「学校」という制度が私たちに刻み込んできたものとは何か。大人になった今、私たちの社会とのかかわり方や、自分自身のあり方、そして子どもとの関係にまで、それが無意識のうちにどのような影響を及ぼしているのか。 本稿は、その否定性の痕跡を一つひとつ浮かび上がらせ、剥がし取っていこうとする試みです。 映画『小学校 〜それは小さな社会〜』(山崎エマ監督/2024年)は、東京都世田谷区のごく普通の公立小学校の日常を一年かけて追った記録である。入学式の春から卒業までの時間が、解説や解釈をはさまれることなく淡々と映し出される。 大きな声で元気に返事をする1年生、号令とともに一斉に動く身体、給食や掃除の係を率先してこなす姿、揃えるべき靴の角度をミリ単位でチェックし、記録する児童たち──。それらはありふれた日本の学校の日常ではあるが、私たち大人が思っているよりずっと濃密に、規律や規範といった「望ましさ」の回路が