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斜面に鳥の群れのようにとまっている家々
大江 健三郎 / 芽むしり仔撃ち amazon関連カテ町並み・集落
家々がくすんだ色でごちゃごちゃと建つ
関連カテ町並み・集落
暑さによどみ、がっくり肩を落とした木造の家並み
安部 公房 / 第四間氷期 amazon関連カテ町並み・集落
岩山の麓に寄り合うようにして固まっている数軒の家
関連カテ町並み・集落
たち並ぶ家々の軒並がくっきり影絵のように浮かび上がる
どの家の庭木も大きく育ち、緑を茂らせている
関連カテ町並み・集落
童話に出てくる都市のような美しい町
遠藤 周作 / 何でもない話 amazon関連カテ町並み・集落
ダウンタウンを外れて港に近づくと、貿易会社の倉庫やオフィスが増えてくる。街並みも何処となくガランとして無愛想になる。
関連カテ町並み・集落
(古い町並み)昔のままの通りを歩くと、生まれる前の過去に入って行くよう
区画整理された宅地に、新築の二階建てがポツンと建っている。交通の便が余りよくないからか、まだ買い手がつかず、売り地という立札があちこちに見受けられる。
関連カテ町並み・集落
丘の蔭に押しひしがれたようにかたまっている、小屋のような貧しい人家
暗い谷間の樹木のように、黒くおたがいに閉ざしあって群がっている小さな集落
大江 健三郎 / 芽むしり仔撃ち amazon関連カテ町並み・集落
(古い町並みの所々に新しい店や建設中のビルがいくつか見られて、)まるで子供の歯がはえかわる時のように、街並みには一時的な奇妙な共存が見受けられた。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon関連カテ町並み・集落
草汁を撒きかけたように、斑な緑が町並のところどころを染めて涼しかった。
岡本 かの子 / 落城後の女「岡本かの子全集〈4〉 (ちくま文庫)」に収録 amazon関連カテ青葉・葉っぱ町並み・集落
高級住宅街というのは夜になっても偉そうだ
......の野次馬なんだから」鳥井が言い、僕たちも、そうかもしれない、と半ば納得してしまった。確かに面白そうだ、と思ってしまったことは否定しない。それが間違いだった。7「高級住宅街というのは夜になっても偉そうだ」と僕の隣の西嶋が口を尖らせた。「何かこう、街路灯の灯りも豪華じゃないですか。道路もタイル敷きですよ」 すっかり夜になっていたが、僕たちの背後、数メートル離れた......
両側の家並みは、灯火管制のせいもあってシーンとした闇の中に黒い獣が折り重って眠っているようだ。
歳月と炊事の煙のために古いフランドル派の絵のようなくすんでおちついた色合いを示している街並み
林 房雄 / 青年 (1964年) amazon関連カテ町並み・集落
両側の萩の江向(えむかい)の町の古ぼけた軒並みを、重い囚衣のように感じながら。
林 房雄 / 青年 (1964年) amazon関連カテ町並み・集落
雨に曝(さら)されたボール箱のように、ボソボソした長屋の群
徳永 直 / 太陽のない街 amazon関連カテ町並み・集落
海岸からすぐ高い崖のようになった急な傾斜面の凹(くぼ)みに、周囲を木立に包まれた百戸足らずの家が、まるで小石を摑(つか)んで置いたようにかたまっていた。
加能 作次郎 / 世の中へ amazon関連カテ町並み・集落
バブルの頃に勢いよく開発された住宅区域だろう。今となっては、街もすっかり活気を失っていたが、それでも新築マンションが建つ気配が依然としてある。誰かが意地を張っているとしか思えない。
......だった。マンションの通路で住人とすれ違っても、堂々と挨拶すればさほど怪しまれない。 辺りは殺風景だった。整備された道路が網の目に走り、人工的に植樹されている。 バブルの頃に勢いよく開発された住宅区域だろう。今となっては、街もすっかり活気を失っていたが、それでも新築マンションが建つ気配が依然としてある。誰かが意地を張っているとしか思えない。 左手に小さな公園があった。柵を跨ぐ。離れたところで主婦たちの笑い声と子供の呼び声がする。ベンチに座り、バッグを脇に置いた。 目の前を若い男が通り過ぎた。気まず......
伊坂 幸太郎 / ラッシュライフ amazon関連カテ町並み・集落
東京の風景は、なんだか乱杭歯の口を思わせる、見たことのないものに変貌していた。 例の、疎開政策のせいなのだろう、家があったはずの場所が、ぶっきらぼうな更地になっているのだった。中には空襲で壊された家もあったかもしれないが、多くは空襲対策で倒壊させられたものだった。
......ものでも、腹にたまるものでもなかった。 東京に出ることは、葉書で奥様にお知らせしてあったから、その後、省線と私鉄を乗り継いで平井家に向かったのだが、車窓から見る東京の風景は、なんだか乱杭歯の口を思わせる、見たことのないものに変貌していた。 例の、疎開政策のせいなのだろう、家があったはずの場所が、ぶっきらぼうな更地になっているのだった。中には空襲で壊された家もあったかもしれないが、多くは空襲対策で倒壊させられたものだった。やられていないうちに壊さなくたっていいじゃないかと、そんな気がしないでもなかった。 新宿を出て、畑や防風林のある郊外の風景が見えてくると、ようやく落ち着いて深呼......
(沿線に街ができる)「町」が、まるで鉄道の結びコブのように出来る。
......カ映画で、「西部開発史」を取扱ったものだった。――野蛮人の襲撃をうけたり、自然の暴虐に打ち壊されては、又立ち上り、一間々々と鉄道をのばして行く。途中に、一夜作りの「町」が、まるで鉄道の結びコブのように出来る。そして鉄道が進む、その先きへ、先きへと町が出来て行った。――其処から起る色々な苦難が、一工夫と会社の重役の娘との「恋物語」ともつれ合って、表へ出たり、裏になった......
小林多喜二 / 蟹工船 青空文庫関連カテ町並み・集落
谷間のような所にかたまった集落
......鎌倉駅に着くと、三原は江の島行の電車にのりかえた。小学生の修学旅行で、車内は燕の群がさえずるようであった。 極楽寺の停留所で彼は降りた。番地は確かめていないが、谷間のような所にかたまった集落だから、じっさいにそんな家があれば、すぐわかるのである。 三原は、そこの駐在所にはいって、若い巡査に身分を言った。安田という家が区域内にあるかどうかをきいた。「......
松本 清張「点と線 (新潮文庫)」に収録 amazon関連カテ町並み・集落
(両岸に)建物が塀のように立ち並んでいる
......ピーディーな新嘉坡見物が始まった。この市にも川が貫いて流れていた。私は社長に注文して、まず二つ三つその橋々を車で渡って貰った。 両岸は洋館や洋館擬いの支那家屋の建物が塀のように立ち並んでいるところが多く、ところどころに船が湊泊する船溜りが膨らんだように川幅を拡げている。そして、漫々と湛えた水が、ゆるく蒼空を映して下流の方へ移るともなく移って行く。軽......
稲妻形に曲るいくつもの横町
......いた。
――しつこい婆につかまって今日一日無駄歩きしちまうのだ。」
弾力を失っている新吉の心にもこの憤りが頭を
擡げた。キャフェの興奮が消えて来た新吉の青ざめた眼に
稲妻形に曲るいくつもの横町が映った。糸の切れた
緋威しの
鎧が聖アウガスチンの
龕に寄りかゝっている古道具屋。水を流して戸を締めている小さい市場。硝子窓から仕事娘を覗かしている仕立屋。中産階級......
(貧乏街)ただ燻ぼれて、口をいびつに結んで黙りこくってしまったような小さい暗い家が並んでいた。
......が入用だった。彼女は猶予なく返事した。
――奇抜ね。それが本当に面白いわ。」
彼女は新吉の腕を引き立てゝ人を掻き分けながらルュ・ド・ラップの横町へ入って行った。
ただ燻ぼれて、口をいびつに結んで黙りこくってしまったような小さい暗い家が並んでいた。漆喰壁には蜘蛛の巣形に
汚点が
錆びついていた。どこの露地からも、ちょろ/\流れ出る汚水が道の割栗石の
窪みを伝って勝手に溝を作って居る。それに雨の
雫の集りも加わって......
西の方へ瞳を落すと鈍い焔が燻って来るように、都会の中央から市街の瓦屋根の氾濫が眼を襲って来る。それは砂町一丁目と上大島町の瓦斯タンクを堡塁のように清砂通りに沿う一線と八幡通りに沿う一線に主力を集め、おのおの三方へ不規則に蔓延している。近くの街の屋根瓦の重畳は、躍って押し寄せるように見えて、一々は動かない。そして、うるさいほど肩の数を聳かしている高層建築と大工場。灼熱した塵埃の空に幾百筋も赫く爛れ込んでいる煙突の煙。
......葛西川橋の下から一本の大幅の動きとなって、河口を海へ融かしている。 「何という判らない陽気だろう」 小初は呟いた。 五日後に挙行される遠泳会の晴雨が気遣われた。 西の方へ瞳を落すと鈍い焔が燻って来るように、都会の中央から市街の瓦屋根の氾濫が眼を襲って来る。それは砂町一丁目と上大島町の瓦斯タンクを堡塁のように清砂通りに沿う一線と八幡通りに沿う一線に主力を集め、おのおの三方へ不規則に蔓延している。近くの街の屋根瓦の重畳は、躍って押し寄せるように見えて、一々は動かない。そして、うるさいほど肩の数を聳かしている高層建築と大工場。灼熱した塵埃の空に幾百筋も赫く爛れ込んでいる煙突の煙。 小初は腰の左手を上へ挙げて、額に翳している右の腕に添え、眩しくないよう眼庇しを深くして、今更のように文化の燎原に立ち昇る晩夏の陽炎を見入って、深い溜息をした。......
小さな町だが、今までの寒山枯木に対して、血の通う人間に逢う歓びは覚える。
......なるような寂しさですね」 「この底に、ある力強いものがあるんだが、まあ君は女だからね」 小唄に残っている間の土山へひょっこり出る。屋根附の中風薬の金看板なぞ見える小さな町だが、今までの寒山枯木に対して、血の通う人間に逢う歓びは覚える。 風が鳴っている三上山の麓を車行して、水無口から石部の宿を通る。なるほど此処の酒店で、作楽井が言ったように杉の葉を玉に丸めてその下に旗を下げた看板を軒先に出して......
岡本かの子 / 東海道五十三次 青空文庫関連カテ冬町並み・集落
(壊れかかった街)雨や風が蝕んでやがて土に帰ってしまう、と言ったような趣きのある街で、土塀が崩れていたり家並が傾きかかっていたり――勢いのいいのは植物だけで、時とするとびっくりさせるような向日葵があったりカンナが咲いていたりする。
......にしてもよそよそしい表通りよりもどこか親しみのある、汚い洗濯物が干してあったりがらくたが転がしてあったりむさくるしい部屋が覗いていたりする裏通りが好きであった。雨や風が蝕んでやがて土に帰ってしまう、と言ったような趣きのある街で、土塀が崩れていたり家並が傾きかかっていたり――勢いのいいのは植物だけで、時とするとびっくりさせるような向日葵があったりカンナが咲いていたりする。 時どき私はそんな路を歩きながら、ふと、そこが京都ではなくて京都から何百里も離れた仙台とか長崎とか――そのような市へ今自分が来ているのだ――という錯覚を起こそう......
梶井基次郎 / 檸檬 青空文庫関連カテ町並み・集落
樋のように細い町並
......に墜落して、あの女達の群にはいってみようかと思う。 (一月×日) 島で母達と別れると、私は磯づたいに男の村の方へ行った。一円で買った菓子折を大事にかかえて因の島の樋のように細い町並を抜けると、一月の寒く冷たい青い海が漠々と果てもなく広がっていた。何となく胸の焼ける思いなり。あのひととはもう三カ月も会わないのだもの、東京での、あの苦しかった......
遊女屋の行燈が、椿のように白く点々と見えている。
......る尾道へ逆もどりしているのだ。気の弱い両親をかかえた私は、当もなく、あの雑音のはげしい東京を放浪していたのだけれど、ああ今は旅の古里である尾道の海辺だ。海添いの遊女屋の行燈が、椿のように白く点々と見えている。見覚えのある屋根、見覚えのある倉庫、かつて自分の住居であった海辺の朽ちた昔の家が、五年前の平和な姿のままだ。何もかも懐しい姿である。少女の頃に吸った空気、泳いだ......
真っ暗な参道のくねくねした坂道を、2人で歩いた。建物はみな古く、木の匂いがした。風が強く、見上げると細い道はばの建物の透き間に星がくっきりとまたたいていた。
......しかった。嬉しかった。「いいよ、行こう。」 行きたいときに、行きたいところに。 2人きりで。 成田に着いたのは夜中の1時近く、電話をしたら幸い宿がとれた。 もう真っ暗な参道のくねくねした坂道を、2人で歩いた。建物はみな古く、木の匂いがした。風が強く、見上げると細い道はばの建物の透き間に星がくっきりとまたたいていた。 本当に風が強く、はためくとかげの髪の毛が闇に踊った。 寺の門はもう閉まっていて、たたまれた露店の色とりどりの影と、揺れる巨大な提灯の梵字が柵のこちらがわから見......
路地をはさむようにして建った家々は、まるで比重の異る液体を混ぜあわせたみたいに、はっきりとしたふたつのカテゴリーにわかれていた。ひとつはゆったりとした広い裏庭を持つ昔からの家のグループで、もうひとつは比較的最近建てられたこぢんまりとした家のグループだった。
......鼻の中にもぐりこんできた。 僕は両側に注意ぶかく目を配りながら、ゆっくりと均一な歩調で路地を歩いた。そしてときどき歩をとめて、小さな声で猫の名前を呼んでみた。 路地をはさむようにして建った家々は、まるで比重の異る液体を混ぜあわせたみたいに、はっきりとしたふたつのカテゴリーにわかれていた。ひとつはゆったりとした広い裏庭を持つ昔からの家のグループで、もうひとつは比較的最近建てられたこぢんまりとした家のグループだった。新しい方の家には概して裏庭と呼べるほどの広いスペースはなく、中には庭というものをひとかけらたりとも持たないものもあった。そんな家では軒先と路地のあいだには、物干......
村上春樹 / ねじまき鳥と火曜日の女たち「パン屋再襲撃 (文春文庫)」に収録 amazon関連カテ町並み・集落路地・小道
もう暗い影になった街並の中、夜のタクシーが河のようにカーブを曲がって次々にやってきていた。
......ディックの。文庫だから別にどうでもいいんだけど、あるんなら今、寄って取ってった方がはやいだろ?」「……どういう筋か、知ってるの?」 私はびっくりしてたずねた。 もう暗い影になった街並の中、夜のタクシーが河のようにカーブを曲がって次々にやってきていた。闇は季節の変わり目の暗いみずみずしさをたたえ、吸う空気の中にも夢のような透んだ香りをたくさん含んでいた。 答えは、予想に反してあっさりかえってきた。「いや、ずい......
(サイパンの街並み)週刊誌で見る「昭和初期の銀座」みたいな、人間に対しておおらかな風景だった。《…略…》空が広くて、人々の顔も晴れやかで、まるでパノラマのようだ。
......番に頭を悩ませているよりもずっと美しいものがあり、それを体にしみこませるために感覚を開いていたい。 そういうことをあたりまえに受け入れられるような空気だった。 週刊誌で見る「昭和初期の銀座」みたいな、人間に対しておおらかな風景だった。 写真を見てよく思った。こんなところを歩いたら、どんなに気持ちいいだろう。空が広くて、人々の顔も晴れやかで、まるでパノラマのようだ。 東京で自分のあいまいな記憶にいらだち、罪悪感さえ持っていた神経症的な感覚がはるかに遠い。「生まれつきこんなふうだったけど。」 と言ってコズミくんは自分の白っぽ......
吉本 ばなな「アムリタ(上) (新潮文庫)」に収録 amazon関連カテ町並み・集落
夕景に浮かぶビル群は、ぼんやりとしたブルーの空を後に、窓を虫食いのパズルのようにくっきりと光らせていた。
......くことにした。 まだ時間が早いので、ずいぶん空いていた。 それにしても人々はにぎわい、安っぽい制服を着たウェイターたちが忙しそうに大きなジョッキを運んでいた。 夕景に浮かぶビル群は、ぼんやりとしたブルーの空を後に、窓を虫食いのパズルのようにくっきりと光らせていた。 私とメスマ氏は、いちばん奥のテーブルにすわった。 何からきいていいのか、よくわからなかった。とにかくこの人に関しては悪い評判しか、しかもあの人たちが語りたがら......
熱海 駅のコンコースを通り、改札口を抜けると、目の前に温泉街らしい光景が広がった。軒を並べた土産物店。ホテルや旅館の派手な建物。駅前に数珠 繫 ぎになったタクシー。その前の歩道を、夏服姿の観光客たちが 忙しなく行き交っている。
......捜査が行われたとのことです。そのおりの管理官が現在もご健勝と伺いました」「それは誰だ」「重藤成一郎元警視です」 日下は、右手の拳を握り締めた。 6 熱海駅のコンコースを通り、改札口を抜けると、目の前に温泉街らしい光景が広がった。軒を並べた土産物店。ホテルや旅館の派手な建物。駅前に数珠繫ぎになったタクシー。その前の歩道を、夏服姿の観光客たちが忙しなく行き交っている。「くそ暑いな」 空を見上げて、眩しい日差しに日下は顔をしかめると、肩を並べた柳に呟いた。「ひと月も経てば、少しは涼しくなりますよ」 日下はため息を吐くと、柳を促......
右隣にも、ほとんど同じ造りの家が二棟建っていた。たぶん、同じ大家が建てた借家だろう。
......した。やがて、木造平屋の家が見つかった。北向きの玄関先に、申し訳程度の庭があり、八つ手が葉を茂らせていた。その先に台所の格子窓があり、すぐ横が玄関となっている。右隣にも、ほとんど同じ造りの家が二棟建っていた。たぶん、同じ大家が建てた借家だろう。 昭和四十九年七月二十六日から二十七日にかけて、この三軒並びの借家の左端の家に、尾畑小枝子たちは引っ越してきたのだ。玄関から飛び石が続き、家の前は幅が四メートル......
町の六時は明るいけれど、 山間 の集落は森に遮られて太陽の最後の光が届かない。
......つのも忘れて。 秋の、夜、だった時間帯が、だんだん狭く限られていく。秋といっても九月、九月は上旬。夜といってもまだ入り口の、湿度の低い、晴れた夕方の午後六時頃。町の六時は明るいけれど、山間の集落は森に遮られて太陽の最後の光が届かない。夜になるのを待って活動を始める山の生きものたちが、すぐその辺りで息を潜めている気配がある。静かで、あたたかな、深さを含んだ音。そういう音がピアノから零れてくる。......
宮下 奈都「羊と鋼の森 (文春文庫)」に収録 amazon関連カテ夕方町並み・集落
広い道へ出た。路幅は六七間、両側に軒の低い 家 が並んでいた。それが一層この道を広々と、又明るい感じに見せた。
......をちょいちょいと叩きながら行った。「老いぼれ」「阿呆」子供達は毒づいていたが、老車夫は笑いながら、手の届く子供の頭は一々叩いた。 間もなく、その狭い通りから急に広い道へ出た。路幅は六七間、両側に軒の低い家が並んでいた。それが一層この道を広々と、又明るい感じに見せた。三叉に竹竿を渡し、それへ白い無闇と長い物が一杯掛けてあった。片側半分程は軒並それだった。干瓢だという。「干瓢にしちゃあ幅が広いな」「未だ乾かねえからさ」「名物に......
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 amazon関連カテ町並み・集落
トモギ村らしい集落がその海べりに、まるで 牡蠣 のようにしがみついています。
......ます。こんな快感を警吏たちは信徒を殺すたびに味わっていたのかもしれませんね。 林の中にはまだ少し霧が流れていましたが、霧の割れ目から青い空と遠い海がみえました。トモギ村らしい集落がその海べりに、まるで牡蠣のようにしがみついています。 長い間、小屋に閉じこめられた私たちは、虱を殺す手をやめてむさぼるように人間たちのいる世界を見つめていました。「なんでもないじゃないか」 ガルペは金色の胸毛の光......
長崎に多い細い坂路の一つで両側には家々が 覆いかぶさるように並んでいる。
......る。万霊節はいわば基督教の盆祭のようなものだったし、夜になるとリスボンの家々の窓に蠟燭の火をともすところも、この国の盆とよく似ていた。 彼の家は外浦町にあった。長崎に多い細い坂路の一つで両側には家々が覆いかぶさるように並んでいる。すぐ裏は桶屋町という桶屋職人の住む通りだったから終日乾いた木槌の音がとんとんと聞えてきた。紺屋職人たちの町も反対側にあり、晴れた日には旗のように藍色の布が風にな......
住吉橋を過ぎると、道の 両脇 に材木屋の看板が並び始めた。暗い道は、材木屋に包まれるように真っすぐ伸びていた。
......歩調を邦彦に合わせて信号を渡った。「幸橋まで行こか?」 と邦彦は言った。その橋の真ん中に立って、夜の道頓堀を見るといい、という武内の言葉を思い出したからだった。住吉橋を過ぎると、道の両脇に材木屋の看板が並び始めた。暗い道は、材木屋に包まれるように真っすぐ伸びていた。 西道頓堀橋を過ぎ、次が幸橋だというあたりで、流行りの服装に身を固めた数人の若者が一列になって歩いて来た。邦彦とまち子は店舗の陰に寄って道をあけた。その中のひと......
宮本 輝「道頓堀川(新潮文庫)」に収録 amazon関連カテ町並み・集落
ドミノのようにきっちりと並んだ団地
......群の足元に、乾いた落葉を敷きつめている。 おそるおそる交番で目当ての家の所在を訊ねた。若いお巡りさんは三太の格好を見るなり、怪しむよりも笑い転げた。 北川の家はドミノのようにきっちりと並んだ団地の、堤防に面した先頭の棟だった。「ええと、十一号棟のまん中の階段の四階」 歩きながらぶつぶつと復唱してきた場所を、三太はいったん堤防に上がって目で探した。 その......
岩山の麓に、寄り合うように固っている、 見馴れた数軒の家
......は魔法の解除を求めて、病院のある部落を地平に探した。前に拡がる草原の広さから見て、大体これを目的の谷間の一部と考えることが出来たからである。そして私は遥か右手、岩山の麓に、寄り合うように固っている、見馴れた数軒の家を見つけることが出来た。 あそこにはとにかく同胞がいる。この時私にはこの観念のほかはなかった。 道は燃え続ける野火の中を通っていたが、私はそれを越えて行くことが......
大岡 昇平「野火(新潮文庫)」に収録 amazon関連カテ町並み・集落
(ハルキ島の町並み)白い壁、赤い屋根、四角い形、縦長の窓。窓枠と雨戸とドアの色だけがそれぞれの家によって違う。コバルト・ブルーや、鮮やかなグリーンや、トマト・レッドや、サーモン・ピンクに塗られている。遠くから見ると、洋菓子の箱がずらっと並んでいるように見える。
......である。白い壁には縦長の窓が規則正しく並んでいる。どの建物もほとんど同じスタイルで、日本の家みたいにめいめい好き勝手なスタイルと色で建っているということはない。白い壁、赤い屋根、四角い形、縦長の窓。窓枠と雨戸とドアの色だけがそれぞれの家によって違う。コバルト・ブルーや、鮮やかなグリーンや、トマト・レッドや、サーモン・ピンクに塗られている。遠くから見ると、洋菓子の箱がずらっと並んでいるように見える。美しい教会があり、とても立派な石造りの時計塔がある。家なみの上には真っ青な空が広がり、紺色の静かな海に家々の影がひっそりと映っている。 それがハルキ島である。僕......
村上春樹「遠い太鼓 (講談社文庫)」に収録 amazon関連カテ町並み・集落