼女らの存在に、どれだけ多くの元気と勇気をもらったのでしょうか。昭和から平成、そして令和になっても、アイドルは多くの人たちの心の支えになっています。そんなアイドルの姿も、社会や時代の変化とともに変わりつつあります。多様化するアイドルという存在について、プロデューサーや作曲家、作詞家にコレオグラファー、衣装デザイナー、ボーカル講師まで、彼らを支えるクリエイターたちと考えました。何をもって、誰のためのアイドルなのか?あのグループはなぜ人気なのか?アーティストとアイドルの違いって?2025年、ブルータスのアイドル論をお届けします。
独立系書店が年々増えているという。古本屋を舞台にした話題の漫画『本なら売るほど』のように、偶然の出会いを楽しめる書店はサードプレイスのよう。イベントや読書会など集まる機会を積極的に作る“居場所”のような独立系書店を紹介する。 人が集まるきっかけを作る本屋 東京・東中野の〈platform3〉は、〈loneliness books〉を主宰する潟見陽さんと、出版ユニット〈(TT)press〉が共同運営。クィアやジェンダーをテーマにしたイベントを積極的に行う。東京・幡ヶ谷の〈OH! MY BOOKS〉は店主・福永紋那さんが選んだ、社会や暮らしについての本が並ぶ。まずはリーディングパーティから参加するのも手。 長野・松本の〈栞日〉はまさにサードプレイスを目指し、喫茶や宿、銭湯など暮らしと共存する本屋だ。詩歌のセレクトが豊富な福岡・天神の〈本のあるところ ajiro〉では、詩の朗読や歌会をすることも
年間4〜5冊ものペースで本を出版し続け、2024年の年末で著作が45冊になるという坂口恭平のアトリエには、立派な書棚が1台あり、哲学書や全集が並ぶ。しかし、彼は開口一番「読書ができない」と言う。本は作りたい、だけど読めない、坂口流の読書とは。 「書く」ために「読む」読書とは 「読書に関しては、昔からコンプレックスがあった。本が読めないんだけど、本を書きたい、作りたいという気持ちは強い、という不思議な感じだった」 坂口は幼い頃から何かを「作る」ことに興味があった。そして、本という紙が綴られた束にも憧れと興味を持ち続けていた。本が好きで手には取るのだが、神経の過敏さゆえ集中して読み続けることができない。すぐに本を読むのをやめて、紙を前に書き始めてしまう。現在編集者をしているという本好きな弟が本の世界に没頭する様子を、すごいなあと思いながら見ていた。 本棚は熊本にある〈長崎次郎書店〉のものを譲り
お笑い芸人、ヒコロヒーの連載エッセイ第48回。「今月のヒコロヒー」も要チェック! 前回の「その人らしさは、本物でなければならない。」も読む。 あなたになら話したい。 仕事の合間に少し空き時間ができたため、銀座にボールペンを買いに行った。涼しい秋晴れの真昼間で、こんな時間に外を自由に出歩くなんてすごく久しぶりのことで、街をのんびりと歩けることが嬉しくて少し泣きそうにさえなっていた。 自分のことはあまり人に話したくない。生活の忙しさを語ろうとしてもそれは私が「売れている」ことを語ることと同義になりかねず、仕事のことを語ろうともそれは私が「テレビや芸能界」を語ることと同義になりかねない。それってなんだか、アレな感じがしてしまう。 交友関係のことを語りたくともそれは私が「人脈」を語ることと同義になりかねず、好きなウイスキーの銘柄を語ることさえ私の「経済事情」を語ることと同義になりかねない気がしてし
著書『AMETORA 日本がアメリカンスタイルを救った物語』をはじめ、歴史から若者文化を考察する書き手であるデーヴィッド・マークスさん。その文章は膨大な参考文献から情報を拾い集め、それらをつなぎ、新しい解釈をもたらす。そんな彼の本棚と整理術は、情報を集めて要約するという執筆哲学を表している。 “書く”ために効率化された本棚と、稀少な古雑誌と古書たち デーヴィッドさんの自宅は井の頭公園程近くの、閑静な住宅街にある。土地探しからすべてお願いしたのが建築家の手嶋保さん。リビングと書斎にある本棚は、木工職人が手がけたオーダーメイドだ。 「細かい注文はしていませんが、古い雑誌や大型本が多いのでそれらが入るように、ということだけは伝えました。リビングの本棚の中にはエアコンが入るようにしていたり、もともとはアンプもこの中に収納しようとしていたりと、空間をすっきりと見せるために家電を隠す狙いもある。書斎の
朝井リョウの新作『イン・ザ・メガチャーチ』が完成。オタクとファンダムと小説の力を社会学者・田中東子と語り合う 『イン・ザ・メガチャーチ』の副読本!と朝井リョウさんが太鼓判を押す『オタク文化とフェミニズム』。その著者である社会学者の田中東子さんとの対談が実現した。
まさしくこの時代のアイコンである2人だが、かたや、マリアンヌ・フェイスフルは、1946年ロンドン生まれのイギリス人で、1964年に「涙あふれて」でデビューした歌手。かたや、アニタ・パレンバーグは、1944年にローマで生まれたドイツ系のイタリア人で、60年代の前半、ニューヨークでアンディ・ウォーホルらと親交を深めたあと、ヨーロッパに戻りモデルとして活躍していた。 このように出自の異なる2人が出会うきっかけとなったのが、ローリング・ストーンズだ。 実は、マリアンヌのデビュー曲「涙あふれて」は、ミック・ジャガーとキース・リチャーズの書き下ろし曲で、彼女はストーンズのファミリーと言ってもいい存在。そんな近しい間柄だったこともあり、マリアンヌは1965年に他の男性と結婚していたものの、その翌年ミック・ジャガーと恋に落ち、彼のもとに走る。 「涙あふれて」マリアンヌ・フェイスフル 一方、アニタは、ストー
カズオ・イシグロは映画の感想を聞かれると、満足げに答えた。「本当に興奮しました」。そしてこう続けた。「同時に、奇妙な感覚を抱きました」 ある日本人女性のひと夏の記憶を辿る、彼の初長編小説が映画化 彼がインタビューに応じたのは今年5月、第78回カンヌ国際映画祭の会期中のこと。1982年に発表した初の長編小説『遠い山なみの光』が石川慶監督の手で映画化され、「ある視点」部門に出品されたのだ。 「奇妙な感覚を抱いたのは、映画が私の小説に近かっただけではなく、私の子供の頃の記憶に近かったからです。監督の慶さんは優れた仕事ぶりで、過去を見事に再現していた。とても美しい映画だと思いました」 1954年に長崎で生まれ、5歳で渡英した彼は、幼少期を過ごした50年代の長崎をデビュー作の主な舞台にした。映画は幼い日の街の記憶を鮮やかに再現しているというのだ。 一般的に言って、長編小説を2時間前後の映画にするのは
古着屋さんで見つけた〈Columbia〉のショルダーバッグ 古着屋さんで見つけた〈Columbia〉のショルダーバッグ。ミリタリー調の落ち着いたカラーに、ほんのりストリート感のあるデザインがツボでした。ガバッと開いて荷物の出し入れもしやすく、気取らず使えるラフさも魅力。 通勤や休日のアクティビティなど、気づけばいつもこれを手に取っています。普段から古着屋さんで〈Columbia〉のアイテムには目を光らせて、良いアイテムがあれば買うようにしています。 〈BLUE LUG〉マイクロウォレット サイクルショップ〈BLUE LUG〉のマイクロウォレット。この小さいサイズでカード、お札、コインまでしっかり収納。海外の友人がミニマルな財布を持っていたのに憧れて、使い始めました。 日常から旅先まで、シーンによって財布を使い分ける必要がなくなり、アウトドアでもそのまま持っていけるのがうれしいポイントです。
世に出た本を広く紹介する書評家・石井千湖さん。本の世界を支える人の本棚はどう選ばれ、どんな生態を持ち、そこには何が並んでいるのだろうか。 整頓し、循環を促して本棚を育てる 幅600×奥行き170mm。天井や梁(はり)に固定できる「カシマカスタム」の白を5台と、その横に色を合わせた本棚がもう1台。 「フランス文学者の鹿島茂さんがプロデュースした本棚を愛用しています」と語る石井千湖さんの自宅兼仕事場。リビングの壁一面を覆うのは、「本好きのための書棚の最終進化形」の異名を持つ「カシマカスタム」だ。単行本、文庫、文学全集などが隙間なく並び、すべての背表紙がこちらを向いている。 壁一面を埋める本、本、本。自著や解説を担当した本など一部は面を出して陳列している。 「これに出会う前は、奥行きのある棚に前後2列で本を入れていました。でも背表紙が見えないと、持っているはずの本が見つからない。結果同じものを買
今年還暦を記念し、アルバム『AH!!』を発表したTOWA TEI。今秋から配信予定の『スター・ウォーズ ビジョンズ3 四枚羽の詩』へ楽曲を提供するなど、活動の幅を広げている。今回は「テイさんの大ファン」を公言する岡村靖幸との初の対談が実現。テーブルにつくなり愛情溢れる質問が止まらない、岡村さんです。 photo: Kazufumi Shimoyashiki / styling: [Okamura] Yoshiyuki Shimazu / hair & make: [Okamura] Harumi Masuda, [TEI] Yuko Umezawa / text: Katsumi Watanabe デビュー当時から気にかけ、15年後に念願の邂逅 岡村靖幸(以下、岡村):90年代からファンで、CDを聴き、DJをされているパーティにもうかがっていました。それから一時期は、同じ事務所(吉本興業)
東京という街とそこに息づくもの、こと、場所を愛してやまない人たちがいる。飲食をはじめカルチャーやエンタメ、さらに建築や公共物に都市の風景まで、マニアが極私的に案内する東京偏愛スポット。 エスカレーターに乗って味わう未来都市 子供の頃、漫画やアニメに描かれる「未来の都市」の風景に心を躍らせていた。新しい乗り物が空を走り回ったり、チューブを通って人がびゅんびゅん移動したり、とりわけ「宙を駆け回る」描写に私は憧れていたように思う。 大学の頃に東京に出てきて興奮したのは、そんな「未来の都市」の片鱗が、街の中に「もう存在している」ことだった。例えば、地下鉄の押上駅を降りると、目の前には空中を交差して走る〈東京ソラマチ®〉のエスカレーターが現れる。〈LIVIN OZ 大泉店〉のチューブエスカレーターは、夜には怪しく光り秘密結社のよう。大江戸線は地下深くを走ることで有名だが、飯田橋駅のエスカレーターは、
左から、松田文登、小山田圭吾、松田崇弥。 ヘラルボニーから、小山田圭吾への手紙 松田崇弥(以下、崇弥):「ROUTINE RECORDS」の発端にあるのは、知的障害がある人が「常同行動」によって出す音を“音楽”として昇華できたら、障害のイメージや価値観を軽やかに変えられる可能性があるのではないかということ。例えば、兄の場合は「さんね」という言葉が好きで連呼したり、机を叩き続けたりする。やりたくてやっていて僕らにとっては日常的な音も、知らないだけで他人には受け入れ難い、怖いものになってしまうんですよね。 松田文登(以下、文登):それでバスや電車に乗れなかったり、百貨店やレストランに行けなかったりする人たちをたくさん見てきました。だから、彼らの音を社会に放つことで、今までの“普通”の枠組みを拡張させていくことができたらと考えたのが原点です。 松田文登/大手建設会社で東日本大震災の被災地再建に従
あまたの音楽機材に触れてきた坂本龍一が、自分のスタジオのために選び抜いたものとは?機材から読み解く坂本サウンドの秘密。 かつて、音楽の録音はレコーディングスタジオという特別な空間でしか行うことができなかった。それが前世紀の終わり頃からPCを使ったレコーディングシステムが発達し、自宅でも作業が行えるように。坂本龍一も早い時期からNYの自宅にヴィンテージシンセや最新機器を揃えた部屋を整備し、革新的なサウンドを作り続けた。 2021年、癌の治療のため東京での仮住まいを余儀なくされた坂本は、そこでも制作が行えるよう厳選した機材をセットアップ。「AVID PRO TOOLS」というレコーディングシステムを核とし、愛用のシンセである「Prophet」や「EMS」、アップライトピアノ、さらには風鈴やシンギングボウルなどの音具も用意した。 窓から入る風で鳴る風鈴、天候次第で聞こえる雨音……自然に鳴る音にも
古川未鈴(元〈でんぱ組.inc〉) でんぱ組.incは 平成を終わらせに来ました! 2025年1月4日、幕張イベントホールにて開催されたラストライブ『でんぱ組.inc THE ENDING~宇宙を救うのはきっと、でんぱ組.inc!~』1日目にて。 ふるかわ・みりん/香川県生まれ。2008年、〈秋葉原ディアステージ〉から誕生した〈でんぱ組.inc〉のオリジナルメンバーとして16年活動。 選んだ人:福嶋麻衣子 能動的な言葉選びに表れる百戦錬磨のアイドルとしての誇り 平成から令和にかけて活動してきた〈でんぱ組.inc〉。結成当時は「アイドル戦国時代」なんて言われて、ライブアイドルたちがステージで命を削っていましたが、昨今はそんな暑苦しさもなく、SNSで夢が叶えられる時代へ。 新旧の世代交代が目まぐるしく「〈でんぱ組.inc〉の終わりが平成アイドルの終わりかも」と各所から言われていた中での言葉でし
地動説の証明に命を懸ける者たちの闘いを、あるいは陰謀論にのめり込んでいく青年の恋路を。漫画家の魚豊さんが活写する物語は、新鮮な切り口でいつも人間の本質を突いてくる。その創作活動の下地にあるのは、豊かな読書体験だ。新生活を始めるとともに新調したという、彼の本棚を訪ねた。 “適当に読むこと”から、多くを得る 「ここ数年、家にこもって漫画を描く代わり映えのしない日々が続いているので、環境を変えようと、複数人で使えるシェアハウスのような仕事場を借りようと思い立ちました。善は急げということで1週間で物件を決めて。今は、編集者の友人と学生時代の同級生の2人にもよく使ってもらっています」 数ヵ月ほど前に、新たな仕事の拠点を構えた魚豊さん。入居すると間もなく、リビングの一角にライトグレーの棚を据え、空間と同様に、本棚も友人たちとシェアすることとなった。 「出入りする友人たちも読書好きなので、なんとなくお互
ちゅ・ひちょる/1985年大阪府生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。大阪大学社会技術共創研究センター招へい准教授。専門はプラグマティズム言語哲学とその思想史。著書に『人類の会話のための哲学』『〈公正〉を乗りこなす』『バザールとクラブ』『100分de名著 ローティ「偶然性・アイロニー・連帯」』などがある。 「距離感が近い」。こども心に感じた大阪のイメージ 1985年9月に大阪で生まれた。 大阪の酒場で年配の方にそう言うと、ピンとくる人はピンとくる。「おぉ、あの年なぁ」と。つまり、その年は阪神タイガースが(その後2023年まで、38年ものあいだ待つことになる)日本一に輝いたシーズンなのだ。 阪神のリーグ優勝は10月16日、その後11月2日に日本シリーズ制覇。だから、生まれて数ヶ月の頃に撮られた写真のわたしは、いつもタイガース優勝記念グッズのバスタオルにくるまれている
近年の魅力的なブックデザインを持つ本を挙げてくれたのは、書肆侃侃房(しょしかんかんぼう)の藤枝大さん。編集者として本を作り、本屋〈本のあるところ ajiro〉の設立・運営に携わっている。つまり、作り手・売り手の視点からセレクトされた本たちだ。はじめに編集者の立場から、ブックデザインの肝を語ってもらった。 先日『メアリ・シェリー』という本を読んだんです。『フランケンシュタイン』を書いた作家の伝記ですね。本書にあるメアリ・シェリーの言葉に、ブックデザインに通じる金言を見つけました。いわく「彼女の魂の偉大さを思うと、(中略)その魂から極力退化しないようにしなければならないという気持ちを新たにします」。 “彼女”とは、シェリーの母でフェミニズムの先駆者と呼ばれるメアリ・ウルストンクラフト。シェリーを生んですぐに亡くなるのですが、著書を含め多くの本を残しました。その母の思想から「極力退化しないように
ゼロ年代の様々なカルチャーを、現在シーンの一線で活躍する案内人による解説(歴史編)と、当時を知る証言者との対談(対談編)の交互で読み解いていく連載。今回は脚本家・野木亜紀子が案内する「テレビドラマ」歴史編。 「当時、休日にはD-VHS【A】に録画したドラマをずっと観て過ごしてましたね」という、脚本家・野木亜紀子さん。その膨大な視聴記憶を基にゼロ年代を振り返る。 トレンディ全盛からクドカンの時代に。新しい風が吹き、現代に通じる粒揃いのドラマが生まれた 端的に言えば、クドカンこと宮藤官九郎【B】さんの時代でしょう。『池袋ウエストゲートパーク(IWGP)』『木更津キャッツアイ』『タイガー&ドラゴン』……そして『流星の絆』に至るまで、多作かつ面白い作品しかありません。個人的には『マンハッタンラブストーリー』が大好きです。
フランスの映画監督フランソワ・オゾンの新作『秋が来るとき』が公開される。オゾンらしい極上のミステリーにもなっている今作について、監督本人に話を聞いた。 日本でも人気の高いフランスの映画監督フランソワ・オゾンの新作『秋が来るとき』が公開される。美しい自然の残るブルゴーニュ地方で一人暮らしをしている、人生の黄昏時を迎えた80歳の女性ミシェル(エレーヌ・バンサン)を取り巻く人物たちをめぐるドラマであり、オゾンらしい極上のミステリーにもなっている。そこで、オゾン本人にこの作品について話を聞いた。 前作に引き続き描いたシスターフッド この映画の見どころの一つに、ミシェルと、同じ村に暮らす昔の仕事仲間のマリー=クロード(ジョジアーヌ・バラスコ)の友情があるが、そうした女性たちのシスターフッドを描いているという点では、タッチはだいぶ異なれど、殺人事件の容疑を晴らすために協働する二人の若い女性を描いたオゾ
ひとたびそこに飛び込めば、世界の見方が変わり新たな心が呼び覚まされる。サイエンスフィクションという物語には、私たちの人生や価値観を変える力があります。自身の新たな感覚が“目覚める”お気に入りのSF作品について、ミュージシャンの橋本絵莉子さんに語ってもらいました。 本当に現実に起こりそう、そう思えてしまう飛躍の物語 SF小説と呼ばれる作品に初めて触れたのは、実は2020年くらい。話題の『三体』を読んで、こんなに面白い小説があるんだ!と驚いたんです。子供の頃から宇宙にはなんとなく興味があって。『宇宙を織りなすもの』という物理学の本を読んだときに、時間と空間の正体やまだ証明されていないことの多さに引き込まれました。 光が1年かかって到達する距離は「1光年」と言ったりしますが、そもそも光が時間や距離の単位になっているのがすごいなって。光の速度は一定だけど、それ以外に宇宙には謎がたくさんある。そのわ
UAE(アラブ首長国連邦)の首都アブダビで開かれた第19回「シェイク・ザイード・ブック・アワード」において、日本人初となる「最優秀文化人賞」に村上春樹氏が選ばれた。現地アブダビで2025年4月に開催された授賞式の模様と、その受賞の言葉を紹介しよう。 UAE(=アラブ首長国連邦)のアブダビでは毎年、アラブ文学や文化の発展に寄与した人物や団体を選び、「シェイク・ザイード・ブック・アワード」を授与している。世界各国のさまざまな作家や批評家、翻訳者、研究者、出版関連者を表彰することで世界的に認知されているアワードの一つであり、2025年はその第19回となる。文学、翻訳、批評、編集など8つの部門からなる同賞でも、年度を象徴する1名として今回の「最優秀文化人賞」に選ばれたのが、村上春樹氏だ。 村上氏の世界的な知名度は言うまでもないが、作品はアラブ文化圏でも広く読まれており、「国際的かつ現代的な視点で書
雑誌「BRUTUS」がこれまでに掲載してきた厳選スポットが地図上で検索できる、マップアプリが誕生!バックナンバーから最新号、さらにはこれから始まる連載まで、編集部が取材したスポット情報が、あなたの手のひらに。 map+magazine=mapzine。ありそうでなかったマップアプリ! 世の中にレストランを検索する方法は数あれど、軒数が多すぎてどこに行けばいいのか迷う。一方で、雑誌を読んで気になるお店があったけど、いつの間にか忘れてしまった、みたいなことも。 ブルータスが新たにスタートする「mapzine」は、その名の通り、マップが連動したアプリメディア。ただの検索サービスではありません。マップの使い勝手と記事コンテンツの読みやすさとをスムーズなUI/UXで両立させたシステムエンジンの企画開発を行った〈whitemap〉社とタッグを組み、ブルータスが責任を持って取材したスポットだけが記事とと
はつらつとしながら儚(はかな)い声と、たくましさと繊細さが同居した体で、観る者の目を引きつける俳優・伊藤万理華。映画やドラマで存在感を放つ彼女は、演劇でもスペシャルな魅力を見せる。この初夏、彼女が主演するのはSFコメディ演劇『リプリー、あいにくの宇宙ね』。稽古の合間を縫って雨空の下、撮影に応じてくれた、伊藤万理華の今を聞く。 舞台では初タッグとなる作・演出のヨーロッパ企画・上田誠は、脚本について「いつわりなく、全ページ伝説にする気持ちで書きました」と語る。本作はあらゆるSF作品をサンプリングした、宇宙船が舞台の喜劇。類い稀な表現力でクリエイターたちの創作意欲を搔(か)き立ててきた伊藤が、伝説を創るパートナーに抜擢された。 「子供の頃から映画好きの家族と『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『サンダーバード』を観て育ってきたので、SF作品は好きです。上田さんとはSFラブコメドラマ『時をかけるな
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