衆議院選挙の争点のひとつとして浮上した『外国人政策』。高市政権が規制強化を訴えるなか、福岡に暮らす外国人の思いを取材した。
外国人からはすごい数の電話が…
福岡市博多区の人気ラーメン店『元祖ラーメン長浜家』。

店によると従業員はアルバイトを含め16人で、そのうち半数の8人が日本語学校などに通う外国人だ。そのうち7人がネパール人で、1人がベトナム人だという。

国内の在留外国人の数は、新型コロナの期間を除き、増加の一途を辿っていて、2025年は395万人余りに達した。

日本で暮らす外国人は、貴重な労働力にもなっていて、特に人手不足が深刻な介護や農業の分野などでは、外国人に頼らざるを得ない実情もある。

この状況は飲食業界でも同様だ。『元祖ラーメン長浜屋』の手島敬詞社長は「(アルバイト募集で)日本人も来るんでしょうけど、まぁ1週間に1回、電話がかかってくる程度。対して、もう外国人は1日で、すごい数の子が電話をかけてくる。やっぱり、人が来なかったところに来てくれるわけで、助かる人たちは助かる」と外国人の力は大きいと話す。

紅生姜を肉と勘違いして…
「はいこれ、追加のベタ玉(油多めの緬)」と手際良く作業をこなすネパール人のゴレ・プラディップさん(39歳)。店で唯一の外国人正社員だ。
「日本は自分の国より発展している国なので、ちょっと1回、行ってみたいなと思ったんですね。一番は留学生として日本に来るのが、ビザ取りやすいというか」と話すゴレさんは、母国のネパールと同じく仏教の寺院が多い日本に親しみを感じ、今から13年前、26歳の時に来日。

当時、福岡市内にある日本語学校に通いながら、このラーメン店で4年間、アルバイトとして働いていた。

「紅生姜とか全然、知らんかったし。これ、お肉かなと思ったんですよ、最初。で、ちょっと入れちゃって、食べたら、えっ、これ、違う!と思ったんですよ」と当時を振り返るゴレさん。

日本語学校を卒業後は、福岡県内の大学に進み、就労ビザを取得して朝倉市のビジネスホテルに就職。主にフロントで外国人観光客の対応を担った。

ゴレさんは当初、数年で帰国するつもりだったが、日本で結婚し、長女が誕生したことで、このまま日本で暮らしたいと考えるようになり、永住権を取得。

そのことを知ったラーメン店の社長から声がかかり、2025年から、かつてのアルバイト先に正社員として戻ったのだ。
「親からも『自分の人生だから自分で決めなさい』という話になった。社長から『また戻って来て下さい』と言われた時は本当、嬉しかった」。

1200件を超える苦情の電話やメール
2025年7月の参院選で俄に争点となった『外国人政策』。オーバーツーリズムの問題のほか、外国人労働者の受け入れや不動産投資への規制を強化すべきとの意見が噴出した。

そうしたなか、朝倉市で浮上した主に中国人を対象とした、いわゆる“外国人向け”マンションの建設計画を巡り住民たちが反発。

市には、全国から1200件を超える苦情の電話やメールなどが相次いだ。

朝倉市人事秘書課課長の古賀勝さんによると「多いのは、移民政策反対。中国人が2万人来るがいいのかという電話が多い」という。

その後、市はマンション計画について白紙撤回される見通しになったことを明らかにしている。

こうした動きに対して「この前の選挙のちょっと前ぐらいから、外国人ヘイトみたいなネット情報が結構、上がってきている。『外国人出て行けとか』みたいな、ああいうデモとか見ると、もっとなんか心配になっていく」とゴレさんの表情も曇る。

「秩序ある共生社会」を目指すとしているが…
政府は1月23日に新たな外国人政策の基本方針を決定した。永住権の審査や日本国籍取得の要件に加え、土地の取得ルールも厳しくするほか、強制退去となる犯罪の対象を拡大するなど「秩序ある共生社会」を目指すとしている。
“自国ファースト”の波が世界で広がりを見せるなか、日本でも進む外国人への規制強化。

「いきなり、なんかこういう何でも厳しくなっていくと、ちょっと『ん?』とはなるんですよね。外国人のなかでも真面目に働いている人はたくさんいるからですね。それは、一般の日本人の方にもちょっと分かってほしいなと思う」とゴレさんは話していた。
(テレビ西日本)
