発達凸凹と向き合う
発達障害のある子は不登校になりやすい? 「心の健康」を第一に考えて 本田秀夫先生に聞く(上)
2025.08.05
小中学校における不登校の児童生徒数が過去最多となっています。その中には発達障害のある子も多く含まれます。発達障害のある子にとって、なぜ学校がつらい場所になってしまうのか。親は何ができるのか。新刊『発達障害・「グレーゾーン」の子の不登校大全』(バトン社)を出した精神科医の本田秀夫先生に話を聞きました。
(ほんだ・ひでお)東京大学医学部医学科卒業。同大付属病院精神神経科、横浜市総合リハビリテーションセンター、山梨県立こころの発達総合支援センター所長などを経て、2018年から信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授、23年から長野県発達障がい情報・支援センター「といろ」センター長を兼務。
データが示す発達障害と不登校の関連
――発達障害のある子が学校に行けていないケースをよく見聞きします。発達障害があると不登校になりやすい、と言えるのでしょうか?
はい、言えると思います。発達障害の中でも、自閉スペクトラム症(ASD)についてはいくつかのデータがあります。国内のデータでいうと、横浜市でASDの人たちを幼児期から20年間にわたって追跡した調査があります。その中で、不登校の経験があった人は23.5%でした。知的障害がない人に限ると30%に上ります。一般の不登校率よりも明らかに高いですね。
ただ、重要なのは、学校時代に不登校だったからといって、大人になってみんながひきこもりになっているわけでは全くない、ということです。大人になったら、どこか出かける場所を持って社会参加している人が圧倒的に多い。この事実は、やはり「学校」という環境が、ASDの人たちにとって大きな関門になっていることを示唆しています。
海外の少し古いデータになりますが、2017年にノルウェーから出された論文には、一般の子どもの不登校(予備軍も含む)が7.1%なのに対し、ASDの診断のある子では42.6%に上るという報告があります。データ上でも、有意な差があると言えます。
――本田先生の臨床での実感としても、相談に来られる方で発達障害と不登校が重なっているケースは多いですか?
そこは、私の立場では一概には言えないんです。というのも、私が今診察しているのは大学病院なので、誰もが来るわけではありません。地域で対応が難しくなった、状況が複雑になった方がいらっしゃる。ですから、私の外来に来る発達障害のある方は、その大半が不登校です。
ただ、これは私がいる長野県の地域性など、様々な要因が交ざっている可能性があります。以前、横浜の病院に勤めていた時の印象では、発達障害だからといって必ずしもみんなが不登校になるわけではありませんでした。横浜では、2歳や3歳といった就学前の時期から関わり、学校とも連携して予防的な視点で見ていたという背景もあります。大学病院は、不登校に「なってから」来るところ。ですから、立場によって見える景色が違う、というのが正直なところです。