学習と健康・成長

【不登校とネット出席制度(2)】不登校でも「出席扱い」になる「ネット出席制度」 その7つの要件は? 保護者が陥りがちな思い込みとは?  2000人超をサポートしてきた学習教材会社の担当者に聞く

2026.01.07

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藤森かもめ
タブレットを見る小学生

自宅でオンライン学習に取り組み、一定の条件を満たせば、不登校でも学校が「出席扱い」と認める「ネット出席制度」。これまでに2000人以上の認定を支えてきたのが、オンライン教材開発会社の「すららネット」です。文科省が定める7つの要件とは何か。「うちの子ならできる」という思いを手放せない保護者に、どう向き合っているのか。オンライン学習に取り組む子どもにとって最も高い壁は何か――。同社の子どもの発達支援室長に、ネット出席制度につまずきやすいポイントと、その乗り越え方を聞きました。

佐々木章太

話を聞いた人

佐々木章太さん

すららネット子どもの発達支援室 室長

(ささき・しょうた)すららネット子どもの発達支援室 室長。不登校児の家庭向け情報サイト「あした研究室」編集長。ICTを活用した家庭学習支援の専門家として、不登校・発達障害などの子どもと保護者を支援。2015年から「出席扱い制度」の普及に取り組み、制度申請サポート・自治体連携を通じて延べ2,000名超の出席認定をサポート。現在は教材開発・保護者支援・コーチ制度の設計や、情報発信を担当している。

ログインができれば勉強の半分は終わったも同然

オンライン学習サービスを提供する「すららネット」(東京都)と、不登校ジャーナリスト・石井しこうさんなどが、2025年8~10月にオンラインで調べたところ、ネット出席制度を知らない不登校の子が6割、学校から説明を受けていない子が9割、申請を学校に断られた子が1割いました(調査対象は、同社のサービスを使う不登校の小中学生とその保護者。有効回答は400人)。

――オンライン学習は1日にどれぐらい学ぶのでしょうか?

「ネット出席制度」には「何をしたら出席扱いになるか」と、「その子に合った設計になっているか」の両方が重要です。そのため、多くの子どもは1日に3単元をこなすことから始めます。一つの学習時間は20~30分なので、1日当たり約60~90分。学校も1日に3単元をクリアすると出席扱いにすることが多いです。実績から見て、1か月に30時間を学習すると、習慣がつき、確実に成績が向上します。

「かけ算」のレクチャー画面=すららネット提供
「かけ算」のレクチャー画面=すららネット提供
「展開図」のレクチャー画面=すららネット提供
「展開図」のレクチャー画面=すららネット提供

――オンライン学習で難しいのは、どこですか?

「ログイン」すること、学校で言うなら「教科書を開く」ことです。人間の行動は面白くて、最初のアクションを取ると、その後は、ずっと続けられたりします。うちの教材でログインができたら勉強の50%は終わったようなものです。1日1回ログインができるようになれば、月に15時間ぐらいは学習できるので、保護者には「まず、ログインさせることを目標にしましょう」と話します。

子どものログイン画面=すららネット提供
子どものログイン画面=すららネット提供

――ログインは子ども自身にさせるのですか?

最初は、ログインする時に保護者にも付き添ってもらいます。もちろん操作のサポートという意味もありますが、子どもの喜怒哀楽に共感して、子どもの不安を一緒に解消してほしいからです。子どもが画面を見て「わかりやすい」「言っていることがわからない」と話す時、隣で「確かにね」「勉強、こんなに難しかったんだ」と、子どもの勉強に興味があることを示してほしいのです。保護者がはじめの5単元に付き添うと、それ以降は一人で学び、学習の感想まで話すようになることがほとんどです。

――学ぶ教科は、子ども自身が選ぶのですか?学校が指定するのですか?

ネット出席制度には指定がありません。そのため、我々は「まず、自分の好きな教科からやろう」と伝えます。保護者は「まんべんなく学ばせたい」と考えますが、大事なのは学力より、子どもの心の状態です。ここが面白いところで、得意科目を一つ学習して学力が伸びてくると、子どもの方から「苦手な国語もやってみようかな」などと言い出します。自己肯定感が高まると、他の科目に挑戦する気持ちが芽生えるのです。そうなるまでに3か月かかるのか、半年なのかはわかりませんが、大人が耐え忍ぶ。そうすれば次の展開が見えてきます。

学力をつけるには、カリキュラムの順番通りに学習することも大事です。特に国語、数学、英語は理解の積み上げで成績が上がるので、順番が大切。専門のコーチも学習履歴を見ながらサポートします。

算数・数学の体系図=すららネット提供
算数・数学の体系図=すららネット提供

――オンライン上で講師が教えることもあるのですか?

我々の教材は生身の人間を使っていません。動物やアニメのキャラクターを使い、声も声優が務めて、なるべくアニメの世界観に近づけています。不登校の子どもの中には人と関わることへの不安感から、人に教わること自体に抵抗を感じる人もいます。少しでも抵抗感を減らす工夫をしています。

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