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暗転した産油国ベネズエラの難路は「帝国主義」なんて単純なものではない…高すぎる「投資のハードル」日本のベネズエラ第一人者に聞く【後編】

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ベネズエラのロドリゲス暫定大統領(中央)の両脇に兄のホルヘ・ロドリゲス国会議長(左)、カベージョ内務大臣(右)とマドゥロ政権の幹部がそのまま残った(1月14日、写真:AP/アフロ)

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アメリカはベネズエラのマドゥロ大統領を拘束した後、マドゥロ政権下で副大統領を務めてきたロドリゲス氏を暫定大統領に据えた。アメリカの圧力を受けて、ロドリゲス氏は態度を軟化させたとも日本では報じられたが、アジア経済研究所で35年間ベネズエラを研究してきた坂口安紀・主任研究員は、発言を慎重に受け取るべきだと指摘する。かたやトランプ大統領のベネズエラをめぐる言説も二転三転してきた。【インタビュー前編
坂口氏は21年に著した『ベネズエラ――溶解する民主主義、破綻する経済』(中公選書)では、石油が豊富で二大政党制のもと政治・経済が安定していたベネズエラが、1999年のチャベス政権誕生以降、後継のマドゥロ政権にかけて見る影もなくなった様を描いた。
ベネズエラの人々は今回の事態をどう受け止めているのか。注目される石油産業の行方は。
坂口安紀(さかぐち・あき)/アジア経済研究所地域研究センター主任研究員。1964年生まれ。90年米カリフォルニア大学ロスアンジェルス校(UCLA)修士号取得、アジア経済研究所入所。専門はベネズエラ地域研究。1990年代と2000年代に2年ずつ現地で暮らした(提供写真)

正当性問わないトランプ大統領に「時間稼ぎ」で対抗

――アメリカに対し、ベネズエラ側はどう臨むのでしょうか。

ロドリゲス氏が、民主化へのステップを始めるための準備期間だけに自分が使われることをよしとするわけがない。自分がトップである政権をできる限り維持したいと思っているだろう。

ロドリゲス氏は、トランプ大統領が民主主義や政権の正当性を重視していないこともわかっている。アメリカはマドゥロを正当な大統領だと見なしていないのだから、マドゥロが副大統領に任命したロドリゲスも、アメリカにとって正当な副大統領であるはずがない。それなのにトランプ氏が自分を暫定大統領に据えたということは、仕事ができれば正当性は関係ないと分析しているだろう。

とすればロドリゲス氏は、トランプ氏が容認できる程度まで穏健化すれば今の体制を残せると考え、どこまでなら押せるか、どこまで引くべきかを計算しながら時間稼ぎをするだろう。ただトランプ氏に使えない、と思われたら切られかねず、その意味でもボールはアメリカ側にある。

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