関係者からも「聞いてない」の声

1月9日、読売新聞さんが「高市首相が衆院解散を検討」と報じた瞬間から、永田町は奇妙な空気に包まれることになりました。まあ、みんな聞いてなかったんですよね。昨年から今井尚哉さんがなんか言ってたなぐらいで。

他方で、高市早苗さんが「働いて、働いて、働いてまいります」と力強く宣言された割に、10日ほど公邸や外交日程で解散意向をシャットアウトしていて、さぞかしすごい政策や公約が打ち出されると思いきや……いきなり2年間食料品に限り消費税廃止とかれいわ新選組みたいなことを言い出し関係者一同イスから落ちる調整が繰り返されてきたわけであります。どうすんだこれ。

もちろん、時限的な減税の検討であり、官邸の面々からも「給付付き税額控除が国会で早期決着すれば消費税減税は見送る」と注釈は付いているわけですが、これはまあ雰囲気にのまれてうっかり減税ポピュリズムに踏み出したと捉えられても仕方がない面があります。高市早苗政権発足当初は、霞ヶ関の面々も割と張り切って高市さんを支えようという雰囲気だったのが一転、さすがに急速に後ずさりをしているようにすら感じられます。大丈夫なのでしょうか。

安倍政権とは違う「準備不足」の露呈

とにかく「なんだかよくわからないが、とりあえず解散らしい」という状態で準備を進めるほかなかった今回の解散総選挙ですが、とりあえず具体的な政策らしきものはないっぽいのことに驚きました。てっきり高市さんの口からビックリドッキリメカ的な政策でもぞろぞろ出てくるのかと思いましたが……出てきた内容がれいわ新選組とあんまり変わらないので、高市さんの政策認識は山本太郎さんと大差ないんじゃないのって言われかねません。なんとなく雰囲気で、高市早苗さん推しで選挙準備に邁進すればいいのでしょうか。政権支持率も高いしまあいいか、って感じで。

2022年6月26日、渋谷駅前で街頭演説する山本太郎氏
渋谷駅前で街頭演説する山本太郎氏(写真=Noukei314/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

思い返せば、安倍晋三さんが得意としたサプライズ解散というものは、解散は総理の専権事項であって、例えば消費税増税の是非など国論を二分するような争点があり、国民がわいわい議論しているところにパッと解散を宣言するものでした。そして裏では、党務も候補者擁立も争点整理も、いわば「戦争準備」が着々と進められていたからこそ、サプライズされても現場は対応できたわけです。「一億総活躍社会」とか、わかりやすい政策をパッケージにしたスローガンもちゃんと策定してね。