同じ“ドライバーの仕事”でも、なぜか“年収200万円の差”が…「搾取される人の共通点」を現役タクシー運転手が暴露
「歩合で稼げる」「荷物を運べば運ぶほど儲かる」「月収40万円以上可能」「年収600万円も狙える」「未経験歓迎、年齢不問、普通免許でOK」
転職サイトや求人広告を眺めていると、タクシードライバーと宅配便ドライバーの条件面には、どこもかしこも甘い言葉が踊っている。文字面だけを追えば、これほど参入障壁が低く、夢のある仕事はなかなかない。
しかし、その両方を経験した筆者から言わせると疑問符が付く。同じ「運転して稼ぐ仕事」でも、人によって収入にばらつきが出るからだ。そして、その差を生むのは、根性や努力やセンスもあるが、それはほんの一部。重要なのは、「会社」と「配属」と「契約条件」の3要素だ。
さらに言えば、この業界には「稼ごうとすればするほど体が削れ、同時に事故リスクも高まる」というジレンマがある。体力勝負と売り上げと事故率は、現場ではほぼ比例関係といっても良い。
タクシーも宅配も、基本構造は単純だ。走る距離、配達個数が増え稼働時間が伸びれば売り上げは増える。だが同時に、疲労が蓄積し、集中力と判断力が確実に落ちていく。これは精神論ではなく、生理現象だ。
タクシーでは、深夜帯や雨天時、週末の繁華街が「稼げる時間帯」とされる。だがそこは同時に、酔客にくわえ、無理な乗車や理不尽な要求が増える。さらには飛び出しや急な進路変更が多発し、リスクも跳ね上がる時間帯でもある。
宅配でも同じだ。繁忙期になると、朝から晩まで時間指定が詰まる。エレベーター待ち、再配達、クレーム対応、渋滞、路上駐車の判断など、気が休まらない時が連続する。
焦りと疲労が重なり、ヒヤリとする瞬間は確実に増える。つまり、体力を削って売上を積み上げるほど、事故のリスクも一緒に積み上がっていくのだ。
タクシーで稼げるかどうかは、営業センスよりも雇い主の条件だ。一番大事な要素は、歩率だ。タクシー会社の多くは、歩合給だ。その歩合率は、会社によってまちまちであり、同じ売上をしても歩率によって、給料は変わる。
今やGOやUberなどの配車アプリの存在は大きい。その会社がどこの配車アプリと提携しているかも会社選びのポイントだ。配車アプリが弱い会社では、ひたすら街を流すしかない。客は拾えず、ガソリンだけが減り、時間だけが過ぎていく。深夜まで走っても売上は伸びず、体力だけが削られる。一方で、配車の強い会社では、座っているだけで仕事が入る時間帯すらある。同じエリアを走っていても、会社が違うだけで年収が200万円以上変わるのだ。
タクシーでは「売上の○%が給料」と言われるが、実際はノルマ未達だと歩合が下がる会社もある。また、求人募集で歩率64%と高い数字が明記されていることがあるが、この言葉に躍らせられてはならない。この64%という数字は、ある基準の売上に達しないともらえない。つまり、「最高」という言葉が隠れている。売上が良ければパーセンテージが上がり、悪ければ下がるという構造だ。
このようにタクシーで稼ぐためには、会社選びが大事である。それでも、稼げている人ほど長時間働き、危険度の高い時間帯に集中しているという事実は変わらない。

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売上増と事故リスクの危険な相関
入った会社によって“年収200万の差”が生じる
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物流ライター。ライター業の傍らタクシードライバーとして東京23区内を走り回り、さまざまな人との出会いの中から、世の中の動向や世間のつぶやきなど情報収集し発信する。また、最大手宅配会社に長年宅配ドライバーとして勤務した経験とネットワークを活かし、大手経済誌のWEB版などで宅配関連の記事も執筆する。タクシー・宅配業界の現場視点から、「物」・「人」・「運ぶ」・「届ける」をそれぞれハード(荷物・人)だけではなく、ソフト(心と気持ち)の面を中心に記事を執筆中。ブログ「吾は巷のインタビュアー!」
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