東京の空の勢力図が変わろうとしている。都市生態系の頂点であるカラスにタカなどの猛禽類が挑戦状を突き付けたのだ。彼らはなぜ東京に来たのか。鳥たちが繰り広げる熱い「空中ドラマ」に迫る。
カラス独裁の揺らぎ
今、東京の空に異変が起きている。といっても、この異常な暑さのことではない。鳥である。一度、空を見上げてみてほしい。その変化に気付くかもしれない。
「これまで東京都上空の覇権を握っていたのは、カラスでした。しかし、個体数の減少に伴い、オオタカやハヤブサなどの猛禽類が東京都心に進出し、熾烈な勢力争いを始めているのです。両者の戦いにスズメやツバメなどの小鳥も巻き込まれ、東京の空はさながら、生態系の頂点をかけた仁義なき戦いのような状態になっています」
そう語るのは、NPO法人自然観察大学学長で、『都会の鳥の生態学-カラス、ツバメ、スズメ、水鳥、猛禽の栄枯盛衰』の著書がある唐沢孝一氏である。長年にわたり、都会に生きる鳥の研究や観察を行ってきた「都市鳥」の権威だ。
その主役の一方がカラス。
一口にカラスと言っても、東京で見かけるものには主に2種類いる。一つが「ハシブトガラス」。嘴が太くて力が強く、カーカーと鳴くのが特徴だ。銀座や新宿など山手線内の都心で見かけるカラスの99%を占める。雑食性で、生ゴミを漁るため害鳥とされている。
山手線沿線の外側から千葉県や埼玉県へ行くにつれて増えていくのが、「ハシボソガラス」だ。嘴が細く小さく、「ハシブトガラス」と同様になんでも食べる。遮蔽物の少ない平地を好み、「ガーガー」と鳴く。