Think Gender
「地方女子」の自由な進路選択を阻むものとは…県人寮の67%が男子専用「深刻なジェンダーギャップがある」
2024.08.21
東京大の女子学生の比率は約2割。世界の主要大学で学生の男女比がほぼ半々になっていることと比べると大きな差があります。なぜ女子学生が増えないのか――その原因を「地方女子」という観点から分析している特定非営利活動法人「ハッシュタグYourChoiceProject(#YCP)」は7月、首都圏にある県人寮の67%が男子専用になっているという調査結果を明らかにしました。団体代表で東大法学部4年の川崎莉音さんは「深刻なジェンダーギャップがある」と話しています。(写真は記者会見を開いて調査結果を発表する川崎さんら#YCPのメンバー)
(かわさき・りおん)東大法学部4年。兵庫県出身、小林聖心女子学院高校卒。2021年11月、江森百花さんらと#YCPを立ち上げ、23年度の東大総長賞を受賞した。受賞テーマは「地方女子の大学進学を取り巻く社会課題の解決に向けた取り組み」。今年8月には江森さんとの共著「なぜ地方女子は東大を目指さないのか」(光文社新書)を出版する。来春からは国家公務員として働く。
無意識のうちに狭められる選択肢
――川崎さんたち#YCPは地方の女子高校生の進路選択の幅を広げようと取り組んでいます。なぜ「地方女子」は東大など首都圏の大学を目指せないのでしょうか。
東京都内の大学で見ると、首都圏(東京、千葉、埼玉、神奈川の1都3県)以外の道府県出身の「地方女子」が学生数に占める割合は、東大9%、東京工業大1%、一橋大6%と、非常に低くなっています。
私たちは昨年、全国の高校生約4千人を対象に意識調査「地方女子はなぜ東大を目指さないのか」を実施しました。地方女子は浪人を回避する傾向が強く、保護者からは「地元の大学に」と強く期待されるなど、男子高校生や首都圏の女子高校生とは異なる重圧に直面している実態が明らかになりました。
また、地方女子の保護者には、親元から通える大学に行くことを強く望む傾向があり、これと高校生本人が上京を選ばない傾向には相関があることも分かりました。地方女子学生は「地域」と「性別」の二重の壁に阻まれ、無意識のうちに選択肢を狭められていると考えています。
私自身も兵庫県出身で、周囲の状況にモヤモヤしたものを感じていました。ジェンダー論の講義を受けたことをきっかけに、2021年11月に#YCPを立ち上げました。
――#YCPが7月に発表した県人寮に関する調査には驚きました。道府県がつくった「県人寮」の67%が男子専用で、地方の女子高校生が首都圏の大学に進学しようとするときの大きな壁になっていると。
明らかに深刻なジェンダーギャップがあると思います。地方から首都圏の大学に進学しようとしたとき、男女間で大きな経済的格差があることが浮き彫りになりました。
県人寮は道府県が出身者のために設けている寮で、安価で利用することができます。35道府県が東京や神奈川に設置している52施設について調べると、67.3%にあたる35施設が男子専用、3.8%が女子専用、28.8%が男女共用でした。人数でみると、男子が2627人、女子が689人です。平均家賃は3万2550円で、首都圏の家賃平均と比べると5万円ほど安くなります。
昨年の意識調査では、地方の女子高校生が首都圏への進学をためらう理由の一つに、「金銭面の不安」を挙げた人が2割ほどいました。県人寮での女子受け入れが進めば、金銭的なハードルを下げる有意義な選択肢になります。
男子学生のみを受け入れている17道府県の施設に聞き取り調査も実施しました。
回答があった18施設のうち、女子学生の受け入れ予定「あり」はゼロ、「なし」16施設、「どちらとも言えない」が2施設でした。