米国の原子力エネルギー開発における極めて重要なマイルストーンが達成された。アイダホ国立研究所(INL:Idaho National Laboratory)の研究チームは、世界で初めてとなる「高速スペクトル溶融塩炉(Fast-Spectrum Molten Salt Reactor)」向けの商用規模での濃縮燃料塩の製造に成功したと発表した。 この成果は、半世紀以上にわたる固形燃料ベースの原子力技術からの脱却を示唆し、気候変動対策の切り札となる次世代エネルギー、さらには世界の海運物流を根底から覆す可能性を秘めた「液体燃料炉」の実用化に向けた決定的な一歩となるものだ。 本稿では、INLが達成した技術的ブレイクスルーの詳細、そこで用いられた革新的な化学合成プロセス、そしてこの技術の中核となる「MCRE(Molten Chloride Reactor Experiment)」が科学と産業にもたらすイ

