⚠️
このページは 新デザイン に変更中です。表示や操作が旧ページと異なる場合があります。
考えると胸が詰まった。急に酸素が薄くなったみたいに、息が苦しくなる。海面に必死に手を伸ばすみたいにして、俺はなんとか言葉を探す。
......言で歩く先輩の背中に、俺は目を戻す。 ぴかぴかの髪も、おろしたてみたいに見える帽子も服も、すくなくとも今日だけは、俺に見せるためのものだったのかもしれない。そう考えると胸が詰まった。急に酸素が薄くなったみたいに、息が苦しくなる。海面に必死に手を伸ばすみたいにして、俺はなんとか言葉を探す。「あの、先輩」 奥寺先輩は振り向かない。「……ええと、腹へりませんか? どこかで晩飯とか──」「今日は解散にしようか」 優しげな教師みたいな口調でそう言われ、「......
新海 誠「小説 君の名は。 (角川文庫)」に収録 amazon関連カテ胸がいっぱいになる・胸が詰まる
物に突きあたった様な心持で強くお互に感じた時に声はつまってしまったのだ。二人はしばらく無言で歩く。
......ついで、その野菊を僕はだい好きだと云った時すら、僕は既に胸に動悸を起した位で、直ぐにそれ以上を言い出すほどに、まだまだずうずうしくはなっていない。民子も同じこと、物に突きあたった様な心持で強くお互に感じた時に声はつまってしまったのだ。二人はしばらく無言で歩く。 真に民子は野菊の様な児であった。民子は全くの田舎風ではあったが、決して粗野ではなかった。可憐で優しくてそうして品格もあった。厭味とか憎気とかいう所は爪の垢ほ......
乳をむしりたいほど胸がいっぱいになって
......だけを、この世の気がかりにしているか」 「…………」 「分るか」 「…………」 「分ってくれい」 「…………」 厳かにも苦甘い沈黙だった。 兵助はぼろぼろ泣いた。お芳は、乳をむしりたいほど胸がいっぱいになっていながら、老父の愚に返った嘆きを見ると、かえって、涙が出なかった。 そしてただ、四、五日前に、この家へ立ち寄ってしばらく父と話し込んで行った、松代藩の三村利用係......
吉川英治 / 銀河まつり 青空文庫関連カテ胸がいっぱいになる・胸が詰まる
胸いっぱいに灰が詰まっているような気分になる。
......の好きなゲソの塩焼きは結局出ない。イカの刺身を醤油のなかで二転三転させながら、陣治の口は嘴みたいに尖り、もうイカに向かって開いている。それだけのことで、十和子は胸いっぱいに灰が詰まっているような気分になる。「ここはもひとつやで。こんな店に来るぐらいやったら、駅までもどって洋食屋でも探したらよかったなあ」 まだこだわっている。「ふん、陣治の洋食屋てファミレスのことや......
ぐっと胸につかえる
関連カテ胸がいっぱいになる・胸が詰まる
この時はただ、何かが瞬く間に彼女の中で膨らんで、胸をいっぱいにし、他の感情の一切を押し潰してしまったのだった。
......そこにはもう、制服姿の十代の彼女はいないということだった。 そんな考えは、所詮は、あとから繰り返し思い返すうちに、気紛れに脳裏を過ったにすぎないのかもしれない。この時はただ、何かが瞬く間に彼女の中で膨らんで、胸をいっぱいにし、他の感情の一切を押し潰してしまったのだった。 里枝は、ごまかそうにもごまかしようのない自分の涙を持て余して、「上手ですね。……ごめんなさい、よく知ってる場所だから、昔のことを思い出したみたいで、……」と笑......
胸から喉にかけて、なんだか空気が餅のように詰まり、せっかくの料理もあまり食べられない。
......分の髪を、一日の仕事も終わったいまになって整えたくなった。手にしたおしぼりは、残念ながらすでに冷めてしまっている。馬締は整髪を諦め、おしぼりをテーブルに戻した。胸から喉にかけて、なんだか空気が餅のように詰まり、せっかくの料理もあまり食べられない。 馬締の様子がおかしいことに、香具矢はまったく気づいていないようだ。馬締の様子がおかしいのはいつものことだから、いまさら気にならないのかもしれない。刺身の盛りあ......
三浦 しをん「舟を編む (光文社文庫)」に収録 amazon関連カテ胸がいっぱいになる・胸が詰まる