洲への移転を翌週に控えてどこか落ち着かない、そして一抹のやるせなさもただよう築地・東京都中央卸売市場。そこに、「すきやばし次郎」の小野二郎さんが現れた。世界最高齢の鮨職人は、御年93歳。聞けば、長男の禎一さんと共に市場に来たのは2017年の元旦以来だという。「あのときは、移転前最後の挨拶のつもりだったんですよ」。その後、事態が二転三転したのは、ご存じの通り。 訪れたのは、20年来の取引があるまぐろ(註)専門の仲卸「フジタ水産」。代表取締役の藤田浩毅さんは、二郎さんと禎一さんが全幅の信頼を置く目利きだ。「藤田さんは鮨のプロフェッショナルとしてうちが求めるまぐろをしっかり用意してくれる職人です。信頼関係があるから安心して頼めるんです」。 この日は「すきやばし次郎」同様に日本を代表するフレンチレストラン「カンテサンス」のシェフ、岸田周三さんも顔をそろえた。自身の店でまぐろを扱うことはないが、日本

