文部科学省は次期学習指導要領で中学校に設けられる「情報・技術科(仮称)」の領域である「情報を基盤とした生産技術」に、「総合実習」を置く方針だ。1月9日に開かれた中教審の情報・技術ワーキンググループ(WG)第5回会合で、情報・技術科と高校の情報科の高次の資質・能力のイメージ案とともに示された。総合実習は技術を活用して、生活や社会の課題を探究的に解決する内容となる見通しだ。

情報・技術科の各領域の内容項目を提案

 WGの前回会合で文科省は、情報・技術科を「情報技術」と「情報を基盤とした生産技術」(いずれも仮称)の2領域とする方向性を打ち出した。この日の会合ではさらに踏み込んで、各領域の内容項目が提案された。

 それによると、情報技術の内容項目には①計測・制御のプログラミングとシステム化②コンテンツとデータ③情報技術の発展と社会――を設ける。

 情報を基盤とした生産技術には①材料と加工②生物育成③エネルギー変換④総合実習――を設定。総合実習は学習した内容を踏まえ、技術の領域や分野にとらわれずに生活・社会の課題に対し、最適な技術を判断・活用して探究的に解決する内容を想定している。

 内容項目はいずれも仮称だが、対応して想定される高次の資質・能力の文案も示された。

 この情報技術の内容項目については、井手広康委員(愛知県立旭丘高校教諭)が「並ぶ順序の観点から懸念がある。現在の案は計測・制御のプログラミングが最初に置かれているが、中学生にとっていきなりプログラミングから入ることは心理的な負担が大きい。情報や技術に苦手意識を持つ生徒をここでさらに増やしてしまうのではないか」と危惧するなど、複数の委員が③情報技術の発展と社会→②コンテンツとデータ→①計測・制御のプログラミングとシステム化の順にするべきだとの立場だった。

情報科の高次の資質・能力の想定されるイメージを検討

 高校の情報科についても、「情報Ⅰ」と「情報Ⅱ」のそれぞれで想定される内容項目ごとの高次の資質・能力の文案が提示された。

 情報Ⅰでは暫定的な内容項目として前回会合で、①情報の仕組みと社会との関わり②情報デザインとデザイン思考③データ分析とモデル化・シミュレーション④アルゴリズムとシステム開発⑤情報及び情報技術を活用した課題探究――が提案されている。

 このうち②の「デザイン思考」に関する高次の資質・能力のイメージについて、鎌田高徳委員(神奈川県立横浜国際高校教諭)は「デザイン思考は情報科における問題解決の中で他の単元にもまたがる範囲なので、それが分かるように書きぶりを検討してほしい。中学校の情報・技術科の『コンテンツとデータ』との関連も密接にしていけたらいい」と提案。

 春日井優委員(城西大学経営学部准教授)は「一般的な語句を使っているために、想定して書いている意図とは異なる解釈になってしまうことを懸念している。特にデザイン思考はかなりギャップが大きい。想定している高次の資質・能力に到達しないことも許容されてしまう気がする」と指摘した。

 また、情報Ⅱの内容項目案の一つである「AI」の高次の資質・能力は「AIの大量の情報を扱える利点と、偏りやバイアスを生む特性を捉えることで、出力を批判的に評価し、倫理・法・社会の観点を考慮しつつ、利点を十分に生かして活用できることを理解する」となっている。

 これについて田中沙弥果委員(Waffle理事長)は「偏りやバイアスを生む特性、それが社会に与える影響を想定していると思われるので、(共通必履修科目として)全員が学べる情報Ⅰに入れてほしい」と要望した。

 

【キーワード】

デザイン思考 顧客やユーザーのニーズ、問題の本質を見極め、解決すべき課題を発見していくデザイナーの思考のプロセスを、ビジネスやイノベーションに応用すること。デザイン思考における「デザイン」は、サービスやシステムなどを設計することを指している。