〈敵意も、利己的な目標もなく戦い、自らのためには何も求めません〉。1917年4月の米連邦議会、その後1世紀にわたって踏襲される調子で、ウィルソン大統領は第一次世界大戦参戦への理解を求めた。 輝かしい大義とは裏腹に、国内では権力者が移民への敵意を煽り、出版物を検閲し、兵役を拒む人びとを虐待した。多くの民間人も暴力の潮流に積極的に掉さし、黒人(ブラック)がリンチされ、司法省の補助部隊として非愛国者を取り締まる自警団的組織(APL)も現れた。 戦場の砲声は1918年11月に止んだ。だが、国内の暴力と抑圧は収まらなかった。民主党の候補者として大統領選出馬を目論む司法長官パーマーは苛烈な弾圧を行なった。後にFBI長官として暗躍することになるフーヴァーも、このとき出世の糸口を摑んだ。共和党からの出馬を目指す有力者ウッド将軍は、指揮下の兵士を駆使して共産主義者を「S・O・S――送り返すか撃ち殺す(シップ